ここ最近のタイ界隈で話題となっているのが、タイ入国規制強化についてだ。
はっきりとビザラン規制を打ち出したのが特徴で、はっきりとビザランは年2回までと明文化した。
11年前の2014年からビザラン規制は厳しくなっていたが、今回は本腰を入れて規制強化に乗り出した形だ。
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その後、タイ観光業界からは、より明確な条件を提示してほしいとの要望が上がっていた。
タイ入国が厳しくなったという話を聞いて、ホテルをキャンセルする外国人が増えたという話だ。
また、カンボジアとの国境紛争に関連して、カンボジア人旅行者と外国人傭兵への警戒から、空港での入国の際にスクリーニング措置を強化するとの発表もあった。
関連記事:タイ・カンボジア紛争再燃でタイ空路入国規制強化、タイ旅行への影響は?
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ドンムアン空港で入国拒否
そんな中、とあるSNS投稿が話題となった。
若い欧米人女性が、ドンムアン空港で入国しようとすると、所持金2万バーツを提示できなかったとして入国拒否されたというものだ。
この女性は、以前から何度もタイに長期滞在しており、ビザランを疑われたようだ。直接的な入国拒否の理由は充分な資金を提示できなかったからだとしている。
その後、一度出発地に戻り、今度はスワンナプーム空港から入国するようアドバイスされて、無事にスワンナプーム空港では入国が許可されたとのこと。
タイ入国に際して、2万バーツの提示が必要なんてルールは聞いたことがなかったと女性はクレームをつけていた。また、ドンムアン空港からの入国は避けよとも言っている。
裏の取れている情報ではないが、くだんの女性がドンムアン空港のイミグレーションで揉めている現場にいたとする人のコメントでは、制限エリア内にATMはないため、入国係官が一般エリア内にあるATMまで案内するからクレジットカードで現金を引き出せと言ったが、女性は頑なに拒否したそうだ。
たしかにドンムアン空港でもスワンナプーム空港でもタイ入国までの制限エリア内にATMは設置されていない。クレジットカードでキャッシングすることはできない。一般エリアに入るとATMはいくらでもあるため、簡単にタイバーツ現金を入手できる。
ただ、このあたりの詳細は不明だ。
女性は実際のタイ滞在歴がどれほどあったのか、イミグレーションにおいて女性がどのような態度で接したのか、現金不所持だけが本当に入国拒否理由だったのか、などなど。
疑問は残るけれど、ほぼ間違いなく、滞在歴が長過ぎたことが問題視されたのだろう。
また、スワンナプーム空港よりもドンムアン空港のイミグレーションのほうが厳しいのは、昔から変わらないと思う。
ビザラン疑いで入国拒否されたけれど、表向きの理由は現金2万バーツ不提示としたのがだいたいの答えではないのかと。
タイ移民局からのアンサービデオ
さて、このSNS投稿について、タイ移民局が返答ビデオを制作した。
2万バーツ提示はランダムでの実施ではなく、法で定められたルールであると。
そこで、外国人旅行者、とりわけ60日間ビザ免除措置で入国する旅行者がスムーズにタイ入国できるように準備しておくものをリストアップしている。
ざっくり日本語訳を付けておく。
1 残存有効期間6ヶ月以上のパスポート(これは標準的な国際的要求)
2 渡航目的の明確化(観光、短期ビジネス、友人訪問など、明確かつ正直に声明すること。明確な回答がないと、違法就労の疑いが生じる)
3 出国証明(60日間ビザ免除措置で入国する旅行者はタイを60日以内に出国するチケットを提示しなければならない。もしくは滞在延長する予定であれば90日以内に出国するチケットが必要)
