新型コロナウイルスの世界的流行により、各国の入国制限が厳しくなっている。
アメリカはヨーロッパからの入国を禁止したばかり。
タイ入国制限も厳しくなっているが、運用が二転三転しており、なにがなんだか外部からはよくわからない状況。
現地に行ってみないことには、はっきりしないことだらけ。
というわけで、実際に行って、タイに入国してきた。
日本からのフライトでドンムアン空港に到着した際のタイ入国最新事情である。
関空でのチェックイン
関空発のノックスクートを利用してバンコク・ドンムアン空港へ飛ぶ。
早朝ということもあるだろうけど、利用客が減った関空は閑散としていた。
ボードを見るとキャンセルとなっているフライトが多い。
ノックスクートのチェックインカウンターはがらがら。順番待ちゼロ。
チェックイン時に、ここ2週間での外国訪問歴を質問された。
10日ほど前にタイから日本に戻ってきたばかりでまたタイに行くと正直に答える。
それなら大丈夫とのこと。
が、中国、マカオ、香港、韓国、イタリア、イランの危険伝染病地域への2週間以内の訪問歴があると、搭乗不可だと言われた。
タイ入国不可ではなく、搭乗不可とのこと。
ノックスクートだけが独自に行なっているレギュレーションではなく、おそらく他の航空会社も同様だと思われるが、確認したわけではないのであしからず。
もしも14日以内に危険伝染病地域への渡航歴がある人は、タイへのフライトを見合わせたほうが無難。
ちなみに、危険感染症地域からのフライトでタイに入国できたとしても、14日間外出禁止で自宅での自己検疫が必要となる。
違反者には罰金あるいは懲役刑が課される。
それ以外のタイ入国制限について聞いてみたが、特に制限はないとのこと。
セキュリティチェックはがらがら。待ち時間ゼロ。
出国もがらがら。こちらも待ち時間ゼロ。
関空出国時の発熱検査などは一切なかった。
機内
搭乗率は3割から4割程度だろうか。かなり空いている。横一列独占は当たり前の状態。
ただ、卒業旅行らしき若いグループも数組いて、そこまでがらがらというわけでもなかった。
機内で配られる書類は、これまでどおりの出入国カードのみ。
入国後の経過観察用書類といわれるT8は配られなかった。
ドンムアン空港の検疫体制
ドンムアン空港着陸後、機体はメインターミナルからはかなり外れた場所に沖止めされた。
普段とは全然違う場所だ。
まずタラップを降りて、待機しているバスに乗り込む。
少し移動して、普段は使われてなさそうな倉庫みたいな建物へ。
建物内にスクリーニング検査場が設置されていた。
乗客は一列になって建物に入っていく。
そこで乗客一人ひとりの額に体温計をあてて、ピッと測定。
自分で熱がないのはわかっているけれど、さすがにちょっと緊張した。でも一瞬で終わった。
発熱が検知されなければ、そのまま進める。
建物をそのまま抜けて行く形となり、抜けた先にまた別のバスが待機していた。
バスを乗り換えて、今度はイミグレーションがあるメインターミナルビルへ移動。
ビルに入ったところで、また別のスクリーニング検査が待っていた。
ここは熱感知器モニターで歩く人を監視するシステム。
はっきり検知できない人は呼び止められて、手動で検温されていた。
担当者がスマホいじりながらテキトーに流しているという感じはしなかったが、かといって厳格に運用しているという感じでもなかった。
隔離されたベイでの検査と、メインターミナルビルでの検査。
スクリーニング検査が合計2回。
これは、事前に告知された情報通りだった。
ちなみに、ざっと見たところ誰もひっかかっておらず、スムースに検査は進んだ。
ほぼ流れ作業状態。
もしも、どちらかのスクリーニング検査で疑わしい点があれば、個別にさらなる検査がなされることになる。
場合によっては、専用の病院で隔離検査となる。
ウイルス感染の陽性反応が出れば、14日間の隔離措置がとられることになるはず。
陰性の場合でも、14日間は経過観察が義務付けられるとのこと。
在タイ日本大使館のお知らせには、このように書いてある。
1.渡航者が、新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) の患者、またはそれが疑われる者(※)である場合
※ 37.5度以上の発熱があり、咳、鼻水、のどの痛み、息切れのいずれかの症状がある者
・ 職員は、厳格に法律を適用し、検査、治療、臨床診断、隔離、検疫のために渡航者を医療施設へ移送する。2. 上記1に該当しない場合で、危険感染症地域(現時点では、韓国、中華人民共和国(含:マカオ、香港)、イタリア及びイラン)からの渡航者
・ 自宅等において最低14日間の自己検疫を実施しなければならず、自宅等を離れてはならない。
・ 当該期間中は、報告システム(※)に症状を記録し症状を観察しなくてはならない。
・ サーベイランスの担当官が渡航者の症状をモニターする。3.上記1に該当しない場合で、地域での感染が拡大している地域(現時点では、日本、台湾、シンガポール、ドイツ、フランス及びスペイン)からの渡航者
・ 最低14日間の自己観察を行うための観察下に置かれる(検疫なしの監督)。
・ 上記2と同様に、当該期間中は、報告システム(※)に症状を記録し症状を観察しなくてはならない。
