日本の水際対策の終了への道とそれまでの注意点について。
誤解されている点やあやふやな部分が残っているので、少し整理しておく。
まず、4月3日に日本政府から、日本の水際措置は5月8日で終了する予定と発表された。
関連記事:日本の水際対策5月8日終了 政府発表
次に、4月5日から日本到着時の検疫の簡素化が開始された。
関連記事:本日より日本入国時検疫が簡素化、Visit Japan Webと証明書の提示が不要に
この簡素化の発表で誤解が生まれると同時に、Visit Japan Webのあやふやな部分が浮き彫りになった。
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日本入国検疫の誤解
4月5日の日本入国検疫簡素化については、デジタル庁の河野太郎大臣がツイートで告知した。
本日、4月5日から、日本入国時に空港検疫でのワクチン証明書又は陰性証明書の確認がなくなりましたので、日本人の場合、Visit Japan Webは税関まで提示する必要はありません。
航空機搭乗時でのワクチン証明書または陰性証明書の確認については、まだ継続しています。ただし、日本到着時の空港検疫での確認はしません。
このツイートの内容が誤解を生んだ。
ツイートのリプライには、誤解例と脊髄反射コメントが満載だ。
政府発表の水際対策の内容を理解していれば誤解しないはずだが、まあそれはしょうがない。たしかにわかりづらい。
河野大臣は、4月6日の夜遅くに、再度ツイートしている。
誤解のないようにお願いします。
海外から日本へ渡航する際の航空機搭乗時でのワクチン証明書または陰性証明書の確認については、まだ継続しています。ただし、4月5日から、日本到着時に空港検疫でのワクチン証明書又は陰性証明書の確認がなくなりました。— 河野太郎 (@konotarogomame) April 6, 2023
このツイートへのリプライも相変わらずの脊髄反射が目立つ。
4月5日から始まったのは、水際措置そのものの緩和ではなく、日本到着時のの書類確認作業の簡素化にすぎない。
ただそれだけのこと。
これまでどおり、ワクチン接種証明書あるいは陰性証明書がないと、日本に入国はできない。
日本人だろうと外国人だろうと同じ扱いだ。
その証明書を確認するのは、海外から日本へ向かうフライトの搭乗チェックイン時においてである。
これまでも搭乗チェックイン時には証明書の確認は実施されていた。これからも5月7日までは継続して実施する。
4月5日からは、日本到着時の検疫では証明書の確認はしない。
これまでは海外空港でのチェックと、日本到着空港検疫での二重チェック体制だったものが、海外空港での1回チェックに変わっただけ。
海外の航空会社と空港スタッフに丸投げしているだけという批判を見かけたが、このやり方のほうが、むしろ世界標準だ。
世界各国が水際対策を最大限強化していた頃は、出発空港での書類チェックと到着空港検疫でのダブルチェックを実施していたところが多かったが、その後は出発空港での書類確認だけで済ませる国が増えていった。
入国者が増えるに連れ、到着時の検疫で大混雑が起きるからだ。
アメリカは今でも外国人の入国にはワクチン接種証明書の提示を求めているが、出発時の搭乗チェックインで確認するのみ。アメリカ入国時には確認しない。
遅ればせながら、日本も他の国のやり方に切り替えたというわけだ。
証明書そのものを求めない国のほうが多くなった今では、もう数周遅れも甚だしいが、それでもやらないよりやったほうがいい。
5月7日までは、現行の水際措置が継続される。
5月7日までの日本人の日本帰国の流れは以下のとおり。
1.海外の空港にて:日本帰国フライトの搭乗チェックイン時に、ワクチン接種証明書あるいは陰性証明書の提示必須。証明書提示ができなければ、搭乗拒否される。Visit Japan Webの提示は必須ではない。
2.日本到着時:Visit Japan Webと証明書の提示は不要。検疫手続きがないため、飛行機を降りたら、そのままバゲージクレームと税関へ向かう。
3.税関:Visit Japan Webで税関申告のQRコードを作成しているなら電子申告用のキオスクでQRコードを読み取らせてから、自動ゲートを通る。もしくは、従来の紙の申告用紙に記入して、有人の税関ブースを通過する。
4.入国
以上。
要するに、海外から帰国する際には、ワクチン接種証明書あるいは陰性証明書を用意しておき、空港のチェックインカウンターで提示するだけ。あとは特に難しいことは考えなくもいい。
これが5月7日までの日本入国手順で、5月8日以降は変更となる。
5月8日に水際措置が終了する予定となっており、5月8日以降は証明書の提示が不要となる。海外の空港での搭乗チェックイン時も日本到着時の空港でも、ワクチン接種証明書も陰性証明書も何も見せなくていい。
5月7日まではワクチン接種証明書あるいは陰性証明書は必須のまま。
この点だけ注意しておけばいい。
特に難しくないと思うんだけどなあ。
まあさっさと水際措置を撤廃すれば済む話ではあるが。
Visit Japan Webは必要か不要か?
