現在、海外から日本に入国帰国する際には原則14日間の待機が必要だ。
一部の国からの入国では検疫所が指定する施設での強制隔離が求められるが、タイから日本への入国の際には必要なくなった。
空港から自分で指定して待機場所(多くは自宅)で14日間待機する。ワクチン接種証明書提示で10日間に短縮することが可能となる。
先日タイから日本に帰国したので、日本での自宅待機の実態をレポートする。
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空港から待機場所・自宅まで
タイから日本の空港到着の様子はこちらから。
関連記事:タイから日本への帰国全行程。日本での検疫の様子もレポート。
関西空港での検疫は流れ作業につき、特に難しいことはなかった。
すべての手続きが終わると、自由に空港の外に出ることができる。
出口には、公共交通機関の使用を控えるよう注意書きがしてある。
が、特に係員が見張っているとか、追跡されているとか、そんな雰囲気はまったくない。
このまま空港バスに乗ったり、電車に乗っても、誰にも咎められそうにない。
実際に電車で帰っている人もいるという話は聞く。
でも、むろん、それは誓約に反した行為。
決してやってはいけない。
家族や友人に車で迎えに来てもらうか、自分でレンタカーを運転するか、ハイヤーを利用するしかない。タクシーも利用不可だ。
もしも待機場所が自宅ではなくてホテルであればホテルの送迎サービスが利用できる。
わたしは友人に迎えに来てもらい、自宅まで送ってもらった。
あらかじめ指定した待機場所(自宅)に着いたら、空港検疫手続き中にダウンロードしたMy SOSを開いて、「待機場所登録」をタップして、登録する。
ここから待機生活がスタートする。
待機期間は、日本入国の翌日からカウント開始となる。
たとえば、12月1日に日本到着したら、12月2日が待機1日目となり、14日間待機ならば、待機最終日は12月15日で、待機終了は12月16日朝となる。ワクチン接種済みならば短縮可能で最短で12月12日に待機終了。
自宅待機期間中のルール
空港でダウンロードしたアプリは3つある。
位置情報記録のグループマップは特に何もしない。ただの記録用。
接触確認アプリ(COCOA)の利用についても特に何もしない。「陽性者との濃厚接触はありません」といった通知が頻繁に送られてくるだけ。ポップアップ通知がうるさくて鬱陶しいので、ポップアップは通知しない設定に変更した。もちろんアプリ自体はログインしたままにしておく
待機期間中に活用するのは、入国者健康居所確認アプリ(MySOS)だけとなる。
My SOSで行うのは、現在地報告、健康状態報告、ビデオ通話による居所確認。
現在地報告は、一日何度か「現在の位置情報」を求める通知が届くので、現在地報告すればいい。
が、別に任意の時間に「現在地報告」しても問題ないようだ。
健康状態の報告は1日1回のみ。これも通知が届くが、任意の時間に報告しても問題なさそう。
あほほど簡単な質問に答えるだけ。
これで健康管理ができるとは到底思えないのだが。
そして、ビデオ通話だ。
My SOSから、ビデオ通話の着信前に通知が届く。
居所確認のために録画と、位置情報を取得するとのこと。
その後ほどなくして実際にビデオ通話がかかってくる。
AIによる自動通話で、ただ自分の姿をさらすだけ。
自分の顔と部屋の背景が映さなくてはいけない。
30秒で通話は自動的に終了する。
着信があったら必ず応答してください、と注意書きしてある。
「寝ていたり風呂に入っていて応答できなかったらどうするんですか?」と空港検疫の担当者に確認したら、その時は次のビデオ通話には出るようにしてくださいとの返事。
100%必ず応答しなければいけないわけではない。
ビデオ通話がかかってくるのは、まず午前中。
どうやら、一般的な勤務時間内に電話することになっているようだ。つまり、自宅待機せずに会社で働くことを阻止する狙いがある。
午前10時から11時の間が多い。
わたしはその時間帯は100%寝ており、一度もまともに応答できなかった。
寝ぼけたまま電話に出て、真っ暗な寝室で画面を開いたことはあるが、たぶん何も映っていなかっただろう。
夕方に必ずもう一度かかってくる。18時前後が多い。遅くても20時まで。
この際はほぼ確実に応答できた。
お知らせ履歴には、通知がざらりと並ぶ。
鬼電と呼ばれることもあるが、まあそんなたいそうなものではない。
毎回必ず応答する必要もなく、実際はかなり緩いという印象だ。
ただ、待機期間中に一度も応答しなければ完全アウト。誓約に違反したとして、実名が公表されることになる。
逆に待機期間中の数回程度応答していれば、名前が公表されないともいえるわけで、回避する方法は容易に思い付くが、誓約は守りましょう。
待機期間中の外出について