※ なお、この報告システムについては、現在開発中であるとのことです。
・ サーベイランスの担当官が渡航者の動きや誰と接触したかをモニターするために、渡航者は疾病管理官に訪問先を通知しなくてはならない。
上記2と3の者が、14日の間に発熱や症状がある、または疑われる場合には、すぐに疾病管理官に連絡しなければならない。引用元:https://www.th.emb-japan.go.jp/itpr_ja/news_20200312.html
発熱や咳などの症状がないなら、日本からのフライトでタイに到着した者は問題なく通過できることになる。
実際にそのとおりだった。
(危険感染症地域に2週間以内での滞在歴があると、少なくともノックスクートでは日本からタイへのフライトに搭乗できない)
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イミグレーション
スクリーニング検査を終えると、あとは通常の入国手続きとなる。
いつもなら大混雑しているイミグレーションだが、ほとんど利用者がおらず閑散としていた。
Visa on Arrivalの記帳台に少しだけ人がたまっているくらい。
タイ人向けのイミグレーションカウンターはがらがら。
その先に、外国人パスポートのカウンターがある。
中国人専用カウンターは廃止となったようだ。
カウンターはどこも空いていて、ほぼ待ち時間ゼロの状態。
おそらくは同じ便に乗ってきた人だけ。
前日のニュースで、到着時のアプリ登録が必須となったと聞いていた。
ソース: https://www.bangkokpost.com/business/1875989/
ソース: https://www.nationthailand.com/news/30383878
3月12日から始めるはずだが、そんなものは影も形もなし。
T8と呼ばれる申告書類も無し。
何も無し。
入国審査でも、新型コロナウイルスに関する質問は一切なかった。
最近の渡航歴も聞かれなかった。
入国審査官がパスポートのスタンプを当然チェックしているのだろうけど、たとえば、香港出入国の際にはスタンプが押されないわけで、何も質問なしで済ますのはちょっと意外だった。
あっさりと入国審査は終了。
あっさりと入国。
意外というか、拍子抜けするほどの簡単なタイ入国だった。
タラップを降りたのが、12時29分。
入国審査を終えて入国したのが、12時49分。
ここまでの所要時間20分。
以前のドンムアン空港なら、普通の状態でももっと時間がかかっていたはずだ。
スクリーニング検査とバスを乗り換える手間が増えたにもかかわらず時間が短くなった。
現状では、日本からのフライトでのタイ入国は、熱や咳などの新型コロナウイルス感染を疑われる症状さえ出ていなければ、まったく問題ない。(くどいようだが2週間以内の危険感染症地域への渡航歴があると搭乗そのものが不可。)
入国後の制限も特に課されない。
なるべく自宅に待機したりむやみに人混みの中へ出ないよう協力要請は発令されているが、強制はされない。
タイ出国時までに健康で過ごしていれば、これまた問題なく出国できるだろう。
約10日前のことだが、ドンムアン空港出国時には何の検査も質問もなかった。
関連記事:タイ・パタヤから日本への帰国。がらがらのスワンナプーム空港とドンムアン空港、タイ出国状況。
注意
これは3月12日時点のドンムアン空港における入国事情である。
スワンナプーム空港については不明。
基本的には同じ内容だろうが、スワンナプーム空港職員とイミグレーション職員が感染したこともあり、もっと厳しく検査しているかもしれない。
また今日が問題なくとも、明日には状況が一変しているかもしれない。
昨日までの安全は今日の安全を保証するものではない。
タイ政府当局の施策は発表と現場での運用との間にすごく乖離がある。
実際のところは、その時、その場所で、自分で確認するしかない。
今のところ、日本からのタイへの入国は問題なしといえる。
あれやこれやとタイ入国制限の情報を聞いて心配している人が身構えて入国に挑むと、ほぼ間違いなく拍子抜けするだろう。
それくらい緩いと感じた。
が、正直なところ、この情勢下で海外旅行は肩身が狭い思いがする。
それは否めない。
別に悪いことをしているわけではないけれど、かすかな罪悪感のようなものを覚える。
タイ入国は問題ないと自分の身でしっかりと体験したが、それでも、「タイへ来い」と他人に大きな声で扇動する気には到底なれない。
入国時は問題なくとも、滞在中に体調が悪化するおそれもある。そうなると2週間の隔離も充分ありうる話。
突然帰国便がキャンセルとなるかもしれない。
日本で仕事や家庭がある人は遠慮したほうが無難なような気もする。
どうしてもタイへ来たいなら、体調万全でこっそりと来て、タイ国内でもあまり無理な動きはせず、体調万全のままこっそりと帰るのが一番かと。
日本帰国後に万が一発症した場合は、渡航先や濃厚接触者について根掘り葉掘り聞かれることになり、大変なことになるだろう。現状ではその確率は非常に低いが、万が一の覚悟も必要。
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