さて、これは厚生労働省が内容を一部更新した「検疫の手続き」だ。ホームページより引用し、一部マーカーを付けた。
・有効なワクチン接種証明書又は検査証明書のいずれも提示できない方は、検疫法に基づき、原則として日本への上陸が認められず、また、出発国において航空機への搭乗を拒否されますのでご注意ください。
・新型コロナウイルスへの感染が疑われる症状がある方については、入国時検査を実施します。検査結果が陽性の場合は、検疫所長の指示に従い、検疫所長の指定する宿泊療養施設等での療養が必要になります。
・新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけが5類感染症に変更される令和5年5月8日以降に入国される方については、有効なワクチン接種証明書又は出国前検査証明書の提示が不要となります。但し、海外で新たな感染症が発生した場合には、必要により日本入国時の検疫措置が強化されることがあります。
大事な点は2つ。
ワクチン接種証明書又は検査証明書の提示ができない人は、出発国において搭乗を拒否されること。
5月8日以降の入国では、証明書の提示が不要となること。
但し書き付きではあるものの、厚生労働省が検疫措置の終了を明言している。
このままいけば5月8日に日本の水際措置は終了することを政府が公文書ではっきり告げた形だ。
あやふやな立ち位置にいるのがVisit Japan Webだ。
Visit Japan Webは必要なのか不要なのか?
はっきりしろと言いたくなる。
4月5日からの証明書類確認の簡素化により、Visit Japan Webの意味は限りなく薄れた。
日本人に関しては、ほぼ意味がなくなる。
先の厚生労働省の検疫の手続きの表では、Visit Japan Webの登録は必要となっているが、実質的には不要になったといえる。
これまでもVisit Japan Webの登録は必須ではなかった。
Visit Japan Webに登録しないと日本帰国できないと勘違いしている人もまだいるようだが、決して必須ではない。
タイの空港で日本行きのチェックインをしているタイ人の多くがVisit Japan Webを登録していない。でも問題なく搭乗できている。確認されているのは、ワクチン接種証明書あるいは陰性証明書だけだからだ。
日本到着時に個別に検疫手続きと書類確認作業が行われてから日本入国することができる。
4月5日の簡素化にともない、この日本到着時の確認作業がなくなったというわけだ。
もともと必須ではなかったVisit Japan Webが、さらに必要性が薄まったことになる。
ただ、Visit Japan Webについては、あやふやで中途半端なままだ。
絶対やれとも、やらなくてもいいとも、日本製は明言していない。
必要か不要かは宙ぶらりんの状態だ。
厚労省とデジタル庁の公式発表から導かれる論理的な帰結では、日本人帰国に際してのVisit Japan Webの登録は税関電子申告以外の目的では不要となる。
だって、Visit Japan Webのファストトラックの画面をチェックする場面がないんだもの。
海外空港での搭乗チェックイン時に確認されるのは、ワクチン接種証明書or陰性証明書の有無だ。原則として、Visit Japan Webの登録は確認されない。Visit Japan Webの確認をされずに搭乗している人は山ほどいる。
で、日本到着時には証明書もVisit Japan Webも確認されない。
Visit Japan Webの説明書きにも、日本入国時の検疫での画面確認は簡素化したと記載されている。
となれば、Visit Japan Webの登録画面を確認する場面はない。
確認しないものを、わざわざ登録する必要もない。
よって、Visit Japan Webは不要ということになる。
日本人がVisit Japan Webを使うとしたら、税関電子申告でのQRコードを発行するためにVisit Japan Webを用いる場合のみ。
どう考えても、Visit Japan Webは不要となったわけだが、それでもやっぱり5月7日まではVisit Japan Webの登録を推奨しておく。
何があるかわからない。
海外空港での搭乗チェックイン時にいきなりVisit Japan Webの登録画面を見せろを要求されるかもしれない。
それは経験上ほぼありえないとわかっているが、決してゼロではない。
日本到着時の検疫では書類確認もVisit Japan Web確認も簡素化したとなっているが、いきなり要求される可能性もある。
理屈上ではVisit Japan Webの登録は不要としか言いようがないのだが、リスク回避という意味では、登録しておいたほうが無難だ。
まあ、タイから日本行きの直行便に搭乗するなら、Visit Japan Webは間違いなく不要だろうけどね。
5月8日以降はVisit Japan Webのファストトラック登録は正式に不要となるはずだ。電子申告する人だけ登録すればいい。
Visit Japan Web自体は5月8日以降も存続するが、基本的には外国人向けということになろう。日本人に関係するのは税関電子申告だけ。
まとめ
日本の水際措置はころころ変わるため、たしかにわかりづらい。
たまにしか情報をチェックしない人はなおさらだと思う。
誤解するのも致し方なし。
とりあえず、5月7日まではワクチン接種証明書or陰性証明書が必須のまま。
Visit Japan Webは、ほぼ間違いなく不要。でも登録しておくのがベター。
5月8日以降は、証明書不要で、Visit Japan Webも検疫に関しては登録不要。
いろいろ難しいことを考えたくない人は5月8日以降に帰国するのが一番だ。
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