ラオスの通貨であるキープの暴落が止まらない。
1バーツが600キープを突破している状況だ。
ヴィエンチャンを訪問して、現状を見てきた。
闇レート対公定レートの戦いは激しく、ついには強硬手段で民間両替所は閉鎖に至った。
ヴィエンチャンでの両替は少々面倒になってきた。
どこでどのように両替するのか確認しておこう。
ヴィエンチャンの物価の状況も合わせてみておく。
目次
広告
タラートサオ内両替所
タイからの国際バスが到着するのがタラートサオバスターミナルだ。
バスターミナルの向かい側にあるのがタラートサオショッピングモール。
バスターミナルから道路を渡りタラートサオ内へ。
1階に両替所がある。
Phongsavang Bankの両替所だ。
2023年9月13日の両替レート
1バーツ=595.63キープ
1円=131.64キープ
単純計算で、1万バーツ=16.78キープとなる。
Googleで検索すると、公定レートは1バーツ=556.30キープとなっていた。
銀行系両替所であっても、公定レートとの開きはそれなりに大きい。
2023年4月末の同銀行のレートでは、1バーツ=487.55キープだった。
ますますキープの暴落が進んでいる。
タラートサオ1階には銀行系以外の両替所は見当たらず。
Western Unionやマネーグラムは営業はしているものの、少なくとも表向きは両替はしていない。
2022年時点では銀行以外の両替所はたしかに営業していた。今年の5月時点では銀行のみが両替所として営業していたように思う。
ヴィエンチャン市内の高レート両替所は閉鎖
タラートサオを出て、パトゥーサイ(凱旋門)方面へ進む。
通りの右手に高レートの民間両替所がいくつか並ぶことで有名。
いちおうチェックしておこうと、タラートサオから歩いて向かう。
あれ?
全然営業していない。
ウェスタンユニオンの看板が上がっている店は営業はしているものの、店頭には大きく「No Exchange」の張り紙がしてある。
両替していそうなのは銀行のみ。
近くにいたタクシーの運転手に話を聞くと、両替所は閉鎖されたとのことだ。なんでも、当局によって閉鎖させられたらしい。
グーグルマップでは両替所は閉鎖済みとの表示があった。
調べてみると、昨年よりラオスキープのさらなる暴落を防ぐため、横行する闇両替への規制が強化されている。
さらには、2023年1月に、両替代理店の両替事業許可停止に関する公示が発布され、全国各地の両替店の両替サービスが停止されたとのこと。
法律に違反する両替取引が頻発し、ついには強行措置に至ったそうだ。
両替サービスは原則として商業銀行のみが行う。国際空港やホテルなど一部限定された場所では、許可された法人のみが営業可能だという。
なるほど。
どうりで民間の両替所がやっていないはずだ。
タクシー運転手の話ではちょっと前に摘発があったそうだが、具体的な日時は聞いていない。
おそらく、ここ数ヶ月の話だと思う。
今年1月の規制強化以降も、このあたりの民間の両替店は営業を続けていたと思う。
でもついには、当局の逆鱗に触れ、強制取り締まりとなったようだ。
タクシーから話を聞くかぎりでは、なかなかに壮絶で血なまぐさい内容となっていた。
ラオス語まじりでちょっと聞き取りづらいタイ語だったこともあり、すべては理解できなかったが、まあ大変だったみたい。
ただ、すべての民間両替所が完全閉鎖されたわけではなく、タクシーのおじさんいわく、まだ営業しているところはあるよという話だ。
深く潜ったな、闇両替。
意地でもいいレートの両替所を探したい人は、地下に潜った闇両替所を見つけてみてほしい。
時間と体力のかぎられた短期旅行者が、血眼になって高レート闇両替所を探すのもどうかと思うが。
タラートサオ内やその周辺にある銀行では両替はできる。
タラートサオバスターミナルに到着したら、タラートサオへ行って、銀行の両替所を利用すればいい。
または、ワットタイ国際空港に到着した場合でも、到着ロビーには両替所がある。銀行系なのでこれまた問題ない。
レートは最善とはいえないものの、そこまでひどいレートではないので、一般的な短期旅行者はタラートサオか空港で両替すればいいだろう。わかりやすいし、確実。
ヴィエンチャンのリバーサイドでの両替はどうする?
では、メコン川近くのリバーフロントのツーリストエリアでの両替はどうなっているのか?
リバーサイドからナンプー広間まで歩いて探してみた。
民間両替所とわかる店は一軒も見つからなかった。
ナンプー近くにある銀行系両替所はずっと閉鎖されたまま。
これは今回の規制ではなく、パンデミックによる影響だ。
近くの支店で両替してほしいとの張り紙がしてある。
ナンプー近くにはレートのいい民間両替所が以前にはあったが、現在はなくなっている。
他にも店頭にレートを掲出しているような民間両替所はまったく見つからなかった。
では、どうするか?
