中国の突然の国境開放と旅行再開にともない、各国が対応に追われている。
インドや日本や台湾やアメリカやモロッコなど、規制の厳しさは様々だが、水際対策強化を取る国もある。
一方、規制強化せずに中国人観光客を歓迎しようという国もある。タイがどちらになるかはまだ決定していない。
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2022年のタイ訪問外国人数
TAT(タイ国政府観光庁)が、2022年にタイを訪れた外国人旅行者の数を発表した。
2022年タイを訪れた外国人観光客は1,181万人。
トップ5
1位マレーシア 195万人
2位インド 965,994人
3位ラオス 844,959人
4位カンボジア 591,657人
5位シンガポール 589,970人
入国地
スワンナプーム空港 609万人
プーケット空港 156万人
ドンムアン空港 972,614人
サダオ国境検問所 729,976人
ノンカイ国境検問所 348,529人
サダオの陸路国境から簡単にタイに入国できるマレーシアからの旅行者が圧倒的1位となった。
上位ランクがタイ近隣国ばかりの中、インドからの旅行者が約100万人である。
パンデミック前の2019年の外国人旅行者は3,990万人だった。
2022年は約3分の1となった。
今年2023年の外国人旅行者は、2500万人とTATでは予想。
中国の国境開放決定前までの予想では、2000万人だったが、一気に上方修正。
中国の旅行制限解除により、最低でも500万人の中国人観光客がタイを訪れるだろうと見ている。
今年第1四半期では約30万人がやって来ると予想。
中国人観光客は1月15日以降に旅行を再開する見込みとのこと。まず個人旅行者から始まり、そのあとに団体旅行者が続く。
参照:https://www.nationthailand.com/thailand/40023691
2019年の外国人観光客3,990万人のうち中国人は1,100万人だった。
タイにとって最大のマーケットだ。
タイは中国からの到着者への規制措置は現在まだ検討中の段階となっている。
少なくともタイ到着時には検査を実施しないとの方針は出している。
考えられる規制は、ワクチン接種証明書と医療保険加入義務だ。
まだ詳細は決定していない。
このまま何も規制せずに中国人観光客を受け入れる可能性もある。
TATでは、中国人観光客誘致のキャンペーンを準備中だという。
その名も「タイと中国は兄弟(Thailand and China are siblings)」
TATが航空会社と交渉し、タイと中国各都市とのフライトを増便。ラオス・中国高速鉄道を経由して、陸路での旅行パッケージもデザインするとのことだ。
インド人旅行者のキャンセル相次ぐ
パンデミック前まではパタヤの観光客といえば中国人だった。団体バスが続々とやってきて、旗を持ったガイドに先導されて、パタヤビーチやウォーキングストリートを練り歩く中国人団体客は非常に多かった。
が、中国人がいなくなり、そのかわりに最大勢力に躍り出たのがインド人観光客だ。
2022年、パタヤでもっとも目立つのはインド人たちだ。
本当に多い。
が、ここに来て、インド人観光客に逆風が吹いた。同時にパタヤ観光業にとっても逆風となる。
インド政府は、2023年1月1日より、中国・香港・タイ・シンガポール・日本・韓国からのインド入国者に対して、事前のPCR検査陰性証明書の提示義務を課した。
これは国籍に関係なく実施される。
つまり、タイへ旅行するインド人が自国に帰国する際にはタイ国内でPCR検査を受けて陰性証明書を取得しないといけないことになる。
もし陽性となったら、帰国不可となってしまう。
陰性に転じるまで帰国難民となろう。
この規制強化は年末の12月29日に正式発表となった。
すでにタイ滞在中のインド人旅行者にとっては青天の霹靂であったろう。
でもどうしようもない。
パタヤにいる多くのインド人観光客は年明けの帰国までには検査を受けるしかない。
一方これからタイへの旅行を予定していたインド人はどうするのか。
タイホテル協会東部支部によると、団体旅行のインド人観光客グループがタイへの旅行を続々とキャンセルもしくは数ヶ月延期を決めたということだ。
なおも旅行するのは小規模グループにとどまっている。
これは、パタヤのホテルとレストランに大きな影響を与える。
なにせ昨年タイを訪れたインド人観光客は約100万人だ。
正確な滞在先はわからないが、パタヤだけでも50万人くらいはいるかもしれない。
これからもインド人観光客が増えていくはずだったが、インド入国規制強化でキャンセル続出となった。
インドからの旅行者はグループや家族連れが多い。
中には結婚式などで一族郎党で旅をするインド人たちもいる。
もしグループ内の誰かが感染していたら、同じ行動をしている他の人にも伝染るかもしれない。検査陽性となってしまえば、帰国できなくなってしまう。
昨年のゴールデンウィーク前後に多くの日本人帰国難民が発生したことはまだ記憶に新しい。
個人旅行ならばまだしも、家族旅行だと帰国難民時の延長滞在費用も馬鹿にならないし、場合によっては家族がばらなばらで帰国する羽目になる。
インド人から中国人へ
インド人観光客が減少し、そして取って代わるようにして、次に中国人観光客がやって来ることになるのか。
ただ、中国は出入国規制を大幅緩和したといっても、PCR検査陰性証明書の提出義務は残している。これはすべての国からのすべての渡航者が対象だ。
海外渡航先での検査で陽性となったら帰国できなくなってしまう。
タイを訪れているインド人と事情は同じ。
ただ、これまで3年間にストレスをためこんだ中国人旅行者が開国とともに一気に海外へ押し寄せる可能性は充分ある。
タイが入国規制を強化するのかしないのか、まだ決定していない。
もう少し様子見が必要な状況だ。
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