タイでの生活費はいくら必要か?
タイ好きの間では頻繁に話題に上るネタだ。
最近では、1ヶ月5万円で生活できるとする記事が賛否両論を呼んだ。
正直、この手の生活費ネタにはちょっと食傷気味である。
やれ、5万円なんて絶対むりだ、お前生活してみろとか
やれ、5万円あれば充分だろ、贅沢言うなとか
まあ、両極端だ。
生活費なんて、人による。
人によるとしか言いようのない問題だ。
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5万円で暮らせる
5万円=1.5万バーツあれば、パタヤでは暮らせる。
この点に議論の余地はない。
できるものはできる。
外こもり業界では1ヶ月3万円生活が討議されているのに、5万円生活なんて、むしろぬるいほどだ。
インドやネパールで激安沈没生活を送ったことがある、もしくは、そういった人たちの生態を見たことがあるならば、5万円生活がいかに贅沢なことか。
1泊100円以下のドミトリーに暮らして、日々だらだら過ごす沈没者たち。
今では減っているだろうけど、一昔前のインドやネパールやカオサンにはそういった沈没者が山ほどいた。
コルカタのサダルストリート、ネパールのポカラ、バンコクのカオサンロードで、わたしも山ほど見てきたし、週単位ながらも実際に沈没生活を送ってきた。
あくまで期間限定とすれば、こういった生活は大して苦にならない。金は使わないが、楽しいくらいだ。カネがないことを楽しむくらいじゃないとダメ。
たしかに10年前と比べれば、タイをはじめかつての有名沈没地の物価も上昇している。
だが、それと同時に、ゲストハウスの質も向上している。
関連記事:シーロムにあるモダンなゲストハウス、ザキューブホステルに泊まってみて感じるバンコク宿事情の変遷
関連記事:アソーク近くにある格安カプセル型ホステル、3ハウ ホステル @ スクンビット21宿泊レポート。トランジットや寝るだけに最適。
現在のバンコクにあるゲストハウスは、10年20年前とは大違いの清潔さと快適さだ。隔世の感があるほどびっくりする。
パタヤにも安くて清潔なホステルが増えてきた。
なんて楽な時代なことか。
無料のWi-Fiは早い。
パソコン一台あれば収入を得ることが可能なノマドワーカー系ならば夢のような環境だ。
飽きたり、滞在期限が迫ったら、他の街なり国へ移動すればいいだけ。
人生の無駄遣いだとか批判する人もいるかもしれないが、20代の若い頃にこういった生活を経験しておくのは、長い人生において決してマイナスにならないと思う。
パタヤの外こもり型生活費
さて、パタヤで外こもりをする場合、実際にかかる生活費をみてみよう。
ここで言うのは、あくまで期間限定の外こもり型の生活である。
1ヶ月から2ヶ月の期間を想定している。これならビザの問題も心配無用。
この期間限定というのが肝心。
日本と同じような生活水準はそもそも求めていないし、永住する気もさらさらない。
それなりに快適な生活を恒久的に求める移住者や現地で働く人と、はじめから金を使わないことを目的に期間限定で外こもりをしている人やノマドとでは求めるものがまったく違う。同列に論じても無駄。
とりわけタイ在住者や現地採用者がツイッターやブログでむきになって反論している言説をよく見かけるが、まったく無意味だ。
出発点が違うのだから、議論すら成り立たない。
でも、1ヶ月なり2ヶ月なり一箇所で暮らすわけで、生活費は当然発生する。これは移住だろうが外こもりだろうが同じこと。
宿泊代
まず、生活の基盤となる宿代だ。
せいぜい1ヶ月か2ヶ月の滞在のため、ローカルアパートは使いづらい。多くのアパートが最低3ヶ月からの契約となっている。
さらにコンドミニアムなんかも1年以上の契約だと大幅割引があるが、これも使えない。この点は期間限定の外こもりは不利。
よって、ホテルやゲストハウスのマンスリー契約を利用するのが一般的にはお得な方法となる。
ソイスケウビーチにある安ホテルが一ヶ月で5400バーツ。
