沈没日記28
ぶらぶらと深夜のブッカオを歩いていると、見慣れぬバービア嬢がいた。
そのバービアには、過去何度も入ったことがあるが、見かけたことはない。たぶん新人だろう。
ちょっとプンプイだが、顔立ちはかわいい。
愛嬌もあって、わたしを見ると愛想をふりまいてくれる。
まあ、ちょっと飲んでみるか。
19歳新人バービア嬢
年齢は19歳。もうすぐ20歳らしい。
イサーン出身。
パタヤへ来て3日目。ど新人だ。
体型から想像はついたが、やはり子持ち。
素直に告白してくれるんで、わかりやすい。
子どもがいるかどうかを聞くのは簡単。
「ミー ルーク マイ?」
ミー=ある
ルーク=子ども(息子、娘)
マイ=疑問形
「ミー」と答えが帰って来たら、
「ミーギーコン?」と聞く。
ギー=数字をたずねる時に使う
コン=人
つまり、「何人いるの?」ということになる。
一人なら、「コンディアオ」とか「ヌンコン」もしくは「コンヌン」といった答えが返ってくる。
二人ならソンコン、三人ならサームコン。
二人以上いるなら、「オー ブンブン マークマーク、タルーン」とでも言ってからかってあげましょう。
ちなみに彼女の出身県は、サコンナコーン。
犬食で有名な地方だ。
サコン出身嬢には、必ず「ギンマーマイ(犬は食べるの)?」と聞くようにしている。
ギン=食べる
マー=犬
答えは決まって「マイギン」だけど。
犬を食べると、犬になっちゃうぞ。
「ギンマーレオ ペンマー」と言って、わんわん吠えるジェスチャーをすると、ちょっとウケます。
さて、19歳のサコン嬢。
非常に性格が明るくて、一緒にいて気持ちがいい。
レディドリンクをおごってあげると、べたべたしてくる。
ずっとディープキス。
衆人環視のバービアでここまで積極的に求めてくるのは、少数派。
これはベッドの上でも期待が持てる。
が、残念ながら、「ペン ファイデーン」とのこと。
つまり生理になっているという意味。
とりあえずLINEだけで友だちになっておこう。
すると、LINEはやってないと言う。
携帯電話を見せてもらうと、今どき珍しいガラケーだった。
(これはわたしの初代タイ携帯電話。NOKIA製。)
いわゆるサムソンやノキアの500バーツガラケー。
トゥッコムあたりだと550バーツとか600バーツで売られているが、面倒なんで「500バーツガラケー」と呼んでいる。
おお、これは本当に田舎から出てきたばっかりに違いない。
今どき500バーツガラケーを使っているバービア嬢は非常に珍しい。
ギャラクシーだのアイフォンだのエクスペリアだのが当たり前になってきている。
とりあえず電話番号だけ交換して、この日はおしまい。
ふふ、期待が持てるぜ。
番号のことは、タイ語で「ブー」となる。
これは、英語のnumberの語尾から発生したタイ語らしい。
詳しくは、下川裕治氏の「タイ語の本音」を参照のこと。
「電話番号を教えて」は、「コーブーノイ」となるのだが、このブーが少々通じにくい。ブーでもバーでもない日本人には馴染みのない発音。
そんなときは、「ナンバー トラサップ」と言い換えるようにしている。
トラサップが電話の意味だ。これなら、わかってもらえる。
連日のバービア通い
さて、翌日も彼女のバービアへ。
が、体調不良とのことで仕事は休み。
生理だし、しょうがない。
さらにその翌日も彼女は休みだった。
バービアのおばちゃん連中と飲んでいると、急に後ろから抱きつかれた。
おっと、19歳の彼女だ。
わたしがバービアに来ていることを知らされて、かけつけてくれたようだ。
嬉しいねえ。
まだマイサバイ(元気がない)だという。
ちょっと熱もあるとか。
「熱がある」は、「ミー カイ」もしくは「ペン カイ」だ。
マイサバイな人には、必ずこう聞いてあげよう。
「ギン ヤー レオ ルー ヤン?」
ギン=食べる、飲む
ヤー=薬
レオ=(過去形)
ルー=もしくは。英語でのor
ヤン=まだ
レオールーヤンで、もう済ませたかどうかを聞く定形表現だ。
レオを省略して、「ルーヤン」と言ったり、さらに省略して「ヤン」だけにすることもある。
つまり、「ギン ヤー ヤン」となる。
「ご飯はもう食べた?」なら、「ギンカーオレオルーヤン?」が教科書的表現だけど、実際には「ギンカーオヤン?」と聞かれることが多い。
もう食べたなら「ギンレオ」、まだなら「ヤン」とだけ答えればいい。
彼女の答えは「ヤン」
薬を買うお金もないとかいじらしいことを言う。
まあ嘘だろうけど、タイの薬は激安なんで、それくらい買ってあげようではないか。
一緒にコンビニへ言って、風邪薬を買ってあげる。
ついでに気付け薬のヤードゥムも。
合わせて30バーツくらい。いや、ほんとタイの薬は安い。これで歓心が買えるなら、安いもんである。
彼女はしきりに「コップンカー」と繰り返していた。
いい子かも。
この日は、これでおしまい。
また、翌日。
バービアにつくと、彼女は働いていた。
でも、ファランの客にべったり付いている。
すると、あっさりとそのファラン客にペイバーされていった。
あれま。
翌日の昼間、スマフォのLINEを開くと、彼女の名前が新規友だち登録されている。
ああ、スマフォ買ったのか。
さっそくLINEを開設して、電話番号から自動的に友だち登録されたわけだろう。
さらにその夜、バービアへ。
彼女は高そうなスマフォをいじって遊んでいる。
さては、ファランに貢いでもらったな。
スマフォとファランに夢中で、わたしには、まったくかまってくれない。
あげくの果てに、またまたファランにペイバーされていった。
LINEでスタンプを送ってみるも、返信は無し。
こりゃあダメだ。
30バーツの風邪薬よりも、3000バーツのスマフォのほうが効果あるようで。
タイ語でコミュニケーションを取って面倒を見てあげるよりも、英語のみだけどスマフォを買ってあげるほうが喜んでくれる。
当たり前っちゃあ当たり前だけど、ちょっと悲しくなるよね。
というわけで、19歳新人バービアとのやり取りはここでおしまい。
生理があったりと、ちょっとタイミングが悪かったかな。
初日にすぐにペイバーできていれば、その後の展開は変わったかも。
夜のサービスは抜群に期待できたのに少々残念。
まあ、こんなものですよ。
投資した額は、レディドリンク1杯分と風邪薬だけ。
被害という言い方はおかしいが、最小限の出費で済んだ。
次だ、次。
日本でもNOKIAのSIMフリー携帯は購入可能。3000円台。