すでに日本でも各メディアが報道しているように、5月19日、タイ政府の決定により、タイ国際航空(THAI)がタイ破産裁判所で会社更生の手続きを受けることになった。
タイ国際航空経営破綻
タイ国内ではここ最近、ずっとタイ航空の破綻と再建問題が取り上げられていた。
政府による財政援助が検討されていて、首相もこれが最後のチャンスだなどと警告しつつも援助する方針でいたようだ。
が、最終的にはこういう形となった。
タイ航空2万人の従業員のレイオフは行われない。
タイ航空はここ数年損失を出し続けていた。
2018年が118億バーツ、2019年が120バーツの純損失。
今年はパンデミックの影響で180億バーツの損失となると見られている。
なお、2019年待つ時点での負債総額は、2,450億バーツ(約8,000億円)。
もはや会社内部の手による自主再建は不可能と見限られ、裁判所の監督のもと、外部の手を入れて、経営再建していくことになる。
政府としても、この国難のタイミングで、赤字垂れ流しのタイ航空に対して巨額の資金援助を行うことは国民からの避難の声が集中すると感じ取ったのかもしれない。
首相のコメントを読むと、この方法が最善の選択だと述べている。
タイと世界の国々は危機に直面している。タイ国は、人々を農民を中小企業を賃金労働者を自営業者を家族のために必死に働いている人を助けるために金を費やすべきだ、と。
参考⇒Bangkok Post
タイ航空は運行継続、チケットもそのまま
一方、タイ航空側も声明を出している。
タイ航空のホームページに掲載されている。
今のところ、日本語版はなく、英語で。
⇒https://www.thaiairways.com/en/news/news_announcement/news_detail/thai-reform-plan.page
タイ航空は2020年5月19日に内閣の決議による法のもとで再建計画を実施しながら通常どおり運用する。
破産法に基づいて事業再編を行っていくが、タイ航空がすぐに解散することも清算されることも破産宣告を受けることはない。
再建計画と並行しながら業務を行い、効率を高め、品質とサービス向上につとめる。
タイ航空は危機的状況から抜け出すために可能なかぎりのことを行う。
感染状況が収まると、完全な運用を再開する。
すでに購入済みのタイ航空の航空券は引き続き有効。
だいたい以上のようなことが書いてある。
単なる文章上の印象かもしれないが、どうにも反省しているように思えない。
なんだか綺麗事という他人事というか真剣味のない内容。
今回のタイ航空経営破綻のニュースを聞いて、購入済みチケットの心配をした人も多いと思う。
とりあえずはチケットは有効なまま。
今すぐにタイ航空が消えてなくなり、チケットが紙くずになるわけでは決してない。
運行キャンセルにともないチケットの払い戻しも受け付けている。
が、おそらく手元にキャッシュがないだろうから、実際の払い戻しには時間がかかるかも。
タイ航空を少しでも応援したいなら、日程変更で我慢するのもありかもしれない。
現在、タイへの国際線旅客便の運行は6月30日まで禁止されている。外国人がタイへ入国することはできない。
タイ航空も現在全便運休中。
予定では7月1日から運行再開となっている。バンコクと日本を結ぶ一部路線も7月1日から運行再開予定。
とはいえ、国際線フライト禁止措置がさらに延長されれば、タイ航空の運休も延長されるだろう。
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感想
政府としてナショナルフラッグシップキャリアを潰すことはないだろうと、ほとんどの人が思っていたはず。と、同時に、どうせ巨額の資金援助しても、また赤字垂れ流しのままだろうと鼻白む思いもしていたと思う。
が、一気に破産裁判所での会社更生手続へ。
ちょっとびっくりした。
でもまあ、これが正解かとも思う。
妥当な判断であろうと。
経営陣は一新されるだろうし、そのうち従業員のリストラもあるだろうけど2万人の職はとりあえず確保される。運行も継続する。
日本のJALの会社更生法適用の時とよく似ていると感じる。
同じような放漫経営で、内部改革もできず、赤字が累積していき、ついに経営破綻。
JALはうまく会社を再建することができた。
TGがJALのように再建できるか、これからに注目。
個人的には最近でこそタイ航空はあまり利用しなくなった。
マイレージがたまっている時に利用するくらい。
日本からバンコクへ行く際は、安いLCCばかりになった。
でも、LCCが運行する前は、タイ行きといえばTGで決まりだった。
年に5,6回はTGに乗って日本とタイを往復していたものだ。
タイといえばTGだ。
あの紫色の機体を見るたびに胸が高まった。
タイ航空は潰れてほしくないと本気で思う。なくなってほしくない。
タイへ行く=TGに乗る、という図式は、タイ好きにとっては永遠のものであってほしいのだ。
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