4 財務証明(観光ビザおよび60日間ビザ免除旅行者は一人あたり2万バーツの所持を求められる。家族の場合は家族あたり4万バーツ。)
5 宿泊施設の確認(どこに滞在するのかを提示しなければならない。ホテル予約、もしくは友人の家は有効化されているかぎりすべて問題ない。)
6 TDAC タイランドデジタルアライバルカード(2025年に開始されており、すべての訪問者はTDACをタイ入国のたびに提出しなければならない)
7 頻繁なビザランは、より厳格な入国審査を実施する(もし明確な理由もなくタイを何度も出入りするならば、イミグレーションは旅行者の目的について質問する。不法労働するために観光客を装って入国しようとする人を阻止するためのものだ)
簡単なことで、これらの書類を適切に準備しておけば、タイのイミグレーションは何のドラマもなくスムーズに通過することができる。
タイ国は、責任を持って旅行する訪問者たちを温かく歓迎します。サワディーカー。
以上。
さらに簡単にまとめておく。
ノービザで大尉入国する旅行者が用意しておく書類
・残存有効期間6ヶ月以上あるパスポート
・出国航空券
・現金2万バーツ
・ホテル予約確認書
・TDAC
この5点となる。
パスポートの残存有効期間については、国際的スタンダードとして6ヶ月が必要との解釈でいいと思う。おそらくタイの法律的には6ヶ月以上が必要というルールはないはずだ。実際に、日本の空港でバンコク行きフライトにチェックインする際に航空会社に確認したところ、タイではそのようなルールはないと言われた。残存有効期間が6ヶ月以内であってもタイ行きフライトには搭乗できるはず。でも、国際的スタンダードだとタイのイミグレーションが言っているので、守っておくに越したことはない。
一般的な短期観光旅行者であれば往復で航空券を購入済みだろうから、出国航空券が提示できるのは当たり前。スマホでEチケットを保存しておけばいい。
なお、イミグレーションの目を欺くために、実際に支払いを済ませる前の予約画面を見せたり、改ざんしたチケットを提示する行為は犯罪であり、タイ入国拒否されると、プーケット・イミグレーションから警告が出ている。
とあるYouTuberが支払い前の予約画面のスクショを見せてイミグレーションを通過したと言っていたが、騙す意図があってそのような行為をしていたならば、重大な犯罪行為と言わざるをえない。入国拒否どころかブラックリスト入り化してもおかしくない。不正行為はやめましょう。
滞在先の証明はホテル予約バウチャーでいい。
大半の短期旅行者は、すでにホテルを予約済みのはずで、これまたスマホにでもバウチャーを保存しておけばいいだけのこと。
スマホがなければ、あらかじめプリントアウトしておいた予約バウチャーを携行しておけばいい。
TDACについては、外国人は登録必須となっている。
登録しないとイミグレーションで門前払いされる。
ただ、イミグレーションのすぐ近くには、登録用の専門端末が設置してあるので、タイ到着時でも登録は可能だ。
タイ出国予定日や出国フライトの入力は必須ではないけれど、短期旅行者であれば帰国フライトも決まっているだろうから、きちんと登録しておこう。
滞在ホテルは最初に泊まるホテルだけを登録しておけばいい。
TDACに登録完了するとQRコードが発行されるが、実際のイミグレーションでQRコードを提示しろと言われることはあまりない。パスポート番号と連動しており、イミグレーションの職員はTDAC登録状況を確認できるためだ。ただ、中にはQRコードを見せろと言われることもあるようなので、念の為、QRコードないし送付されてきたPDFに保存しておけばいい。
現金2万バーツについては、このあと詳しく解説する。
なお、実際のイミグレーションでは、タイまで飛んできたフライトの搭乗券の半券の提示も必要だ。
タイ入国に現金2万バーツは本当に必要か?
タイ入国には現金2万バーツの提示は本当に必要なのか?