おそらくエアコン無しのファンのみの部屋だろう。電気水道代別途だとしても、一月500バーツでおさまるはず。
これならホテル暮らしで計6000バーツほど。
パタヤタイにある安ゲストハウスがマンスリーで4500から6000バーツ。
ゲストハウスのマンスリープランは、電気水道代込みのところが多い。
ここは安いほうだが、他にも探せば8000バーツでエアコン付きの部屋は見つかるはず。
ホテル暮らしでもそれほど高くない。
ソイブッカオにあるホテル、Marin Place。
ファンだけの部屋なら1ヶ月7500バーツ。
セカンドロード近くにあるサワディサバイホテルで一ヶ月8900バーツ。エアコン付き。
これで電気代水道代込みだ。もちろん無料Wi-Fiもある。
部屋は古臭いし、バルコニーもなく、やや薄暗い。
でも一応れっきとしたホテルだ。
関連記事:パタヤを代表する格安ホテル、サワディーサバイホテル (サワディコート)宿泊レポート
ドミトリー暮らしでもいい。
サードロードにあるHappy Hostel(ハッピーホステル)。
新築のうえにスイミングプール付きだ。
ウォークインで1泊280バーツ。
ホテル予約サイトを通して予約すれば、232バーツ。さらに安くなるうえにクレジットカードも使える。
これなら、30日で7000バーツほど。クレジットカードのポイントやギフトカードのバックを考えると、もう少し安くなる。
立地重視では、ソイブッカオの18コインズも安い。
1泊198バーツとなっている。
価格は変動するだろうが、おおむね1ヶ月で6,000バーツ。
⇒18 コインズ カフェ & ホステル (18 Coins Cafe & Hostel)
セカンドロード沿いの立地でもいい。
Uホームホステルという新しいホステル。
セカンドロード沿いにはカプセルホテルもある。
⇒ハイ カプセル パタヤ (Hi Capsule Pattaya)
ドミトリー暮らしなら、1ヶ月で6000から8000バーツ。
これなら安いゲストハウスの個室のほうがいいだろうけど、清潔さを求めるならホステルのドミトリーも悪くないかもしれない。
宿泊代:6000バーツから10,000バーツ
通信費
無料Wi-Fi付きの宿なら、そのまま無料。
外へ出る時にスマフォを使いたいなら、マンスリー使い放題パッケージを使えばいい。
最大速度4mbpsで使い放題で月額450バーツ。
関連記事:AIS、12callの7日間ネット使い放題パッケージを使ってみた。おすすめは4Mbps。
テザリング可能につき、宿のWi-Fiが不調な時は代用可能。動画サイトも視聴できるし、ブログ更新もできる速度だ。
通信費:0~450バーツ
食費
よく言われるのが食費は1日100バーツが節約生活の目安。
人によっては楽々達成可能。
節約派の味方は、やはりぶっかけ飯だ。
関連記事:【新版】ソイブッカオ常設市場のぶっかけ飯
おかずを2種類ぶっかけても40バーツ。
うまく選べば野菜も取れる。
食堂で食べるなら40バーツから50バーツ。
朝食なんぞ、食パンをかじっておけばいい。
ゲストハウスによってはトースターや電子レンジが置いてある。温かいパンも食べられる。
ビタミン不足を補うならフルーツを大量購入。屋台よりも八百屋でキロ単位で購入すれば激安だ。
水代は大量購入しておけば1リットルで5バーツくらい。
これなら食費は1日100バーツで余裕だ。
何も難しくない。
1日100バーツ食生活について、これまたタイ在住者の反論がおもしろい。
いわく、コンビニで何も考えずに適当に買い物したら100バーツを越える。だから100バーツ食生活なんて無理だというもの。
コンビニの買い物の中身は、コーラとかおかしとかサンドイッチとか。
そんなもの、何も考えずにコンビニで買物しているからに決まっているではないか。
日本と同じだ。日本で何も考えずにコンビニばかりで買い物していたら節約生活なんて成り立つわけがない。
こういった意見はすべて無視していいと思う。
日本で節約生活できないものがタイで節約生活なんてできっこない。