方法は4つ。
・銀行
・ホテル
・ATMでキャッシング
・バーツないしドルで払う
銀行窓口では両替可能だ。
ただ、川沿いエリアには銀行が少ない。
川沿いエリアで両替するとなると、闇両替を探すことになる。が、これはわかりづらい。中国系の商店がひっそりと両替しているところもある。
ホテルで両替
わかりやすい両替方法は、ホテルのレセプションで行うこと。
ルール上は、許可を得ていれば、ホテルが両替サービスを行うことは可能なようだが、各ホテルが本当に許可を得ているかはわからない。
でも普通に両替に応じてくれる。
レートも掲示してある。
基本は、バーツないしUSドルのみ。
ここは、1バーツ=570キープ
こっちは、1バーツ=600キープ
銀行よりもレートがいい。
探せばもっといいレートを提示するホテルは見つかるはず。
ただ、日本円の両替が可能かどうかは微妙なところ。
両替が可能だとしても、たぶんレートは良くないと思う。
バーツからの両替が有利だ。
タイを経由してラオスに入る場合は、先にタイ国内で円からバーツに両替しておいたほうがいい。
むろん、銀行両替所であれば円からキープへの両替はできる。
ホテル以外にも旅行代理店などでは、両替に応じてくれるはずだ。
レートはちゃんと確認しておこう。
ATMでキャッシング
リバーフロントにはATMが多い。
ATMでクレジットカードキャッシングをするのも手っ取り早い方法だ。
短期旅行であれば帰国してからでもいいので繰り上げ返済をすれば、利息はあまり考えなくていいだろう。
ATMでキャッシングするなら、両替レートはクレジットカード会社が定めるものとなる。(ATMを設置しているラオスの銀行が定めるレートでコンバージョンすることもあるが、これは拒否すべし。)
両替できる場所を探しまわる手間を考えると、ATMキャッシングが一番楽かもしれない。
タイバーツやドルで支払う
ラオスでは街中の商店やトゥクトゥクであっても、タイバーツでそのまま支払うことができる。
ホテルや大きな店では、ドルも通用する。ホテルに宿泊料金はドル建表記がしてある。
小さな商店ではドル払いは無理だが、バーツは本当にどこでも通用する。屋台でもバーツが使えるほどだ。
コンビニではきっちりとレートの計算したうえで、バーツでの支払額を提示してくれるので安心だ。
ただ、一般の商店やトゥクトゥクは各自が勝手にレート設定している。
現在は、1万キープ=20バーツで設定する人が多い。
つまり、2万キープが本来の価格だとすると、バーツ払いでは40バーツを請求される。
実勢レートでは、1万キープが16.6バーツ程度だ。
ちゃんとバーツからキープへ両替しておけば、2万キープは33バーツでいい。でもおおざっぱにレート設定されると、客側が損することになる。
店によっては、実勢レートできっちり計算してくれるところもある。
ある店で65,000キープが支払い額となった。バーツでいくらになると聞いたところ、返事は100バーツぽっきり。
てっきり130バーツかと思っていたので、これは驚いた。
1バーツ=650キープだ。
単なる計算ミスかもしれないけれど、たぶん、市中の実勢レートはこんなものなのだと思う。
闇両替所があるならば、これくらいのレートを提示してくる可能性が高い。
なお、バーツで支払っても、お釣りがバーツになるとはかぎらない。
個人商店なんかでは、お釣りはキープになるだろう。逆にいえば、バーツで少し買い物すれば、お釣りによってキープの現金が手に入ることになる。
キープはラオス以外では使えない。
タイ国内でもキープへの再両替は難しいほどだ。
余ったキープをラオスから持ち帰っても単なる紙切れでしかない。
なるべくラオス国内を旅行中に使い切るようにしよう。
また次のラオス旅行を計画しているとしても、再訪する頃にはキープがさらに暴落して、インフレが起きているかもしれない。そうなると残しておいたキープの価値も下がることになる。
ラオス物価上昇
ラオス国内の物価は上昇中だ。
いや、レートに合わせて商品のキープ建て価格を上げているといったほうが正しいかもしれない。
ラオスの数少ない国内名産品であるビアラオは、1缶10,500キープとなっている。
2ヶ月前は1万ぽっきりだった。最近だけでも5%の値上げだ。
タイからの輸入品であるポテトチップスは、タイでは20バーツのところ、13,500キープもしくは14,500キープで売られている。
キープ建ての価格は値上がりしているが、バーツになおすと価格は変わっていない計算だ。
バーツとの両替レートに合わせて、キープでの価格を調整しているのだろう。
この1年あまりで、ラオスには4回訪問しているが、来る度にキープ建ての価格が上がっている。
でもバーツ基準で考えると、大きく変わっているわけではない。
昨年6月のキープ暴落当初は、キープ建ての価格が安いままだった。バーツからキープへ両替してから買い物すると、以前の半分の価格でものが買えたほどだった。タイからの輸入品がタイより安い価格で購入することすらできた。
でも、その後は、キープ建ての価格が随時上昇。バーツ基準で考えると、支払額はさほど変わっていないことになる。
すべての商品やサービスが急激に値上げされているわけでもなく、いまだに安く買えることもある。
まとめ
ラオスキープの暴落はまだ終わらない。
1バーツが公定レートで556キープ、銀行両替で595キープ、ホテル両替で600キープ、実勢レートでは650。
パンデミック前は、1バーツが250キープほどだった。
街中では1万キープ=50バーツで換算されることもあった。現在は1万キープ=16バーツ。
2分の1ないし3分の1にまで下落した。
インフレは確かに起きている。
2ヶ月も経て再訪すれば、キープ建ての価格が上昇しているのを確認できる。来る度に価格が上がっている。
ものの価格を考えるのはキープでなく、バーツになおして考えたほうがいいくらいだ。
高レートの民間両替所はすっかり息を潜めて地下にもぐったようだが、両替する手段はある。
ヴィエンチャンの街自体はいたって平穏だ。治安は問題ないし、新しい店なんかも増えている。
何も考えずに旅行しても楽しめると思う。
広告