7月1日にプーケットサンドボックスで外国人観光客の受け入れ再開を始めたタイ開国計画が3ヶ月が経過した。
7月15日からはサムイ、8月16日からはパンガーとクラビの一部エリアへ拡大していった。
3ヶ月経過した時点でのタイ首相府より声明が出された。
今後さらにサンドボックス開放エリアを拡げていき、今後6ヶ月で100万人の外国人観光客をタイに呼び込むという。
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サンドボックス利用者実績
プーケットサンドボックスとサムイプラスの利用者は毎日報告されている。
プーケットサンドボックス(7月1日から9月30日)
利用者累計:38,699人
SHA+ホテル予約数累計:716,898泊分
サンドボックス利用者国籍別
アメリカ5,875人
イスラエル5,503人
イギリス4,783人
ドイツ3,846人
フランス3,695人
帰国タイ人7,461人
観光再開計画ではあるが、実は、帰国してくるタイ人の利用者が一番多い。
バンコクでのAQホテルでの強制隔離を避けてプーケットサンドボックスを利用した形だ。これは東京オリンピック・パラリンピック選手団や関係者も含まれているはず。
イギリスがタイをレッド国指定するまでは、イギリスからの利用者が第2位だった。現在はイスラエルが2位となった。
本国帰国時に隔離検疫が必要な国からの旅行者はやはり少なくなる。これは日本にもあてはまる。自宅待機とはいえ14日間は基本外出が不可となるからだ(10月1日からはワクチン接種済み者は最短10日になったが)。
プーケットサンドボックス利用者38,699人のうち陽性結果となったのは116人。
陽性率は0.29%。
サムイプラス(7月15日から9月30日)
サムイプラス利用者累計:907人
プーケットサンドボックスと比較すると圧倒的に少ない。
これはヨーロッパからの直行便がないことと、滞在中の制限の多さが原因だ。
サムイプラスでは到着後3日間はホテル内での隔離が必要。滞在4日目から7日目は外出ができるものの、ツアーに参加にして観光地へ行くことしかできない。これでは観光客は集まらない。
10月1日からはサムイプラスがサムイプラスサンドボックスとなり、プーケットサンドボックス同様に、到着時の検査結果が陰性であれば、すぐにホテルを出て自由に行動できる。
サムイプラス利用者907人のうち陽性結果となったのは5人。
陽性率は0.55%
7+7エクステンションでプーケットからサムイに到着:399人
これはプーケットサンドボックスでプーケットに7日間滞在したのちに、サムイ島、パンガー、クラビへ移動できるというものだ。
累計人数としてはプーケットサンドボックスとかぶる。
タイ首相府報道官が土曜日に発表したデータによれば、タイ開国計画サンドボックス制度で、最初の3ヶ月で23億3000万バーツの収入があったという。
プーケットサンドボックスが22.5億バーツ、サムイプラスが6,658万バーツ、7+7エクステンションが1,216万バーツという内訳。
プーケットサンドボックス利用者の目標は3ヶ月で10万人というものだった。当初は129,000人だったが引き下げられた。
現実には3ヶ月で38,699人に終わった。
国内第3波が猛威をふるったこともあるが、プーケットサンドボックス計画は失敗に終わったと見るのが妥当だろう。
ただ、10月1日からは隔離期間を7日に短縮する。プーケットだけでなくサムイでもクラビでもパンガーでも開放エリア内に7日間滞在すれば、8日目からはタイ国内を自由に移動できるようになる。
タイ開国サンドボックス計画で観光客100万人を目指す
プラユット首相は国を再開する方針を取っていると首相府報道官が述べた。
今年の第4四半期と来年第1四半期に他の県にサンドボックスプログラムを拡大する計画だ。
政府は、この2四半期(6ヶ月)で100万人、もしくは1日あたり5000人の外国人観光客を迎えることを目標としている。観光業の収入600億バーツ以上を目指す。
また、プーケットを世界クラスの観光目的地に変えるために観光促進基金を設立するという。
これは、先日開催されたプラユット首相を議長とする経済状況管理センター(CESA)会議での決定事項だ。
来年度のタイ観光スローガンも発表されている。
Visit Thailand 2022, Now Even More Amazing Thailand Has It All
なんとも長ったらしいスローガンだが、定番のAmazing Thailandをパワーアップさせるつもりのようだ。
多くの観光客をプーケットに呼び込むために旅行制限を緩和していく。