あくまで待機であって、強制隔離ではない。
公共交通機関の利用は不可だが、食事や食料の買い出しなど必要最低限の外出は認められている。
待機期間中に外出するのは簡単だ。
はっきりいって、いくらでも外に出ることができる。
食料や生活必需品の購入だけでなく、飲食店で店内飲食もできる。会食は不可でも、生きるために一人で食事する行為は禁止されない。他の人との接触は避けないといけないが。
必要最低限の外出と、不要不急の外出の境界線は非常にあいまい。
だからといって、どこでも出かけていいわけでは決して無い。
グーグルマップの位置情報記録保存設定を解除すれば、訪問した場所は記録されない。
そもそもアプリを入れたスマホを待たずに外出すればいいだけだ。
夜間はビデオ通話はかかってこないし、居所確認通知も必要なく、本当にやりたい放題。
いくらでも夜遊びすることもできるし、友達と飲みに行くこともできる。
でも、それは誓約違反。
そもそも、日本帰国者として決してやってはいけない行為だ。
待機期間短縮について
タイからの日本入国では、ワクチン接種証明書があれば、待機期間短縮が受けられる。14日から10日に短縮可能だ。
待機9日目にこのような案内がMy SOSに通知される。
待機期間短縮には10日目以降の検査が必要となっている。PCR検査もしくは抗原定量検査だ。
認められた検査実施機関で検査しないといけない。
リストから検査期間を探して、検査を受ける。
検査費用はぴんきりで、安いところは3000円ほどで、高いところは3万円以上。
10日目に検体採取して、結果を待つ。
検査結果が陰性であれば、検査結果をMySOSに届け出ることになるが、これは陰性証明書ではなくて、ただの結果通知書でいい。検査機関に聞けば、必要な添付書類を教えてもらえる。
My SOSに陰性結果通知のスクリーンショットなどを添付して送信。どの検査機関で検査したのかも選択する。
センターが承認すれば、待機間終了を告げる。
滞在10日目に検査、即日結果判明、MySOSに検査結果届出、そして11日朝に待機終了のお知らせが届くというのが最短の流れだ。
もし検査結果判明に時間がかかり、届出も遅れれば、待機解除はどんどん遅れていくことになる。
3000円の安い検査機関では、検査通知は翌日の午後11時と言われた。
これだと10日目に検査を受けても、待機終了は12日目となってしまう。
追加料金を払えば即日結果判明もできるそうだが、なんだか面倒になって、待機短縮はあきらめた。
どうせ部屋でずっとパソコン作業しているだけだし、外出して買い物もできる。特に不便はない。
10日も14日も似たようなものだ。
残念なのは、友達との飲み会が4日延期となったしまったことくらい。
本来の14日待機が終了すると、お知らせが届いて、正式に待機終了となる。
感想:日本の自宅待機はゆるゆる
タイが実施してきた強制隔離措置と比較すれば、日本の自宅待機はとてつもなく緩い。
はっきりいって、ザルだ。
ルールは決められているが、強制されてはいない。
空港から電車やバスで帰ることもできてしまうし、自宅待機であっても外出し放題だ。
感染対策すべてに言えることだが、タイでは違反すると問答無用で逮捕されかねない強制措置が取られていて、日本では単なる要請にとどまる。
自宅待機は誓約書を提出しているが、これも日本人には罰則がない。アルファベット表記のフルネームが公表されることがあるだけ。
本当にいくらでも自宅待機を破ることができてしまう。
実体験として、バレる可能性は低いように思える。
が、もしなにかあった場合は大問題となるだろう。
たとえば待機期間中に会社に出勤したり、飲み会に参加したりして、そこで感染が発覚しようものなら、どうなるか。少し考えたらわかる話だ。ただで済むわけがない。
そもそも、ルールはルールだ。守るのが当然としかいえない。
これが日本のやり方である。
タイから日本への帰国まとめ
タイから日本に帰国。
パタヤでの陰性証明書取得にはじまり、日本入国時の手続き、自宅待機まですべて体験した。
難しいことはなにもない。自宅待機もゆるゆる。
でもまあ面倒くさいし、とにかく時間がかかる。
何度もやりたくはない。もういやだというのが正直な気持ち。
日本で普通に会社勤めをしているようなごく一般的な短期旅行者では、現状、海外旅行してから日本に帰国してすぐに普段の仕事と生活を始めることなどできない。
これはあまりにもハードルが高すぎる。
11月1日にはタイ入国時の強制隔離は免除となった。
11月8日からはビジネス目的入国にかぎり、日本の待機期間が3日に短縮される予定。そのうち、一般の入国でも待機期間のさらなる短縮が実現するだろう。
本格的にタイと日本の往来が再開されるのは、まだもう少し先になりそう。
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