タイは2022年7月1日に全面開国となった。
タイランドパスの事前登録は不要となり、1万ドル以上を補償する医療保険加入義務もなくなった。
パスポートとワクチン接種証明書だけで入国可能だ。むろん、到着時の検査と隔離も不要だ。
日本側は6月1日に大幅に水際対策を緩和させた。タイからの日本入国ではワクチン接種の有無にかかわらず空港検査も待機も不要となった。
日本とタイは文字通りに隔離なし往来が可能だ。
が、リスクはまだ残っている。
主にPCR検査と濃厚接触についてまとめておく。
日本出発前準備から日本帰国とその後まで時系列順に解説する。
(5月1日:タイ側のルール変更についてアップデートし、全体見直し)
(6月1日:日本側のルール変更に伴い大幅アップデート)
(7月1日:タイ開国にともない全面的に改稿)
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目次
日本出国前のPCR検査⇒不要
2022年7月1日より、タイ入国規制がほぼ撤廃されている。
ワクチン接種済み者は、ワクチン接種証明書の提示のみで入国できる。事前の陰性証明書取得は不要だ。
ただし、ワクチン未接種者は、出発前72時間以内の陰性証明書の取得が必須となっている。
PCR検査もしくは医療機関や検査機関によるプロフェッショナル抗原検査による英文表記証明書が求められる。
検査で陽性であれば、当然タイ渡航はできない。
ワクチン接種証明書がある人でどうしても心配な人は、日本で検査を受けておいてもいいだろう。
陰性証明書は不要なので、安いPCR検査場でチェックをしておけばいい。
タイ入国にはなんの影響もないが、陰性であればちょっと安心できる。
ここで陽性となれば、素直にタイ旅行は一旦延期とするのがベター。再戦の時を待とう。
なお、ワクチン接種証明書あるいは陰性証明書は、日本の空港でタイへ出発するフライトのチェックイン時に提示する。
タイへのフライトでの濃厚接触⇒ほぼゼロ
タイランドパスは不要となっており、空港チェックインを終えれば、無事にタイ旅行がスタート。
次に心配なのが、同じフライト内に感染者がいた場合だ。
濃厚接触者に認定されれば、隔離が求められる。
タイでは、濃厚接触とはいわず、HRC(ハイリスクコンタクト)という定義を行っている。HRCの中に濃厚接触があるという形だが、ここではすべて濃厚接触ならびに濃厚接触者という呼称を用いる。
国際線フライトでの濃厚接触の定義が定められている。
・同一フライトに搭乗の感染確認者の左あるいは右の隣の席に座っていた乗客。もしくは1メートル以内でマスク無しで5分以上密接に接触していた乗客。
(タイ保健省2022年1月19日時点)
つまりは、すぐ隣の席に座っていた場合に適用される。前後列は関係がない。列を挟んで隣に座っていた場合ははっきりしない。
2022年6月1日に濃厚接触者の隔離ルールが変更となった。
これまでは自宅待機5日間+自己経過観察5日間となっていたものが、自宅待機は不要となり、10日間の自己経過観察だけとなった。
よって、かりに濃厚接触者認定されても、特に症状が出ていなければ、人混みを避けつつ外出は可能だ。
また、到着時の隔離と検査がいっさい不要となっており、そもそも同じフライトに感染者が乗っていたかは調べようがない。よって濃厚接触者認定される可能性はほとんどゼロに等しい。
現状では、日本からタイへのフライトで濃厚接触者となる可能性はないといえる。
家族旅行していて、旅行中に家族の感染が確認されれば、濃厚接触者扱いとなる。
単独旅行だと確率はゼロ。
このリスクは無視してもいいと思う。
タイ到着初日検査⇒廃止
2021年11月から開始されたTest&Goというシステムでは、到着初日にPCR検査を受けて事前予約したホテルで結果が出るまで待機しなければいけなかった。
5月1日にはそのTest&Goは廃止となり、到着時の検査も隔離も無しで入国が可能となった。
6月1日にまずタイ人のタイランドパス登録が不要となり、7月1日には外国人のタイランドパスも不要となった。タイランドパスは完全撤廃された。
無事にタイに到着したら、空港ではワクチン接種証明書(or陰性証明書)のチェックを受けて、あとは通常通りに入国するだけ。
イミグレと税関を抜けて、あとは空港を出て即自由行動ができる。ほぼパンデミック前の状態に戻っている。
2022年7月4日のタイ入国事情はこちらから。
関連記事:エアアジアで成田からバンコクへ XJ601便初飛行搭乗レポートとタイ入国最新事情
タイ到着時の検査で陽性と判定され、隔離される心配はない。
空港での検温で37.3度以上の発熱があり、咳などの症状が出ていれば、別室送りとなりさらなる健康チェックがあるかもしれない。
おそらくはATKによる検査を受けて、もし陽性であれば、さらに詳しい診察や治療を受けるように命じられるはずだ。
さらにPCR検査を受けて陽性となれば、どうなるのか?
