誰が呼んだか名付けたか、ぼくらのブッカオ名無し食堂。
パタヤ沈没生活をはじめた10年ほど前には幾度となくお世話になった。
でもいつしか足が遠のきはじめ、数年に一度しか利用しなくなった。
そして、パンデミックが直撃し、ついには名無し食堂は撤退するに至った。系列店のクイティアオ屋に合流する形となり、クイティアオとカオマンガイを提供していた。
が、ついに、名無し食堂が復活。
往年のガパオライスまで食べられるようになった。それも深夜遅くまでやっている。
懐かしさあまり泣きそうになった。
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名無し食堂の歴史
ここで簡単に名無し食堂について振り返ってみよう。
個人的に最初に利用したのは、2010年かそれくらい。
本格的にパタヤで長期滞在するようになった2012年からは頻繁に通った。
本当に名前のない食堂で、店員に店名を聞いても「ない」と答えられるばかりだった。
存在を知ったときにはもう「名無し食堂」という呼び方がネットの掲示板ではされていた。
誰が名付けたかは知らない。
通称「名無し食堂」と呼ぶようになった。
まとめて記事にしたのが2014年頃。
豚ガパオライス40バーツに目玉焼き10バーツを足して50バーツで食べるのがデフォルトスタイル。
もしくは、鶏パッポンカリー60バーツと白ご飯20バーツのカレーセット80バーツもよくやっていた。
もともとパタヤ好きにはよく知られていた食堂ではあったが、記事にしたことでより多くの日本人に周知されるようになったように思う。
名無し食堂というネーミングも広く膾炙した。
そのうち、名無し食堂の横の横に、おいしいクイティアオ屋ができた。
このクイティアオ屋は2015年9月に記事にした。
関連記事:ブッカオ名無し食堂横のクィティアオがうまい。激辛トムヤムスープがおすすめ。
当時の価格は35バーツ。
当初は気づかなったが、このクイティアオ屋にはちゃんと店名があり、また名無し食堂の姉妹店だった。同族経営らしい。
でも店名は気にすることはなく、単に名無し食堂の横のクイティアオ屋とか呼んでいた。
個人的にはこの頃から名無し食堂自体から足が遠のいていた。
2016年6月。定点観測でひさしぶりに名無し食堂ガパオライスを食べる。
2018年4月。改装した名無し食堂でカオマンガイを食べる。カオマンガイ40バーツ。
そして、2020年3月頃、パンデミックに襲われる。
名無し食堂も営業を取りやめた。
2020年7月。規制が緩み、名無し食堂営業。4年ぶりにガパオライスを食べる。
これが最後の名無し食堂ガパオだった。
2021年5月。店内飲食禁止にともない、名無し食堂も休業。その後、営業を再開したが、またすぐにシャターを下ろす。
2021年10月。名無し食堂が営業再開。
2022年3月。名無し食堂横のクイティアオ屋は営業を続ける。
2022年5月。名無し食堂とその横のクイティアオ屋で工事が始まった。
2022年6月。名無し食堂横のクイティアオ屋が再開した。この時点ではようやくバーの営業が午前0時を超えるようになった。
2022年7月に名無し食堂が完全クローズ。店内取り壊し。
名無し食堂が入っていたテナントにはバービアができた。
旧名無し食堂は、横のクイティアオ屋へ合流する形となり、クイティアオの他にカオマンガイも提供するようになった。
この時点では、名無し食堂では定番だったガパオライスとかの炒め物料理は提供していない。そもそも鍋をふるうためのガス台などの調理施設がなかった。
もう名無し食堂の復活はないものだと思っていた。
単なるクイティアオとカオマンガイだけだと。
新名無し食堂
2025年1月中旬。
深夜2時頃にソイブッカオとLKメトロ周辺をうろつく。
おっと、こんな時間でもクイティアオ屋が営業しているぞ。
しかも人でにぎわっている。
旧名無し食堂と合流したあとのクイティアオ屋は、営業時間が不安定だった。
昼間はやっていなかったり、夕方に営業したかと思うと、夜は早めに閉めたりと安定しない。1日中休みのことも多かった。