ところ変われど、人間の根本は変わらない。
節約もスキルの一つ。できる人は楽々できてしまうし、できない人はとことんできない。
とはいえ、100バーツ食生活を毎日続けるのはちょっとしんどい。
人によっては楽勝だろうけど、現実問題としては、かなり難しいと思う。
わたしもやりたくない。毎日ぶっかめ飯と屋台メシでは、さすがにストレスを感じる。
コーヒーも飲みたいし、たまには洋食や日本食も食べたい。
コーヒースタンドでよければ、それなりにおいしいコーヒーが30バーツ前後。
関連記事:CHA PAYOM(チャーパヨム)はどれでも1杯25バーツのカフェ。抹茶ミルクがおすすめ。
関連記事:ソイブッカオ常設市場のカフェアマゾンと35バーツコーヒー屋台
インスタントコーヒーでも平気ならば、もっと安い。
ゲストハウスやホステルによっては共用ロビーに無料のインスタントコーヒーが置いてあったりもする。これなら無料だ。
日本食なら、ジャンボ寿司へ行けば、日本と大差ないレベルのカツ丼が食べられる。80バーツだ。
関連記事:【大幅メニュー追加】パタヤのローカル日本食屋 JUMBO SUSHI(ジャンボスシ)。カツ丼が好き。
個人的には、パタヤの日本食はジャンボ寿司だけで満足できる。
海外で節約生活しようなんて人が日本食を求めてどうする。なるべく現地の順応するのが当たり前。
そもそも海外まで行って、日本食にひたすらこだわること自体おかしな話だろう。
もちろん、これも人による話。
なにがなんでも日本食じゃなければ我慢できない人は、当然食費も高額となるだろう。でも、それはタイの物価が高いせいじゃない。一部の日本食が高いだけのことだ。
つい最近も、日本のインスタント麺がタイでは2倍もするからタイの物価は高いという投稿を読んで顎が落ちそうになった。
日本と同じ食環境を求めたら日本より高くなるに決まっているではないか。
洋食に関しては、パタヤは洋食天国。
100バーツあれば満腹になれる。
このうまそうなポークチョップが79バーツだ。
関連記事:パタヤでファラン飯食い倒れコース
普段はローカルタイ料理をメインにして、あとは洋食と安い日本食を間に挟む。
コーヒーも飲む。
1日平均200バーツあれば、それなりにバリエーションに富んだ食生活が送れるだろう。
いや150バーツでもやっていけるはず。
要するにメリハリなのだ。
日本でも同じ。
きちんと節約できる人は、自炊するなり安い食材を買い求める。
コンビニや高い外食ばかりでは食費がかさむばかり。
もうこれと同じこと。
タイだからって特別なことは何もない。
自炊するより屋台や市場でおかずを買ってきたほうが安いだけのこと。
安く上げる日を続けたあとは、ちょっとだけ贅沢する。
その繰り返し。
切り詰められるなら一月の食費は3000バーツ。でも、ほどほどでよければ6000バーツあれば充分。
食費:6000バーツ
交通費
外こもりといっても外出はする。
でもパタヤ中心部から外へは出ない。
ソンテウなら一回10バーツ。
バイタクなんて贅沢である。
ソンテウのルートから外れているなら、あとは歩けばいい。
月50回乗っても500バーツ。
帰国するなり次の滞在地へ向かうなら別途交通費が必要となるが、パタヤからバンコクの空港へ行くだけなら、せいぜい120バーツ程度だ。
ほとんど無視できる金額。
交通費:500バーツ
雑費
生活に関連したこまごまとした雑費が発生するはず。
歯ブラシ、シャンプー、洗剤など。
コインランドリーを使うと1回20バーツ。
他にも思わぬ雑費は出てくるもの。
それでも1000バーツあればいいだろう。
雑費:1000バーツ
合計
宿代:6000
通信費:450
食費:6000
交通費:500
雑費:1000
合計:13,950バーツ
1バーツ=3.3円で計算すると、46,035円。
余裕で5万円生活達成。
残りのカネでビールでも飲んでください。
エアコン付きのホテル暮らしでも、ちょうど5万円くらい。サバイサバイだ。
注意!
