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エッセイ

タイの夜の女性たちの薬物使用について。ヤーバーとヤーアイス

投稿日:2014年8月30日 更新日:

オブセッションの夜

去年、パタヤに沈没していた頃の話。
懇意にしているバービア嬢がいた。
夜中、少し酔った状態でわたしの部屋に泊まりに来た。
彼女の部屋で友人たちと宴会していて酔っ払ったそうだ。

深夜2時ころだったので、そのまま二人で眠りについた。
すると、バービア嬢がごそごそと起き出し、なにやらスマートフォンを必死に操作している。
スマフォの画面をわたしに見せて、よくわからないことを英語とタイ語混じりで訴えかけている。
スマフォが故障したのかと思ったが、画面は正常に機能している。
それにしても彼女の言っていることがよくわからない。
アプリをインストールする画面を見せながら何やら言っているのだが、さっぱり要領を得ない。
スマフォがウィルスに侵されたのかとも思ったが、どうやら違うようだ。
こちらも眠たいので、「大丈夫だ。心配ない」と言って、ふたたび眠りにつく。

ほどなくしてまた起こされた。
今度は、テレビをつけていた。ニュースが流れるテレビ画面を指さしながら、意味不明のことを訴えかけていた。

あれはわたしのことを言ってるの? そうでしょ?
テレビはわたしを見張っている。みんなわたしのことを話してるんでしょ?

これは、やばい。
いわゆる強迫観念(オブセッション)とか誇大妄想とか呼ばれる症状だ。
彼女には子どもが二人いる。パタヤでの夜の商売を長い間やってきた。
ついに精神的におかしくなったのでは、とわたしは本気で考えた。

日本語にはあまり翻訳されていないが、タイの夜の女性の手記が英語版で何冊か出版されており、読んだことがある。その多くの女性が精神を病んでいく傾向にある。特に「ONLY 13」という本の主人公ロンは、最後には完全に精神が崩壊してしまう悲しい話だった。
そのロンと、隣で意味不明なことを言っているバービア嬢の姿が重なったのだ。

が、わたしにはどうすることもできなかった。
タイ語できちんと説明することはできない。英語なら説明できなくもないが、そんな難しい英語は彼女が理解できない。そもそも、わたしには精神病理に関する専門知識がないのだ。
ただ彼女を抱きしめ、「大丈夫だ。心配ない。」と繰り返し言い聞かせるしかなかった。

 

ようやく夜が明けた。
お互い、ほとんど眠れなかった。
彼女はイサーンの実家へ帰ると言う。
それがいい。ぜひ、そうすべきだ。
まずアパートへ荷物を取りに行くとのこと。
心配なので、アパートまで一緒について行った。

アパートの部屋に入ると、ビールやウィスキーの空き瓶がたくさん転がっていた。
昨晩の宴のあとだろう。
が、置いてあるのは酒類だけではなかった。
テーブルの上にちょっと変わった形のガラス管が置いてあるのに気づいた。
この瞬間、悟った。

ヤーアイスだ。
つまり覚醒剤、シャブだ。
おそらく彼女は友人たちと酒を飲み、ヤーアイスを摂取して、その副作用で誇大妄想にとらわれてしまったのだ。

彼女はあわてて、テーブルの上を片付けはじめ、そのガラス管もベランダにあるゴミ箱に捨ててしまった。

だが、その場で彼女にヤーアイスについて問いただすことははばかられた。
現在の精神状態をさらに追い詰めるのはよくなさそうだ。
今はとにかく落ち着かせ、早く実家に帰してしまうのが最善だと思い、故郷へ向かう彼女を見送った。

4、5日してからパタヤに戻ってきた彼女は、すっかり元気になっていて一安心。毒気が抜けたとはまさにこのことだ。
さりげなくガラス管について聞いてみると、「あれは友だちがやっていたの。わたしはやってない」と答えていた。
到底信じられないが、「わかった」とだけ返事をした。

関連記事:パッポンに売り飛ばされ13歳から働かされた少女の物語。ONLY 13

ハジャイでの出来事

話はさらに数年前にさかのぼる。
わたしはタイ南部の主要都市ハジャイに遊びに来ていた。
宿泊していたのは「サクラ・グランドビュー・ホテル」。

ここは、部屋も広く、ルームキーパーもボーイも隙あらば女性を斡旋してくる素敵なホテルだ。(まあ、ハジャイのホテルはどこも似たようなものだけど)
夕方ころにボーイの紹介で知り合った女性と一晩を過ごすことになった。
一戦を終えてから、夜、友だちがいるから遊びに行こうと誘われて、外出。
向かった先は、ハジャイでも特に有名な「リーガーデン・プラザ・ホテル」だった。
この少し後にテロで爆破されて、さらに有名になったが、それはまた別の話。

リーガーデン・プラザ
(爆破後のリーガーデン・プラザ。THE NATIONより)

