タイとカンボジアの間での紛争が再燃している。
今年7月に起きた武力衝突は停戦合意がなされたが、12月7日に国境付近で再び戦闘が発生した。
現時点では沈静化の動きは見られない。
陸路国境は閉鎖されている。
タイでは、国境エリアの地区では戒厳令や夜間外出禁止令が出る事態となっている。
タイ側では入国規制を厳しくする旨の発表もあった。
ここでは、日本人旅行者に関係がありそうな情報をまとめておく。
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タイ・カンボジア国境閉鎖
タイとカンボジアの陸路国境が閉鎖されている。
この件について、タイ政府より日本語での声明文が発行されている。
「タイ・カンボジア国境における出入国停止措置に関する声明」と題したものだ。

カンボジアが国境を閉ざしており、カンボジア内にタイ国民がタイに帰国できない状況になっている。
陸路国境の閉鎖は以前から続いている。
外国人旅行者が陸路でタイとカンボジアを出入りできる状態ではない。
今はあきらめること。
タイ観光は安全と強調
タイ政府からは、タイは観光客を歓迎する準備が整っていると声明が出ている。
一部の国境地域では緊張状態が続いているが、タイ全土の観光活動は通常通りに継続されており、タイ全土の観光地は観光客を受け入れる準備が整っていると国際社会に対して保証する。

タイ国政府観光庁では、タイ・カンボジア国境についてのより詳しい旅行情報を伝えている。
チャンタブリーの一部地区、サケーオの一部地区、トラートの一部地区では戒厳令が施行されている。
サケーオとトラートのそれぞれ一部地区では、19時から5時までの夜間外出禁止措置が実施されている。
タイ全国的には、航空、鉄道、バス、海上輸送など国内外の交通サービスは通常通りに運航されている。
ただし、影響を受けた一部エリアへの鉄道およびバスは調整されている。
旅行者は、タイ・カンボジア国境沿いのすべての制限区域と検問所を避けるよう勧告。
ウボンラチャタニ、スリン、シーサケット、ブリラム、サケーオ、チャンタブリー、トラートの国境付近が影響を受けている。
日本外務省からの安全情報
カンボジア国境付近における軍事衝突に伴う注意喚起
12月7日の武力衝突発生以降、在タイ日本国大使館が、注意喚起を連続して発出している。
12月14日の第9報を取り上げる。
1 本日、タイ・カンボジア両軍間での戦闘に関して、タイ海軍からトラート県のクロンヤイ郡、ボーライ郡、レームゴップ郡、カオサミン郡、ムアン郡を対象に19時から5時までの間の夜間外出禁止令が出されました。これら地域にはチャーン島やマーク島、クート島などの観光地を訪れる際に利用するバスターミナルや船着場も含まれています。
2 また、既にサケーオ県のタープラヤー郡、コークスーン郡、アランヤプラテート郡、クロンハート郡でも19時から5時までの間における夜間外出禁止令が出されています。外出禁止令下では、治安維持のため様々な規制措置が執られる可能性がありますので、最新の治安情報を入手し、自らの安全確保に努めてください。
3 現在、シーサケート県、スリン県、ブリラム県、ウボンラチャタニ県、サケーオ県、チャンタブリ県、トラート県のカンボジア国境から少なくとも50km以内については、日本政府による邦人向けの海外安全情報の危険レベルは本年7月より3に引き上げられています。
4 戦闘の状況次第では、国境からある程度離れた地域においても、不測の事態が発生する可能性が否定できません。複数の情報源から最新の情報を入手し、危険な地域にいる場合には速やかに避難するなど、十分な安全対策を講じてください。
5 緊急時には、以下の在タイ日本国大使館領事部に連絡してください。
⇒https://www.anzen.mofa.go.jp/od/ryojiMailDetail.html?keyCd=161449
以上。
夜間外出禁止令について説明してある。
旅行者に関係がありそうなのが、チャン島を訪れる際に利用するバスターミナルや船着き場も夜間外出禁止令のエリアに含まれること。
昼間の移動であれば問題ないのだろうけど、この時期にチャン島を訪れるのは避けたほうが無難かもしれない。
カンボジアとの国境から50km以内については、海外安全情報の危険レベルが今年7月より3へ引き上げられが、それは現在も継続中。
タイ空路入国規制強化

