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パタヤ近況

タイに広がるTHE PANTRY OF SHARING運動、トゥーパンスック

投稿日:

タイでは、職を失い、食事に困っている人がたくさん出ている。
そういった困窮した人を助けるために、新しい運動が広がりつつある。
箱を設置して、その中に無料で食料を置いておく。好きなときに好きな人が自由に持ち帰っていいいというものだ。
まさに草の根助け合い運動となっている。

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THE PANTRY OF SHARING

支援のための箱のことをタイ語でトゥーパンスック(ตู้ปันสุข)と呼ぶようだ。

トゥーが箱(参考:冷たい箱を意味するトゥーイエンで冷蔵庫)
パンがシェアする
スックが幸福

幸福を分け合う箱か。

英語をそのまま使って、THE PANTRY OF SHARING運動とも呼んでいる。

外国での同様の運動を参考にして、タイではバンコクで始まった。

店先や道端に棚を設置。その中に、生活に少しでも余裕がある人が、なるべく腐らないような食料や生活必需品を善意で寄付して置いていく。生活に困った人が、棚の中のものを必要なぶんだけもらっていく。
棚にはノートとペンも置いてあり、もらった人は感謝の言葉を書き記す。
そして、いつか生活に余裕が出た際には、今度は寄付する番にまわる。
そうやって善意のバトンタッチをしていけば、幸せをシェアできるだろう。

そういう運動だ。

運動が始まった当初は懐疑の目で見られていた。

動画

この動画は英語字幕付きでわかりやすい。

棚にものを入れたって、どうせ最初の誰かが全部取っていくだけさ、それがタイ人-
中の食料だけでなく、棚ごと取られちゃうかもね-

といった否定的なコメントがネット民から相次ぐ。
でも、とりあえずやってみよう。タイ人が本当にそんな人ばかりなのか見てみようと、運動をスタート。

言葉がわからなくても、映像だけでも理解できるはずだ。
なかなかに感動的なビデオになっている。

現在のタイにいれば、このビデオはよりリアルに映る。
パタヤでは毎日のように各所で炊出しが行われ、米や卵の配給も実施されている。
いずれも長蛇の列だ。
職をなくし、食べるものにも困っている人がこんなにもいるのかと圧倒されるほどだ。
そういった実情を目にしていると、タイ人の助け合い精神に感服する。

このトゥーパンスックも同様。
大掛かりな炊出しは資金も設備も人手も必要とする。なかなか個人でできるものではない。
でも、このトゥーパンスックなら、家に余っているインスタント麺や缶詰や水を箱に入れるだけでいい。
それで困っている人の助けになる。

パタヤの設置場所

5月初旬に、最初にトゥーパンスックが設置されたのがバンコクのスクンビットやラヨーン。

5月10日時点の情報では、タイ全土に広がっている。
51県249箇所に設置されているという。

判明しているパントリー設置場所は以下に記載あり。

https://www.facebook.com/bank.kulchartvijit/posts/3186072311416419

パタヤには、ビッグCサウスパタヤ店近くに設置してあるという。
さっそく現地を見てきた。

トゥーパンスック (2)

SAYAMAという旅行会社の前に、確かに棚が設置してあった。

トゥーパンスック (1)

なんの飾り気もない普通の食器棚だ。
シェア箱とか無料とか張り紙がしてある。

なるほど、これなら誰でも気軽に利用できる。

寄付する側はふらっと来て、人知れず物資を置いていくことができる。炊出しのような事前準備は不要。
もらう側も特に並びことなく、ふらっと来て、必要なものだと持っていくことができる。

地図

5月13日の最新の発表では、タイの全77県、計618箇所に設置されるようになったという。
プーケット80箇所、バンコク76箇所、チェンマイ49箇所、チョンブリ43箇所など。
パタヤもすでに増えているかもしれない。

問題点もあるが

タイ全国的に盛り上がっている運動だが、一部では問題も起きている。

ウボンラチャタニーに設置されたトゥーパンスックに親子連れがバイクでやって来て、棚の中の食料と水を全部持っていく様子が撮影された。その映像がSNSでアップされ、ネット上で論争が巻き起こった。

そもそも箱の設置目的は食料をシェアすることにあるのだから、誰かが持っていくのは当然のことで、寄付した人がこの出来事を後悔するべきではない、という意見がある。
一方、棚の中のものが無料であっても、この家族は、他にも食料を必要している家族がいることはわかっているべきで、家族のとった行動は利己的にすぎないという意見もある。

The Nation

他にもトラブル事例は上がっている。
自宅前に箱を設置していたが、雨天のために箱を退避させると、食料を求める人たちが8人集まり、中には家の呼び出しベルを鳴らし続ける人もいた。食料をもらえるまで帰らないと抗議したという。

車で乗り付けて、棚の中を持ち去っていく事例がみつかったこともある。

Bangkok Post

タイのプラユット首相もこういった行為に怒りを禁じえないという。

当初のネット民の予想どおりに、問題もたしかに起きている。
それ見たことかと気炎を上げるネット民もいるだろう。
問題と言われるような行動を起こす人もいたとしても、それ以上に助かっている人もいるはずだ。
善意に頼った草の根運動はすべてがうまくいくわけではない。
それでもやらないよりはやったほうがいいと思う。
利己的な人間もいれば利他的な人間もいる。我関せずで何もしない人もいる。
タイでも日本でも同じことだろうけど、この情勢下にタイにいると、タイ人の助け合い精神には本当に心が動かされる。

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