友だちが泊まっている部屋に入ると、照明は最小限に抑えてあり、エアコンもオフにしてあった。ちょっと蒸し暑く、雰囲気も悪い。
友だちは二人いて、テーブルの上で何やら細かい作業をしている。
銀紙の上に粉をおいて炙ったり、小さなガラス管の中に粉を入れて炙ったりと、実に細かい。

ヤーバー?
と、わたしが質問。
その単語は知っていた。
ネットや本からの聞きかじりだが、元々は「ヤーマー(馬の薬)」と呼ばれていたが、イメージを悪くするために「ヤーバー(バカの薬)」という名称を使うようになったという。
長距離トラックの運転手が、眠気覚ましに愛用していたともいう。これは日本でもかつてヒロポンと呼ばれる覚醒剤の一種が愛飲されていたのと同じ構造だ。
そんな知識はあったので、これがヤーバーなんだろうと考えたのだった。
で、返事は、「うーん、これは、ヤーアイス
正直、違いがよくわからなかったが、覚醒剤であることは間違いない。

彼女たちは作業に熱中していた。
ガラス管をライターで炙り、管の先から微かに立ち上る煙をストローで必死に吸うのだ。
なるほど、エアコンの送風が作業の妨げになるからオフにしているのだなと、妙なところに感心してしまった。

これが、わたしが最初に目にしたヤーアイスの現場。
このガラス管を使って吸引する方法は、今話題のASKA被告も使用していたというジャンキー御用達のもの。
外道の細道的に言えば、火星旅行だ。

バックパッカー時代には、インドのバラナシやカルカッタ、ネパールのポカラ、ラオスのバンビエン、カンボジアのプノンペンやスワイパー、カオサン通りのV○ゲストハウスなどを訪問しているので、そっち方面の現場にはたくさん遭遇しているし、それが当たり前の環境に身をおいていた。
だけど、基本は天然ハーブ系。
ケミカル系にはお目にかかったことがなかった。
そして、薬物にはもちろん断固反対の立場も強く表明しておきたい。

タイの夜の女性たちの薬物汚染

さて、タイの夜の女性たちの薬物使用はどれほどのものなのだろか?
たまにゴーゴーバーで仲良くなった女性に質問してみると、

やってる子はすごく多いよ。でもわたしはやってないけど

といった答えが多い。
人前で裸になって一晩中ダンスするのは、かなり精神的にきつく、ついつい薬物に頼ってしまうらしい。
あとは単純に友だちの勧めでやりはじめたら、やめられなくなったパターンだろうか。
とかく夜の商売には誘惑が多いものだ。

実際、警察の手入れがゴーゴーバーで行われ、ダンサーに対する薬物検査で陽性反応が出て、店が営業停止に追い込まれているケースもある。

ソイ6でも警察の一斉手入れが行われることがある。
2012年に行われた手入れでは、ソイ6のバーで働く400人を対象に尿検査が行われ、うち60人が陽性反応だった。
(ソース http://www.pattayadailynews.com/pattaya-news/pattaya-soi-6-closed-400-sex-workers-drug-tested/)

 

ちょっとむずかしい問題だなあ。
ダメなものはダメなんだけど、そんな単純に割り切れる問題でもないし。

夜遊びする外国人たちがたくさんいるからこそ、彼女たちはバーで働いているわけであり、夜の店で働いてなかったら悪い習慣が身につかずに済んだかもしれない。いやでも、そういう人は、いずれ別の形で手を出していたかもしれず、これまた一概には言えない。

まあ、でも一般の夜遊び旅行者ができることは何もないし、そもそもそんな現場に遭遇する機会も少ないだろう。
が、タイで夜遊びしている以上、薬物問題は実はけっこう身近にあると考えておくのがいいかも。
もし、お相手している女性が、ホテルの部屋でガラス管や銀紙を取り出したりしたら、即刻、部屋から追い出すことをおすすめします。
巻き添えを食ったら、一生台無しになりかねない。
ちょっと目線が定まっていなかったり、妙にハイテンションでふらふらしている女性がいたら要注意かな。

もちろん自分から手を出すなんてもっての他だ。
夜中のビーチやバリハイ埠頭あたりをうろうろしていれば、売人らしき男と接触できるかもしれないが、決して相手してはいけない。

つい最近もバリハイ埠頭で警察の手入れがあり、一人が薬物所持で捕まり、十人が薬物陽性反応で逮捕された。主にスピードボートの運転手と従業員たちのようだ。
(ソース www.pattayapeople.com/Crime-News/RAID-ON-WORKERS-CAMP_3008201406

タイの刑務所は厳しいらしいよ。特にタイガープリズンと異名をとる「バンクワン刑務所」は地獄ですぞ。

関連記事:バンクワン刑務所へようこそ THE DAMAGE DONE

 

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