パタヤ千夜一夜

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フィリピン関連で読んだ本~歴史からフィリピーナまで

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10代の頃から世界史には興味があり、歴史本はよく読んでいた。
バックパッカーを始めてからは、海外旅行記も読むようになった
タイにはまってからは、タイ関連の本が増えた。
けれども、バックパッカーとしてもフィリピンはスルーしていたし、フィリピンに関する本もほぼスルー状態だった。
アンヘレスに通うようになってから、ちょこちょこと読み出したが、数はそれほど多くない。
そもそも、タイに比べてフィリピン関連の出版物は少ないと思う。

フィリピン関連本

今回はこれまで読んだフィリピン関連本をいくつか紹介。
歴史からフィリピンパブ嬢、日本を捨てた男まで。

物語フィリピンの歴史 鈴木静夫

サブタイトルが、「盗まれた楽園」と抵抗の500年。
抵抗する民族としてのフィリピンの歴史を描いてある。
スペイン支配からアメリカ支配、それから一時的には日本の統治下に入る。それから独立へ。

そういえば、世界史の授業でもフィリピンについて習うことはなかったと思う。
個人的に興味を抱いて調べることも特になかった。
ざっくり、スペインとアメリカに長く統治されていたという程度の知識。
スペイン支配の影響で、スペイン語系の地名や人名が多いのはわかる。
Angelesがエンジェルではなくてアンヘレスであり、日本はジャパンではなくてハポン。
戦後史でいえば、マルコス大統領独裁とイメルダ夫人の大量の靴くらいの印象。
ほんと、フィリピンの歴史については知らないことばかりだった。

抵抗の500年史であって少々偏った著述ではあるが、フィリピンの通史を知るにはいい一冊だと思う。

アンヘレス好きとして興味深いのは、太平洋戦争初緒戦におけるクラーク空港への日本軍の爆撃。これによってアメリカ軍はフィリピンでの制空権を失った。
その後、マッカーサーはフィリピンから逃亡。連合軍は降伏。
大量の捕虜が発生し、その結果として、いわゆる「バターン死の行進」へ至る。

本書で強調されていることの一つに、英語偏重教育がある。
フィリピンでは大学の講義はすべて英語でおこなわれる。裁判所の判決文も英語で書かれる。役所も同じ。
要するに英語ができないと出世の道はない。
落ちこぼれはどんどん落ちこぼれていき、富の二極化が進む。
さらには、タガログ語がないがしろにされて、フィリピン人としてのアイデンティティの希薄化が危惧されると。

難しい問題ではある。
英語が公用語とされているからこそ、多かれ少なかれフィリピン人は英語を話すことができて、外国への出稼ぎや英会話学校の講師ができるようになっている。
もしもタガログ語のみだと、フィリピンの経済は成り立たないかもしれない。
かといって、母国語を大事にしないわけにもいかない。
いろいろ考えさせられる。

バターン死の行進ーマイケル・ノーマン, エリザベス・M・ノーマン

バターン死の行進に関しては決定的ともいえる専門書。
丹念に取材してあり、この分野に興味があるなら必読。
クラーク空港のみならず、その周辺の地名がごろごろ出てくる。
分厚い専門書だけに読みごたえたっぷり。
取材した著者も大変だったろうけど、翻訳者の苦労も相当なものだと思う。
日本語の本として読みやすくなっているのは翻訳者の功績が大。

ルソン戦ー死の谷 阿利 莫二

フィリピンを舞台にした著作といえば、太平洋戦争における戦記ものが多くなる。
これは、戦記というより、学徒動員された著者がひたすら飢えと病気に苦しむ話。
インパール作戦同様、フィリピン戦線も異常だった。
読んでいて気が重たくなる新書であった。

バナナと日本人 鶴見良行

1982年の刊行ながら、未だに売れている岩波新書のロングセラー。
ミンダナオ島におけるバナナ農園と、外国資本や日本との関係をえぐっている。
かつては高価だったバナナが、なぜ日本では安く買えるようになったのか。
その裏にはミンダナオ島の農民たちの苦労と涙がある。

フィリピンの街角の八百屋でもバナナは売られているが、日本で売られているような綺麗な色と大きさをしたものはまず見かけない。小さくて色も悪くてなんだかまずそうに見える。
いいバナナは外国に売られていく。
だから実際にバナナを作っている農家はそのバナナを食べることができない。
安くて色の悪いバナナを食べるしかない。
なんとも考えさせられる話だ。

フィリピンの歴史にも触れられており、薄い新書ながら、中身は濃い。
また読み返したくなる一冊だ。

奥様はフィリピーナ 今藤元

戦争と歴史と経済から離れて、舞台は日本へ。
フィリピンパブで知り合ったフィリピーナとの結婚した日本人の話だ。
軽い文体で書かれていて、大変読みやすいけれど、意外と中身は深い。
結婚相手のフィリピンの実家を訪れるエピソードは笑いと怒りと呆れで泣きそうになる。
文化の違いと言えばそれまでだけど、フィリピン人、それもいわゆる底辺層の考え方や家族のあり方については、日本人ではついていけない部分は大きい。
それはタイにも共通する。
でも、文化の違いをうまくやりくりしながら、仲良く夫婦生活を送っている二人をついつい応援したくなる一冊。