隔離期間の短縮、グループCOE(旅行代理店がツアー客のCOEを一括申請)の発行、到着ビザの再開、PCR検査をATK検査に変更する、ロシアからプーケットへの直行便運航許可など。
隔離期間の短縮、到着ビザの再開、ロシアからのフライト、グループCOEに関してはすでに承認されたとのこと。
この制限緩和により、今後6ヶ月で50万人のパッケージツアーが組まれるだろうとTAT(タイ国政府観光庁)は予測している。
そのうちロシアからのツアーで約30万人と想定。
制限緩和で引き続き検討課題とされているのが、感染者と同じフライトに乗り合わあせた乗客への高リスク接触ルール(濃厚接触者はたとえ本人が陰性であっても自費で14日間隔離ホテルへ入る必要がある)の緩和、PCR検査代の値下げならびにATK検査導入、10万ドルの医療保険を5万ドルへの値下げといった項目。
これらが緩和されれば、さらに多くの旅行者が望めるはずだ。
TATはビザとCOEシステムについても外務省と話し合う予定。現在は1ヶ月前されているCOE申請を3ヶ月前から可能とする。
また、話し合いには将来のCOE廃止の可能性が含まれ、ワクチンパスポートの検証システムの開発について保健省と調整するとTAT。
タイ開国計画
10月1日からは、サンドボックスの隔離期間が7日間となった。
サムイ島、パンガン島、タオ島、クラビ(ピピ島、ンガイ島、ライレイビーチ)、パンガー(カオラック、ヤオ島)もサンドボックス化され、滞在条件はプーケットサンドボックスと同様のものに変更された。
実質的に隔離無しでタイに入国し滞在できる。
また、11月1日からはクラビとパンガーは県全体がサンドボックス化する。
現在、決定しているのはここまで。
これがタイ開国計画のパイロットフェーズ(10月1日から10月31日)となる。
パイロットフェーズが終われば、さらに3段階で計画を進める。
第1フェーズ(11月1日から30日):10県
バンコク(全エリア)、クラビ(全エリア)、パンガー(全エリア)、プラチュワップキーリーカン(ホアヒンとノンケー地区)、ペッチャブリ(チャアム)、チョンブリ(パタヤ、バンラムン、ジョムティエン、バンサレー)、ラノーン(パヤム島)、チェンマイ(ムアン、メーリム、メーテーン、ドイタオ地区)、ルーイ(チェンカーン)、ブリラム(ムアン地区)
第2フェーズ(12月1日から31日):20県
チェンライ、メーホーソン、ランプーン、プレー、ノンカイ、スコータイ、ペチャブン、パトゥムタニ、アユタヤ、サムットプラカン、トラート、ラヨーン、コンケーン、ナコンラチャシマ、ナコンシータマラート、トラン、パッタルン、ソンクラー、ヤラー、ナラティワート
第3フェーズ(2022年1月以降):13県
スリン、サケーオ、チャンタブリ、ターク、ナコンパノム、ムクダハン、ブンカーン、ウドンタニ、ウボンラチャタニ、ナーン、カンチャナブリ、ラチャブリ、サトゥーン
段階を踏んでタイを開放していくことになる。
これを今後半年で実施していき、外国人観光客100万人を呼び込む計画だ。
次のフェーズは11月1日のバンコク、パタヤ、チェンマイなど10県の開放だ。
バンコクとパタヤとチェンマイが隔離無しで開放されれば、プーケット、サムイ、クラビ、パンガーとあわせて、ほぼ実質的にタイ全土開国といってもレベルだ。
一般的な観光客の目的地の9割以上をカバーできるだろう。
まとめ:さらなる規制緩和を
プーケットサンドボックス開始3ヶ月は、はっきり言って、失敗に終わった。
予想の半分以下の観光客しかやって来なかったのだ。外国人観光客に限定すると、ほぼ3分の1である。
10月1日からは入国制限を大幅に緩和した。
そして、11月1日からは開国第1フェーズが始まる予定。
今後6ヶ月で外国人観光客100万人達成のためには、COE発行の簡略化、医療保険の減額、PCR検査代の割引、濃厚接触者ルールの緩和などが必須となるだろう。
現在の複雑な手続きとルールでは、短期旅行者は手間とリスクが大きくて、なかなかタイに旅行する気になれない。
これだけ面倒な手続きを経てやって来る観光客が100万人もいるとは思えない。
あとは、国内の規制措置をどう緩和していくかにもかかっている。
現在、タイ全土でバーなどのナイトライフ施設は完全閉鎖となっている。レストラン店内飲酒は、プーケットとサムイ島のみ厳しい条件の下で再開できている。あとのエリアでは禁止だ。
特に観光客が多いバンコクとパタヤでは、夜間外出禁止令も継続している。
店で酒を飲むことはできず、バーはクローズして、夜は外出不可。この状態では観光客がやって来るはずもない。
次回の規制見直しは10月11日に検討される予定だ。せめて11月1日にはもろもろの規制が緩和されないかぎり、観光客はやって来ないだろう。
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