中には、2万バーツがないと入国拒否されるなんて煽るタイトルのYouTubeやSNSなども散見される。
個人的には、これまで100回近くはタイに入国していると思う。
短期旅行だったり、中長期滞在だったり、ノービザだったり、ビザありだったりと条件は様々だ。
数多くのタイ入国の中で、現金2万バーツの提示を求められたのは、1回のみ。

2016年にマレーシアのペナンから陸路でソンクラー県サダオ国境検問所に入国した際のことだ。
ペナンのタイ領事館で観光ビザを取得した状態で国境検問所でチェックを受けた。
その時に、「現金2万バーツは持っているか?」と聞かれた。
幸いにも、日本円で2万バーツ相当以上の現金を持っていたので、それを提示すると簡単に通してもらえた。
関連記事:ペナン島からタイ国境の街ダンノック(サダオ)へ。タイ入国イミグレーションは意外と厳しかった。
この当時でも、現金提示ルールが存在していることは知っていたが、本当に聞かれるとは思ってもいなかったので少々びっくりした。
たしかにルールはあった。
そして今もある。
でも、記憶の中では、観光ビザありだと2万バーツで、ノービザだと1万バーツの提示が必要というものだった。
現行ルールでは、ノービザも観光ビザも2万バーツとなっている。
まあ、以前はノービザ滞在日数が30日で、観光ビザの滞在可能日数は60日だった。現在はノービザでも60日間滞在できる。観光ビザの滞在日数と同じだ。滞在日数に対して必要な資金を提示せよというルールであるならば、現在のノービザでも観光ビザと同じく2万バーツという金額設定は筋が通っているような気もする。
ともかく2万バーツだ。
これは、タイバーツでなくても大丈夫だ。2万バーツ相当の日本円でもいい。現在のレートでは10万円ということになる。
繰り返すが、昔も今も現金提示ルールはある。そして、実際に提示を求められることもある。
ビザラン規制もそうだが、ルール自体は昔と変わっていない。
変わったのは運用方法と厳しさだけだ。
ルールが存在する以上、より確実な入国のためには、現金10万円は用意しておいたほうがいいというわけだ。
が、スワンナプーム空港やドンムアン空港で空路入国する、ごく一般的な日本人短期旅行者であれば、99.9%関係ない話だ。
ほぼ間違いなく現金2万バーツ相当(10万円)の提示を求められることはない。
帰国用航空券やホテル予約確認書の提示も不要であろう。
これまで通りにパスポートとタイまで乗ってきたフライトの搭乗券半券を提示するだけでいい。もちろん事前にTDAC登録は必須だが、QRコードの提示は不要。
すべての短期旅行者、とりわけ日本人旅行者に対して、現金2万バーツとホテル予約確認書と帰国航空券などの提示を要求をするとは考えられない。
年間3500万人の外国人旅行者がタイに入国する。
11月では、空港での入国審査は1日平均11.5万人で、スワンナプーム空港では7.3万人だ。年末のピークシーズンはさらに増えるだろう。
それだけの人数を厳しくチェックしていたら、入国審査の列はそれこそキロメートル単位となりかねない。
ありえない。
はっきりいって、ゴールデンウィークやお盆休みや年末年始だけに旅行する大多数の日本人短期旅行者には影響はほぼゼロといっていい。
ビザラン規制強化はまったく関係がない。
実際に書類提示やら現金提示を求められる心配は無用といっていい。
ただ、可能性は決してゼロにはならない。
過去にちょっと長めにタイに滞在していたことがあったり、短期であっても過去に頻繁にノービザで入国していた履歴があれば疑われる可能性がある。ビザランをしていなくとも、ちょっとした疑いから、書類提示を求められるかもしれない。
そういった人は、念の為に、帰国航空券とホテル予約確認書を用意しておくほうがいい。短期旅行者であれば、ほとんどの人は帰国航空券は購入済みだろうし、ホテルも予約済みだろう。スマホでいつでも見られるようにしておくのは、イミグレーションのためだけでなく、ごく当たり前のこと。
現金2万バーツ(10万円)については、現金を持ち歩かないという人もいるため、かなり微妙なところ。
もし本当に提示を求められた場合は、クレジットカードがあるから今からキャッシングすると言って、一般エリア内にあるATMに連れて行ってもらい、その場でタイバーツをキャッシングするほかなさそう。
人によっては、銀行の残高証明書を持っていけという意見もあるが、さすがにやりすぎ。
もちろん、不法労働目的での入国を疑われるようなビザラン経験者であれば、残高証明書は有効となるかもしれない。短期旅行者はそんなことまで考えなくていい。
まとめ
ごくごく一般的な短期旅行者のタイ入国はまったくといっていいほど心配不要だ。99.9%問題なし。
現金2万バーツも帰国航空券もホテル予約確認書も提示不要だろう。
煽る内容の動画やSNSはすべて無視していい。
でもルールが存在する以上、絶対とはいえないのが現状である。そうとしか言えない。
これはタイ入国にかぎった話ではなく、基本的にどこの国も似たようなものだ。
外国に入国するにはそれなりに準備が求められるのは当たり前のこと。日本のパスポートだと大半の国では確認が免除されることが多いってことだけ。
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