タイの伝染病法に従って適切な利用を受けるよう指示される。
よほどの症状がない場合は、ホテルでの隔離治療が指示されるはずだ。いわゆるホスピテル(Hospitel)へ送られる。
治療期間は最低10日間で、施設内で滞在しておく必要がある。外出は禁止で、必要な場合は担当者に通知しなければならない。
隔離治療の費用は利用者が負担する。
かなりの高額となるため、医療保険加入義務が撤廃されたとはいえ、海外旅行保険加入はやはり必須といえる。
タイ在住者で隔離治療に適した環境があるならば、Home Isolationも選択可能となる。旅行者はホテル隔離となろう。
発熱や症状さえなければ健康チェックにひっかかることなく、普通に入国できる。
強制的な検査がないため、タイ入国時の陽性結果によるリスクはほぼなくなったといえる。
タイ国内での感染
タイ入国後はすぐに自由行動が可能だ。タイ国内はどこでも好きに旅行できる。
とはいえ、単純に感染リスクはある。
人混みが激しい場所に頻繁に出入りしていれば感染リスクは高まるだろう。
が、これは日本にいても同じこと。
6月1日からはバンコクやパタヤでは娯楽施設の再開が認められた。
6月下旬より、タイではマスク着用義務が解除された。マスク着用は推奨であり、強制ではなくなった。
ただし、タイへのフライト機内ではマスク着用が必須。タイ国内の公共交通機関でもマスク着用は求められる。
滞在5日目のATK検査⇒不要
2022年4月末まではタイ滞在5日目のセルフATK(迅速抗原検査)が義務付けられていたが、5月1日の廃止となった。
ただし、タイ滞在中に発熱などおn症状が出ているようならば、ATKキットによるセルフ検査をするようタイ政府は旅行者に対して推奨している。強制ではない。
ATKはセブンイレブンで49バーツで売っている。
念のため、1個くらい購入しておいてもいいだろう。
タイ国内でATK自主検査で陽性が出た場合は、すぐに感染確定というわけではなく、病院に行って診察とPCR検査を受けて感染確認される流れだ。
それから、病院に入院するなり、ホスピテルで隔離治療を受けるなり、自宅隔離治療することになる。
最近では、セルフATKで陽性となった際は、無症状ないし軽症ならば、病院にも行かずPCR検査も受けず、とりあえず自宅で待機して再度ATK検査を実施して、陰性ならばそれで終わりという方式に変わりつつあるようだ。
セルフATK検査は必須ではないため、自主的に検査をしないかぎり感染が発覚することはない。
ATKで陽性となり、どうしても心配な場合は、保健局に連絡するか、病院を訪ねて診察と検査を受けること。もしもPCR検査で陽性となれば、無症状であったとしても、原則として10日間の隔離治療となる。
短期旅行ならここで旅行はすべて終了し、日本帰国予定も延期となるだろう。
たぶん、ほとんどの旅行者はわざわざセルフATK検査を実施しないとは思われるが。
店舗入場時のATK検査
大きなバブやバーでは入店時にATK検査が必要なところがある。
あくまで店側による自主的な検査で、公的なものではない。
ここ最近では入場時にATK検査を求める施設は減少しており、パタヤではあまり見かけなくなった。
もしもATK検査結果が陽性であったら、店への入場が断られるだけで、保健所への通報は行われないことになっている。
再度ATK検査するなり、病院で検査を受けるよう言われるかもしれないが、あとの行動は客に任される。
どうしても心配ならば、病院にいって検査を受ける。ここで陽性ならば10日間の隔離治療となる。
短期旅行ならばやはりここで終了。
だが、ATK検査を実施する店はほとんどないのが現状。
このリスクはほぼ無視できる。
濃厚接触者
タイ国内旅行中の濃厚接触者認定については、旅行者は特に考えなくていいと思う。
たとえば食事や飲みに行ったレストランやバーで感染者が出たとしても、濃厚接触者認定されて連絡が来ることはまずありえない。
いちおう濃厚接触の定義は定められている。
・感染者と2メートル以内の距離で5分以上会話、もしくは感染者が咳やくしゃみをしている場合
・30分以上、換気の悪い閉鎖された空間、たとえばエアコン付きのバスや室内で感染者と一緒に過ごした場合
さらに隔離対象となるHRCは上記条件に加えてマスクを着用していないことも条件となる。
国内線フライトでの濃厚接触者定義は国際線と同じく左右隣の席に座っている場合だ。
タイ国内で普通に旅行しているぶんには濃厚接触者認定され、隔離を命じられるようなケースはまずない。(会社や学校などは別だが旅行者には関係ない)
たまにクラスターが発生した施設に訪問歴がある人はATK検査を受けてくださいといった通知が出るが、旅行者へ直接そのような通知が送られることもない。
濃厚接触による旅行終了のリスクはほぼ考えなくいい。
むろん、感染が疑われる強い症状が出ているのならば病院へ。
タイ出国前PCR検査
タイ旅行もそろそろ終了。
タイでの最後の関門が待っている。
日本帰国のための陰性証明書取得だ。
陰性証明書がないと、日本行きフライトに搭乗できない。帰国不可だ。
2022年6月1日に日本の水際対策が大きく緩和された。
世界各国を赤・黃・青の3グループにわけ、青グループからの日本入国ではワクチン接種の有無にかかわらず、空港検査と自宅待機を一切不要にする。
関連記事:タイは青グループへ。6月1日よりタイから日本入国時の空港検査と待機は一切不要に。
タイは青グループに区分されており、日本帰国時には検査も待機も不要だ。
が、すべての日本入国者は陰性証明書取得が必須のままとなっている。
関連記事:バンコクとパタヤ 日本帰国用陰性証明書取得PCR検査場まとめ
ここで陽性結果が出るとどうなるか?
