9月1日に大規模な規制緩和を実施したタイ。
ショッピングモール、レストラン店内飲食などが再開された。
国内移動制限も緩和され、国内線フライトや長距離バスがようやく運行再開となった。
国の再開機運が高まりつつある。
6月にプラユット首相が120日以内、すなわち10月中旬のタイ全面再開を宣言した。
このタイ開国計画について、観光スポーツ省のピパット大臣が最新のロードマップを発表した。
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タイ開国計画ロードマップ
タイ開国計画は3段階で実施することになっている。
プラユット首相が10月中旬までに国を開放すると宣言したが、10月15日実施予定の第3段階では国の一部にかぎられるとピパット大臣が述べた。開国には注意が必要としている。
第1段階(7月1日~):開国パイロット県での開放。7月1日プーケットサンドボックス、7月15日サムイプラス、8月16日サンドボックス7+7エクステンション。この3つにより、プーケット、スラタニー(サムイ島、パンガン島、タオ島)、クラビ、パンガーの開放が実現した。
第2段階(10月1日):バンコク、パタヤ、ペチャブリ、ホアヒン、チェンマイ
第3段階(10月15日):21県
北部:メーホンソン、ランプーン、プレー、ナン、チェンライ、スコータイ。
イサーン:ウドンタニ、ノンカイ、ブエンカン、ウボンラチャタニ
南部:ラノーン、トラン、サトゥーン、ソンクラー、ナラティワート
東部:ラヨーン、チャンタブリ、トラート
中部:アユタヤ
西部:カンチャナブリ、ラチャブリ
2021年1月1日:タイと国境を接する隣国4カ国と国境にある県とのトラベルバブルを検討中
カンボジア:スリン、サケーオ、トラート
ミャンマー:チェンライ、ラノーン
ラオス:ナコンパノム、ノンカイ、ムクダハン
マレーシア:ヤラー、ナラティワート、ソンクラー、サトゥン
トラベルバブルとは、相互協定によりワクチン接種済みなどの条件を満たせば、お互いに隔離検疫なしで往来を可能とするもの。
この計画では、たとえば、カンボジア側とサケーオ県内にかぎり隔離無しで行き来ができるようにする。
政府はこれらのエリアの開放計画を立てているが、実現にには地域のワクチン接種率が70%に達していることが条件で、各地方自治体と保健当局からの承認を受ける必要がある。
タイ保健省では、今月1,300万回のワクチン接種を行い、10月に2,400万回、11月と12月にそれぞれ2,300万回のワクチン接種が実施できだろうと明らかにしている。
10月にはパンデミックの状況が改善できると確信。
参照:https://www.bangkokpost.com/business/2174927/phiphat-backs-reopening-with-a-caveat
タイ開国での入国にワクチン接種は必須
タイ開国といっても、パンデミック前にような完全にすべて自由な旅行を認めるわけではない。
プーケットサンドボックスでもサムイプラスでも、低中リスク国から完全なワクチン接種を受けた観光客のみが利用可能となっている。
現在の対象国は日本を含めて70の国と地域だ。
現時点では10月1日からの第2段階でのタイ入国条件は正式決定していないが、おそらくはバンコクやパタヤの開放でもプーケットサンドボックスとサムイプラスと同じような条件になるはずだ。
隔離免除ないし短縮での入国にはワクチン接種が必須だ。つまり、ワクチンパスポートが求められる。(必ずしも日本発行のワクチンパスポートである必要はないが、何らかの形でワクチン接種証明書は必ず必要。ワクチンパスポートが最も手っ取り早く確実。日本のワクチンパスポートがタイ入国時の隔離措置軽減に有効なのは日本外務省が正式発表している。)
ワクチン接種証明書の他にも、陰性証明書、10万相当をカバーする医療保険加入、事前のホテル予約、滞在中3回のPCR検査代が必要で、タイ大使館発行のCOE(入国許可証)がないと入国は認められない。
ワクチン接種証明書がない場合でもタイ入国は可能だが、その時は隔離ホテルで14日間強制隔離が必要となる。
また、隔離免除プログラムで入国してきた旅行者は、開放エリア内で14日間過ごしたあとに、タイ国内を自由に移動できるようになる。それまではエリア内から外に出ることは許されない。
滞在14日間の期間中には、3回のPCR検査が必要。3回目の検査が陰性であれば、エリア外への移動が認められる。
ただし、14日より短い期間での旅行は可能。
たとえば、3日だけプーケットに滞在して、そのままプーケットから出国するのであれば、隔離無しでの旅行が認められる。
ルール上は、日本からタイへの観光目的での短期旅行は現時点でも可能だ。とんでもなくハードルは高いけれど。
タイ開国計画の流れ
元々の計画では、チェンマイとパタヤの開放は9月1日を予定していた。
が、急速な感染拡大とワクチン接種の遅れにより、10月1日に延期となった。
チェンマイとパタヤはサムイプラスと同じようなシールドルートモデルの採用が有力視されている。
到着後はホテルに決められた期間隔離され、その後は、封鎖ルート上の特定の施設のみ訪問可能というもの。
ホアヒンも10月1日開放に向けて動いていて、こちらはプーケットと同じサンドボックスモデルを採用する予定。到着時の検査で陰性ならばエリア内の移動は自由となる。
バンコクとペチャブリ(チャアム)については、具体的な中身はまったく見えてこない。
また、ブリラムも10月のmotoGP開催に合わせて開放される予定であったが、motoG中止にともない、開放計画からフェイドアウトしていったようだ。
第3段階の21県については一部初めて耳にする県が含まれている。
数日前の発表では、ウドンタニやウボンラチャタニやラヨーンも開放予定だとは聞いていた。
ラヨーンのサメット島、トラートのチャン島はサンドボックス7+7エクステンションに追加される計画もある。
プーケットで7日間過ごしたあとサメット島に移動してさらに7日間過ごす。
トータルで14日間過ごしたあとは、タイ国内を自由に移動できるようになるというもの。
パタヤのラン島もサンドボックスの候補地に挙げられている。
来年1月の隣県トラベルバブルは初耳だが、海外からの旅行者にはほとんど関係なさそう。
日本とタイがトラベルバブル協定を締結し、お互いに隔離無しで行き来できるようになるのがベストだが、現状ではまだまだ難しい。
国境の街に限定したトラベルバブルでも来年1月からの計画。国同士のトラベルバブルが実現するのは、当分先の話になりそうだ。
まとめ
今回の発表はあくまで計画段階に過ぎない。
パタヤとチェンマイの開放が延期されたように、計画全体がさらに延期される可能性も十分ある。
さしあたっては、10月中旬のタイ全面開国は見送られるだろう。
とはいえ、パタヤやチェンマイやバンコクの他、21県の開放が実現すれば、タイ国内の主だった観光地はほぼカバーできる。
一般的な観光客からすれば実質的な開国に近い。
むろん、開国が実現しても、昔のようにパスポート一つで気軽に入国することはできない。
完全なワクチン接種は必須で、事前準備と手続きには手間がかかり、ハードルは高い。金もかかる。
さらにいえば、日本政府は帰国時に14日の隔離検疫を求めている。タイからの帰国では3日間のホテル強制隔離と11日間の自宅待機が必要だ。
タイが開国しても、日本側が隔離措置を緩めないかぎり、以前のような短期旅行は不可能のままだ。
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