これは生活費である。
娯楽費遊興費は一切含まれていない。
当たり前だ。
パタヤといえば夜の街である。いくらでも遊ぶところがある。遊びの誘惑だらけだ。夜遊び代は天井しらず。油断していると、いくらでも使ってしまう。
が、日本でも同じこと。
日本で生活費と言った時に、どんなに繁華街近くに住んでいても、夜遊び代を生活費に含めることはしない。
生活費は生活費に過ぎない。
やるかやらないか、やりたいかやりたくないか
じゃあ、こんな1ヶ月5万円生活をしたいかと言われたら、わたしはやりたくないと答える。
パタヤでこの生活はさすがにしんどい。楽しくない。
インドやネパールで外こもりを決め込むならいいかもしれないが、パタヤでは絶対やりたくない。
でも、人によっては、パタヤ5万円生活でも満足できるだろう。まったく夜遊びせずにパタヤで外こもりをしている人もいるくらいだ。
決して極貧生活とみじめな思いをすることなく楽しく過ごせる人もいるに違いない。
外こもり生活なんてそんなものだ。
そして、生活1ヶ月5万円なんて無理だなんて頭から決めつける偏狭な一部タイ在住者の意見は、生活者の先達としては参考になるかもしれないが、寄って立つところが違いすぎて、やはりあてにならない。
結論:人それぞれ
もうこれに尽きる。あまりにも基準が違いすぎて話にならない。
できるものはできるとしか言えない。
と、ここまで大風呂敷を広げてきたが、今のわたしは、パタヤでの出費が5万円なんて生活はやっぱりしたくない。
と同時に、高層コンドミニアムに住んで下界を優雅に見下ろすような生活もしたくない。いや、したくないわけじゃないが、そんな金銭的余裕はないし、そういうのはどうにも苦手だ。
月10万バーツも使えれば、そりゃあ快適だろう。バンコクでもそこそこのコンドに暮らして、毎日日本食も食べられるはずだ。
でも、下と上の間には、広大なグレーゾーンがある。
5万円で充分なほどタイの物価は安いという人もいれば、タイを甘く見るな月30万円かかるぞという人もいる。
でも、たぶん、大多数に人にとっては、その間のグレーゾーンに自分なりの最適解がある。
「無理なく」生活できるかどうかがポイント。
この「無理なく」の閾値は人によってあまりにも異なる。日本で節約生活が無理なくできて、海外にも適応できるなら、無理なく安く生活できる。
また期間にも左右される。定住するとなると、安定的かつ落ち着いた住環境が欲しくなるし、健康問題も考えないといけない。
もちろん、現地社会や日本人社会と関わり合ったり、仕事をしていくなら、別途出費がかさんでいくのは当然のこと。
男性女性を問わず恋人や友人知人が増えていけば、付き合いから出費も増える。
これも当然のこと。
個人的には、飲み代を含めて3万バーツ(10万円)くらいがパタヤでだらだらと一人暮らしするには無難な額ではないかと思っている。
あとは夜遊びや遊興費や医療費やビザ代など、もろもろの経費をどうするかだ。
それはまた別の話。
あくまで1ヶ月の生活費にこだわると5万円でやっていける。
ここに嘘や誇張はまったくない。
できる人はできるし、できない人はできない。ただそれだけのことだ。
やりたければやればいいし、やりたくなければやらなければいい。たったこれだけ。あとはあなた次第だ。
バンコクの外こもりならこの2冊。
アジア各地の沈没に興味があるならこちらを。
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