検査した病院やクリニック、保健所の指示に従うこと。
症状がなければ、ホスピテルでの隔離治療となるはずだ。
10日間は外に出られない。
医療保険適用期間中のはずなので、治療費の問題はないだろう。
が、帰国は不可。フライトはキャンセルとなる。
実際にパタヤでPCR検査を受けて陽性となった際の詳細レポートがある。
関連記事:タイ・パタヤ旅行 日本帰国のためのPCR検査で陽性になったらどうなるのか詳細レポート
隔離終了後のPCR検査でもなかなか陰性結果が出ずに、日本へのフライトに搭乗できなかった。
最終的に帰国可能となったのは、本来の予定日の15日後となった。
現在の海外旅行では、日本渡航のためのPCR検査が最大にして唯一の関門といえる。
タイ入国には、出発前PCR検査は不要となった。
タイ到着時の検査も不要。
でも、タイ滞在中の行動パターンによるが、混雑した場所に多く出入りしているとなると、おのずと感染リスクは上昇する。
最後の最後で陽性となれば、帰国できなくなり、失うものはかなり大きい。
なお、2022年7月上旬に、タイ保健省から感染者に対する隔離期間を短縮するという提案がなされている。
自宅隔離や施設隔離での隔離期間を5日間として、あとの5日間は経過観察期間とするというものだ。
7月11日時点では隔離期間短縮が正式決定となったいう発表は出ていない。
現状では、10日隔離は継続とみられる。
いずれにせよ、検査結果が陰性となり、陰性証明書がないと帰国ではできない。
隔離期間が終了したあとの検査でも陽性結果が出る場合は、在タイ日本大使館に相談すること。
回復証明書、隔離後の検査での陽性結果など必要書類を提出すれば、領事レターを発行してもらい、日本行きのフライトに搭乗できることがある。
詳細は日本大使館で確認のほどを。
日本到着時の検査⇒不要
タイでの日本渡航用PCR検査が陰性で無事に日本行きフライトに搭乗。日本に帰国を果たす。
6月1日の水際対策緩和により、タイからの日本入国では空港検査は不要となった。ワクチン接種の有無に関係なく、タイからの入国者は一律で不要だ。
参考までに、厚労省の発表をみてみる。
5月30日の空港検疫では、有症状の患者が37人、無症状が82人。計119人が検査陽性となった。タイ滞在歴があるのは9人。
5月31日は、計104人の陽性。タイ滞在歴があるのは10人。
で、水際対策が緩和された6月1日は、陽性が5人に激減。タイからの入国では検査不要のため当然0人に。
タイから帰国して空港検疫で陽性となり隔離されるリスクは文字通りゼロになった。
発熱など症状があれば別室送りとなり診察を受けて検査される可能性はある。(これは通常の検疫でも同じ)
もし検査を実施して陽性となれば、空港近くの医療機関に搬送されて、診察や治療を受けることになる。
入院なのか宿泊療養なのか自宅療養なのかは医師や保健所の判断次第だろう。
日本入国は問題ないにしても、最低7日間は動くことができない。
このようなリスクは6月1日になくなった。
タイからの日本帰国では、ワクチン接種に関係なく、自宅待機も不要だ。
検査もなく空港を出て即自由行動可能。
日本へのフライトでの濃厚接触⇒ほぼゼロ
日本の機内濃厚者ルールは3月30日に大幅に緩和されており、家族以外には濃厚接触認定しないことになっている。
それまでは前後2列(計5列)に感染者が座っていた場合は濃厚接触者認定としていたが、同行家族のみに限定する。
濃厚接触者待機期間も見直し。これまでは一律7日間の自宅待機だったが、入国後4日目・5日目の抗原検査で陰性なら待機解除とする。
このルール変更により、単身旅行者が機内で濃厚接触認定される可能性はなくなった。
大幅なリスク減少だ。
6月1日よりタイからの日本入国では検査は不要となっている。
タイ行きフライトでも日本行きフライトでも機内濃厚接触者となる可能性ほほぼゼロ。