フィリピンパブ嬢の社会学 中島弘象

奥様はフィリピーナと同じく、フィリピンパブ嬢と恋愛して結婚する話。
2017年発行の比較的新しい内容だ。

この本はすでにブログ記事にしてある。
関連記事:おもしくて一気読み。「フィリピンパブ嬢の社会学」中島弘象。

やはり、興味深いのはフィリピンの実家を訪ねるくだり。
おもしろい本なので一読必須。

日本を捨てた男たち 水谷竹秀

フィリピンにハマり、彼の地に住み込んでしまう日本人は少なくない。
日本にはもう帰る家がない。
そんな日本を捨てた男たちを取材した好著である。
副題は、フィリピンに生きる「困窮邦人」。
日本を捨てたのか、それとも日本に捨てられたのか、過程はともかく、フィリピンで一文無しになってしまう。
金を失ってしまった理由は様々だが、恋に落ちたフィリピン女性を追いかけてフィリピンに渡ったはいいが、彼女とその家族に身ぐるみ剥がされたというものが定番。
一文無しとなっても、フィリピンで困窮日本人として生きいる。周りのフィリピン人たちが食料を恵んでくれるそうだ。

タイにも同様の困窮日本人はいるが、フィリピンがダントツで多い。
単純な日本人訪問者ではタイのほうが多いはずなのに、なぜかフィリピンにはそういった日本人が集まっているような気がする。
タイとフィリピンは似ているようで、やっぱり違う。
このあたりの違いについては自分でも考察してみたいところ。

さて、タイやフィリピンの夜遊びにハマっている人は、この本を読めば身につまされる思いがするだろう。
明日は我が身ではないのかと。
が、実際は、熱心のタイ・フィリピン夜遊びリピーターには耐性がついているかもしれない。
何度も通っていれば、夜の女性たちの生態や家庭環境がわかってくるものだし、それに対応するノウハウも心得てくる。
危ないのは遊びの経験が乏しい人。真面目一本で生きてきて、いきなり夜の世界に触れると、耐性がないぶん、一気にやられる。
タイ女性にしてもフィリピン女性にしても、それはそれは魅力的に映る。
日本での窮屈な生活を捨てて夢の楽園生活を送るのだと妄想が爆発して、一気に移住。そして、一文無しとなる。
遊びの経験があれば歯止めになる。
が、彼女たちの生態がわかっていても、やはりその魅力からは逃れ得ない。
リピーターになるからには、ハマっているからこそだ。
どうせなら、タイやフィリピンに移住してしまいたくなってしまうもの。

個人的にはフィリピンにはハマっていないが、タイ・パタヤにはずっぽりはまっている。
今のところは何とか普通に生きているが、いつか困窮邦人となる日が来るかもしれない。
やっぱり明日は我が身だ。

続編もあるが、こちらは未読。

同じ著者による、バンコクのコールセンター勤務日本人の生き様を描いた本もおもしろい。

関連記事:『だから、居場所が欲しかった。』バンコクコルセン物語は残酷か否か?

バタス 藤野眞功

フィリピンの刑務所で顔役となった日本人を描いたノンフィクション(?)。
最初は表紙の全身入れ墨男がその日本人かと思ったが、全然別の人。
でもこのような強面たちが渦巻くフィリピンの刑務所で生き延びただけでなく、「王」とまでになったのは恐るべきこと。

タイの刑務所の極悪ぶりは、洋書和書でもけっこうな数が出ている。

関連記事:バンクワン刑務所へようこそ THE DAMAGE DONE
関連記事:「求刑死刑 竹澤恒男」 バンクワン刑務所の実態とは?

が、フィリピンの刑務所ものは稀。
そういった点でも貴重な資料である。
が、正直、読み終えてもあまり印象に残っていない。何か記憶に残りづらい本なのである。
なんとも評価に困る。

フィリピン憤激ひとり旅 のなか悟空

タイやインドなどのアジア旅行記は多いけれど、フィリピンの旅行記はすごく少ない。
フィリピンは島嶼国であり、移動自体が大変。陸続きで他の国へ行けない。また治安や雰囲気があまりよろしくないため、バックパッカー系旅行者は敬遠しがちだ。
わたしも同じで40カ国以上は旅行してきたが、ずっとフィリピンを訪れることはなかった。
アンヘレスという街がなければフィリピンを訪れることはなかっただろう。

アンヘレス好きの友人に貸してもらった本が、のなか悟空のフィリピン旅行シリーズ。
全部で3冊あるからそれなりに売れたのかもしれない。
たしかにフィリピン旅行記や現地の様子を伝える本としてはレアかもしれない。

が、はっきり言って、おもしろくない。文章も中身も稚拙。
貧乏旅行自慢やフィリピン人への悪態など、まあ東南アジアやインドなんかを旅行した経験がある人なら同じような感覚になることもある。
それはわかるが、どうにも居心地が悪い文章の連続なのだ。
読みすすめるのがつらかった。
借りた手前、きちんと読破はしたが、ほぼななめ読み状態。よって細かい中身は覚えていない。本の写真も無し。

ちょっと調べてみると、福沢諭というペンネームで、フィリピンパブシリーズを書いているもよう。
こちらは評価が高い。
どうにもフィリピンと旅行記は相性が悪い。

まとめ

フィリピン通史、戦争もの、フィリピンパブ嬢、困窮法人、バックパッカーものと脈絡なく取り上げてきたが、当ブログ的にやっぱり一番面白いのは、フィリピンパブ嬢ものだろうなあ。
まじめな本にはフィリピンパブ嬢は取り上げられない。
でも、フィリピンパブ嬢を通した彼女たちの生活や考え方や家族のありかたを描いたもののほうがフィリピンの姿をいきいきと伝えるようだ。
アンヘレス好きとしては、太平洋戦争中のクラーク周辺の歴史をもうちょっと調べてみたいところ。

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