タイの空港は入国規制を強化するように命じられた。
ビザ免除措置を利用してタイに入国するカンボジア人全員を厳格に審査せよとのことだ。
タイとカンボジアの陸路国境は閉ざされているが、両国を結ぶ航空路線は通常通りに運航されている。
また、カンボジア人へのビザ免除措置は継続している。
よって、カンボジア人がタイへビザなしで空路入国することはできる。
けれども、この状況下で、観光目的でタイへ渡航するカンボジア人がいる可能性は極めて低い。
商用目的で入国するカンボジア人は適切なビザを取得する必要がある。
今年12月に入ってから、すでに78人のカンボジア人が入国を拒否されている。
また、カンボジア人だけでなく、外国人傭兵に対するチェックも強化する。
外国人傭兵がビザ免除制度を悪用して、タイに入国し、タイの安全保障を脅かす作戦を実行する可能性があるとのことだ。
すでに12月の最初に10日間で、傭兵活動が疑われる128人の外国人が入国拒否されている。
現在タイで話題になっているのが、ロシア人傭兵がタイに潜入して、諜報活動を行ったり、秘密工作をしているのではないかという報道だ。
実際に、空軍基地のあるナコンラチャシマでは、外国人傭兵について注意喚起が出されているほど。
ただし、財タイロシア大使館からは、根拠のない主張であり、タイに滞在しているロシア国民の権利を侵害し、ロシアとタイの友好関係を損なうことを意図していると述べている。
入国規制が強化される空港は、スワンナプーム、ドンムアン、チェンマイ、プーケット、ハジャイの各空港。
空港での入国審査に時間がかかる可能性がある。
通常20分のところが45分に延長されるかもしれないとのことだ。
タイ人旅行者は自動化ゲートで入国できるため影響はないが、通常レーンに並ぶ外国人旅行者はいつも以上に長い列に並ぶことになるかもしれない。
参照:https://www.bangkokpost.com/thailand/general/3157094/border-checks-tightened
日本人旅行者への影響は?
年末年始にかけてタイ旅行を計画している日本人は多い。
タイ旅行は本当に大丈夫かと心配する人もいるだろう。
バンコク、パタヤ、プーケット、チェンマイなど観光地へ旅行する分にはまったく問題ないと言っていい。
現時点では、何も変わらない。
戒厳令や夜間外出禁止令が出ているのはカンボジアとの国境付近エリアのみだ。
日本外務省が出している危険レベルが3となったのも国境付近のみ。
観光地でいえばチャン島やクート島などを避けたほうがいいだけだ。
国境での衝突がさらにエスカレートしていき、観光地まで影響が及ぶ可能性は決してゼロではない。そんな時は日本でも大きなニュースになるわけで、当然旅行どころではなくなるだろう。ほぼありえないとは思うけれど。
大きく影響を受けそうなのは、空港での入国審査に時間がかかること。
すでにハイシーズンに突入して、タイへの旅行者が増えている。
ビザラン規制強化もあり、入国審査に時間がかかる状況だ。
スワンナプーム空港のイミグレでは長蛇の列となっているSNS投稿をよく見かけるようになった。時間帯によってはすごく混む。
カンボジア人および外国人傭兵への厳しい入国規制が実施されることで、さらに混雑が増す可能性がある。
でも、圧倒的大多数の日本人短期旅行者には、ビザラン規制強化も外国人傭兵もまったく関係がない話だ。
少々待ち時間が長くなっても普通に入国できるし、普通にタイ国内を旅行できる。
ビザランを疑われたり、カンボジアやミャンマーへの渡航歴があるような日本人旅行者は入国審査に時間がかかるかもしれないし、入国拒否される可能性もある。
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