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2016年4月~パタヤ沈没日記

3年ぶりに再会したバービア嬢が涙を流す

投稿日:

沈没日記23

テンションは上がらないが、バービアめぐりは続ける。
なかば惰性のような気もするが、こればっかりはやめられない。

とあるバービア群をバイクでたらたらと走っていると、一人のバービア嬢と目が合った。
その途端、二人同時に声を上げる。

「あ~~~~!!!」

バイクに座っているわたしに彼女が抱きついてくる。

4年ほど前にパタヤでアパート暮らしをしている時に仲の良かったバービア嬢だ。

一度ペイバーしてからは、週に3日ほどはわたしの部屋に泊まりに来ていた。

泊まりに来ては、夕方まで部屋でだらだらして、そのまま出勤。
客が捕まらなかったら、わたしの部屋に泊まるに来る。
その繰り返しだった。

バービア嬢1

わたしのパソコンを使って、本国にいるファランとフェイスブックやスカイプでやり取りして、送金してもらっていた。そのカネで、お寿司をごちそうになったこともあったなあ。

関連記事:バービア嬢に送金するファラン。その金でお寿司を食べる日本人。

少々精神的に不安定なところがあって、クスリ関係で変なことにもなっていた。

関連記事:タイの夜の女性たちの薬物使用について。ヤーバーとヤーアイス

わたしがアパートを引き払って、現在のようなホテル滞在に切り替えてからも、関係は続いた。
が、彼女は、シンガポールや韓国へ出稼ぎにいくようになり、いつしか疎遠となり、会うこともなくなった。

パタヤ長期滞在するようになってからは、最も思い出深い女性の一人である。
ペイバーはしないけど部屋に来る夜の女性たち…
パタヤで夜遊びしながら暮らすということが、どういうことかを教わったようなものだ。

関連記事:パタヤでアパート暮らしをしていると、夜の嬢が勝手に部屋に来るようになる

 

会わなくなってから3年ほどが経過している。

まだパタヤのバービアで働いているんだ。

もう会うことはないと思っていた。

衝撃の再会というほどのことはないが、ちょっと心が動かされた。

出会った頃が26歳か27歳。
現在の年齢を尋ねると30歳。

3年前に比べると、肌も劣化しているし、体の線も太くなっている。
以前はもう少しスリムで美人顔だったのだが。

とりあえず、バーに座って、再会の乾杯。

話を聞いてみると、この3年で何度かシンガポールや韓国に出稼ぎに行っていたとのこと。
パタヤのバービアよりは儲かるみたいだが、精神的にも肉体的にもきついようだ。
あまり語りたがらないところをみると、よほど辛かったのだろう。

最近は、ファランとアラブの上客がいて、それぞれ求婚されているそうな。

もう30歳だし、子供も二人いて、お金がかかる。
ファランやアラブと結婚すると、結納金で50万から100万バーツほど手に入る。

「このまま結婚していいのかな? 幸せになれるかな?」

と、自分に言い聞かせるように、彼女は口にした。

「知らん」とバッサリ斬りたいところだが、そうもいかない。
が、わたしは何も答えられない。結婚するつもりはないし、幸せにもしてあげられない。何も言えない。

バービアでお約束の花売りがやって来た。
花の首飾りや花束の売り子だ。
わたしが断っても、売り子はしつこく迫ってくる。
すると、バービア嬢が自分で買うと言い出した。

首飾りを二つと花束一つ。
120バーツを彼女が自分で支払った。

向い合って、お互いの首に花をかける。
それから、花束を二人で手に持って、お互いの顔の前に掲げた。
花束ごしに見つめ合う。

彼女は、やわらかな笑顔を浮かべた。
が、その直後、大粒の涙を流して泣き始めた。

「どうしたの?」とたずねても、返事はかすれ声の「マイルー(わからない)」
涙が止まらない。大きな瞳から、とめどなく流れる大粒の涙。

彼女の体を引き寄せながら、バーに置いてあるティッシュで彼女の涙をぬぐってあげるしか、わたしにできることはない。

思わず、もらい泣きしてしまいそうになった。

この三年間の辛かったことを思い返したのか、そんなにわたしに再会できたのが嬉しかったのか、ファランやアラブとの結婚について考えているのか。
たぶん、それら全部だろうし、本人にもわからないことだろう。

正直、このシチュエーションは苦手だなあ。
まあ、女に泣かれて得意になる男もいないだろうけど、どうにも困ったものだ。

彼女は席を外して、トイレに消えた。
ちょっと安心。

戻ってくると彼女は泣き止んできた。

この状態のまま長居したくなかったので、一杯飲んだところでチェックする。

新しい電話番号を交換してお別れ。

仕事が終わったら電話するからと彼女。
また昔のように部屋に泊まりに来るようだ。

うーん、いまだに好かれているみたい。ま、ブンブンすれば金銭授受は発生するのだが。

 

で、わたしは他のバービアで軽く遊んでから部屋に戻る。
が、待てど暮らせど電話がかかってこない。
こちらからかけてみるも、応答なし。
ショートメッセージを送って返信はない。

翌日の昼過ぎにようやく連絡があった。
昨晩は、友達とディスコに行って酔っ払ったと言う。

「あはは、楽しかったよ~」

と、電話口から聞こえてくる声は、実にあっけらかんとしている。あの涙はなんだったんだという脳天気ぶり。

まあ、これがタイの夜の女性だよね。
一晩たたないうちにすぐに忘れてしまう。

こちらが本気で心配するだけ損、そして真剣に考えるだけ野暮ってもの。

彼女たちの語るストーリには、ウソもあればホントもあるだろう。

でも、その場その瞬間で彼女たちが語ることは、嘘だろうが事実だろうが、彼女たちにとっては真実であるに違いない。

まあ、人にはそれぞれ事情がある。問題もいろいろ。
日本でもタイでも世界中どこでも同じ。

夜の女性たちの人生や心の深い闇なんて軽々しく口にするもんじゃないだろうけど、いろいろあるんでしょう。
軽く受け流しつつ、心の片隅にとどめておけばいいのかね。

うぅ、でもやっぱり、目の前で泣かれるのはやめてほしい。

というか、昔のように、また頻繁に部屋にやって来るつもりかなあ。
まあ、好きにしてくれ。

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