家族のみ、ごくわずかに可能性がある。
各リスク評価まとめ
2022年6月1日:日本水際対策緩和を受けて、大幅に見直しした。
2022年7月1日:タイランドパス廃止を受けて、一部修正
日本出国前のPCR検査
2022年7月1日にタイランドパスは廃止された。
ワクチン接種証明書があれば、事前の陰性証明書は不要だ。ただし、ワクチン未接種者は陰性証明書が必要で、検査陽性となれば、旅行出発前にキャンセル、返金手続き、休業などの手続きが必要。
タイへのフライトでの濃厚接触者
元々確率は極めて低いうえ、タイ到着時検査も不要となっており、濃厚接触者認定される可能性はほぼゼロに。
タイ到着初日検査
5月1日より到着初日検査は不要となり、陽性結果によるリスクは実質ゼロとなった。
タイ国内での感染
確率不明。行動によってはリスクは上昇する。症状がなければ、わざわざ検査する必要はない。
症状があり、病院で感染確認されれば、10日間の治療期間が必要。治療費は保険負担。旅行日程によっては帰国フライトを変更する必要あり。
タイ出国前PCR検査
確率は不明。無症状でも検査必須のため、思わぬ陽性結果が出ることがある。やはり10日間の治療期間が必要で、帰国便はキャンセル。帰国後の仕事などの手配が必要。原則ルールとして陰性結果が出るまでは日本帰国不可のため長期化する可能性もある。
日本到着時の検査
タイからの日本入国では検査が不要となった。よって、空港検査で陽性判定となり隔離されるリスクはゼロとなった。
日本へのフライトでの濃厚接触者
機内濃厚接触ルール変更により、家族連れ以外は濃厚接触扱いされる可能性はなくなった。リスクはほぼゼロといえる。
タイ旅行のリスク評価まとめ
6月1日に日本の水際対策が大幅緩和し、7月1日にタイは全面開国した。
日本とタイの隔離なし旅行は可能となっている。
特にタイ入国に関してはほぼ通常通りに戻った。
が、リスクはまだ残る。
タイ出国前の日本帰国用PCR検査が最大のネックだ。
もはやこの一点に尽きるといっていいほど。
実質的に残されたリスクはこれしかない。
旅行が無事に終了し、日本の日常に戻るための最大リスクは、日本帰国のためのPCR検査にある。
ここで陽性結果が出れば、すべてが狂う。
陰性証明書取得がすべての鍵だ。
タイ国内で濃厚接触的な行動を繰り返していると感染する確率は上がるだろう。でも、細かいことを気にしていたら旅行は楽しめない。
難しいところだが、本来予定していた休暇期間とその後の仕事や家庭事情を考慮しつつ、リスク評価を行い、タイ旅行を実行するかどうかを決定するしかない。
決してリスクはゼロにならない。
予定通りに帰国できない事態は起こりうる。
仕事や家庭の事情で、旅行期間の変更は絶対にできないという人も多いだろう。
そういった人はこの状況下での海外旅行は避けたほうがいい。これはタイ旅行にかぎった話ではない。たとえ国内旅行でもリスクはある。国内旅行では旅行先から家に戻る際にわざわざ検査する人はいないだけのこと。
海外旅行では日本帰国のための検査が必須なため、たとえ無症状でも検査で陽性反応が出てしまった場合は予定通りに帰国できなくなる。これが最大のリスクだ。
タイ旅行ではその確率はかなり低いだろう。
数百人に1人程度かもしれない。
が、タイ旅行をする日本人の母数が増えれば、陰性証明書取得のための検査で陽性となり帰国不可となる人の数も増える。
バンコクの日本人向け病院では日本人の陽性者と入院患者が増えているという報告もある。
とはいえ、大部分の人は普通に帰国できている。
6月1日からは日本の空港検査が不要となったため、リスクはさらに下がった。
そろそろ本気で海外旅行再開を考えてもいい頃だろう。
でも帰国が延期となるリスクがあることだけはお忘れなく。
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