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千夜一夜ライブラリー

サンダカン八番娼館 望郷

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先日、AmazonのPrime Videoの会員特典無料ビデオのリストを眺めていると、『サンダカン八番娼館 望郷』というタイトルが目に入った。
山崎朋子が書いたノンフィクションの『サンダカン八番娼館』『サンダカンの墓』を映画化したものらしい。
知らなかった。映画化されていたのか。

昭和初期のころ、天草からボルネオ島のサンダカンにある娼館で働いていたおさきさんという女性の人生を、現代の研究者が丹念かつ執念的に明らかにしていくという筋立て。

原作の『サンダカン八番娼館』は1972刊、『サンダカンの墓』が1974年。
映画は1977年公開。

文春文庫では、『サンダカン八番娼館』と『サンダカンの墓』が合本として発行している。

これは、合本発売当初に購入して読んでいる。
取材手法や動機など研究者やジャーナリストとしてどうなんだとか、いかにも戦後左翼的な思想が見え隠れてしていて気になる面もあるものの、からゆきさんの生涯は壮絶そのもので、感動させられる。

今、日本帰国中のなので、自宅の本棚をあさってみたが、本が見つけられなかった。

で、プライムビデオで映画を視聴。
まず、現代のマレーシア・コタキナバル空港から映画が始まる。それからサンダカンへ。
現代といっても映画が撮影されたの1976年頃だろう。
今から50年近く前だ。
当時のサンダカンの街の様子を見ることができるだけでも貴重かもしれない。

昭和初期のサンダカンに娼館があった頃の様子はセットで再現されている。
海運の要衝で大きな港があり、各国の船乗り相手に娼館が商売をしていた。
物語で語られるのおさきさんは、日本人経営の娼館の八番館で働いていた。

サンダカンがどこにあるのか、あらためて地図で調べた。

ボルネオ島だ。今ではボルネオ島と呼ばず、現地語読みのカリマンタン島と表記すること多いらしい。
カリマンタン島には、マレーシア領、ブルネイ領、インドネシア領の3エリアがあるが、サンダカンはマレーシアのサバ州に属する。

100年ほど前の日本はまだまだ貧しく、地方の農村から海外へ出稼ぎに行く人が多かった。若い女性は借金のかたで娼館へ売られていく。
それはもう壮絶な人生となる。

遠くボルネオ島で故郷を思う。
中には日本に帰らずに、そのまま生涯を終えていく人もいる。

サンダカンにはそんな日本女性のための墓が作られた。鬱蒼とした森の中に埋もれた墓を探し出すシーンが映画のクライマックスとなる。
遠く南洋のボルネオ島で死んでいったからゆきさんの墓がどの方角を向いているのか。

映画のタイトルには『望郷』とそえられている。
この言葉が重くのしかかる。

映画は、おさきさんの晩年を演じた田中絹代の演技が圧巻である。
何度も涙があふれてくる。

日本と東南アジア、からゆきさん、ひいては借金や貧しさ故に娼館で働かざるをえない人たちといったことに興味がある人は、原作は必読だし、映画も見たほうがいい。

残念ながらプライムビデオは本日まで。

プライムビデオ⇒サンダカン八番娼館 望郷

ボルネオ島(カリマンタン島)にはまだ訪れたことがない。
サンダカンの街は太平洋戦争中の爆撃で焼け落としてしまい、娼館は跡形もなくなったそうだ。
でも墓は健在だという。
いつかサンダカンに行ってみようと思う。

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