昔の名無し食堂はびっくりすることに24時間営業だった。休日はソンクラーン期間だけだったはず。あとは早朝でも昼間でも深夜でもいつでも営業していたものだ。
クイティアオ屋は24時間ではなかったものの夜遅くまで営業していた。
夜中のクイティアオ営業が再開か。
気になったので、中をのぞく。
むむ、カオマンガイとクイティアオの調理台の他に、炒め物用のガス台が設置されているではないか。
鍋をふるっているのは、昔なつかしのおばさんのような気がする。
なんとまあ、名無し食堂の復活ではないか。
店内へ。
クイティアオ屋は完全に名無し食堂スタイルに作り変えられていた。
内装はクイティアオ屋時代よりもかなり綺麗になった。
ちょっと間口は狭くなったかもしれないが、作りは昔の名無し食堂そのまんまだ。
入って右側はちょっと小さめの4人掛けテーブルが3つ、左側は6人掛けテーブルが3つ。
昔と同じシルバーのテーブルと安っぽい椅子だ。
無料の氷とコップも昔と同じ位置に置いてある。
なんだかすごく懐かしい。
奥にある冷蔵庫は変わったかもしれないが、ほぼ同じもの。
昔の店員は誰も残っていないようだ。
とっちゃん坊やマッチョな男性店員はいない。
今は若いタイ女性が二人で接客対応にあたっていた。
すべてのテーブルには客が座っていて、空きテーブル無し。客のほとんどはファランのおじさんばかり。人のことは言えないけれど、金を持ってなさそうなうだつの上がらない沈没ファランたちだ。
昔ながらの風景である。
ファランが一人で座っている6人テーブルに相席させてもらう。
メニューは表裏の一枚もの。
タイ語と英語の文字だけのメニュー表だ。
かなり見づらい。
が、昔のような炒め物料理はすべて復活したようだ。
ガパオライスもあるし、パッポンカリーもある。
32番がガパオライスのこと。豚か鶏肉で50バーツ。
以前と比較するとガパオライスは10バーツ値上げ。
鶏のパッポンカリーの単品は80バーツで20バーツ値上げ。
まあ、10年前と比較してこれだけしか値上げしていないと喜ぶべきかもしれない。
ガパオムーサップカイダーオ
通りかかった店員を呼び止めてオーダー。
もちろん、「ガパオムーサップカイダーオドゥアイ」とオーダーする。
豚ミンチのガパオライスの目玉焼き付きだ。カイダーオは10バーツのまま。
店員はまったく表情を変えず、返事もなく、ただうなづくのみ。
この愛想のなさがザ・名無し食堂って感じで、逆にうれしくなった。
そしてやってくるガパオ。提供は早い。
懐かしい。2020年7月以来、4年半ぶりの対面だ。
相変わらず豚ミンチ肉はごろごろしている。汁気が少ない味付けも変わらず。バジルの葉っぱも多い。外国人向けに唐辛子は控えめ。
昔のままだなあ。
やはり同じおばさんが調理しているのか。
巨大なナンプラー入れ容器は取っ手付きになった。
ナンプラーをふりかけて、いざ実食。
思い出補正のせいか、すごくおいしく感じた。
いや、たぶん大したことはないのだ。名無し食堂に大層で立派な味を求めるのがそもそもナンセンスである。
でも懐かしい味。
なんだかこの5年くらいのことが一気に押し寄せてきて、感情が込み上げてきた。
パンデミックだけじゃなくて、いろいろあったなあ。
パタヤ沈没生活は名無し食堂のガパオライスこそが原点かもしれない。
初心に帰るならば名無し食堂だ。
会計は厨房そばに立っているスタッフに声をかけて、その場でお支払い。
ガパオムーサップカイダーオで60バーツ。
10バーツの値上げに重みを感じる。
でも、これだけ物価が上がったご時世で深夜2時にさくっと食べられて60バーツならばむしろ安い。
沈没ファランたちが集まってくるのも当然だ。
地図とまとめ
Googleマップ上には、2つの名無し食堂が表示されるようになった。
立地でいえば、もともとクイティアオ屋があった場所が正しい。
名無し食堂があった場所はもう別の店に変わってしまっているからだ。
まあほんの10メートルくらいしか離れていないけれど。
正しい立地の店舗の表記は、「テーワダ(名無し食堂)」となっている。
地図
営業時間はわからない。聞いていない。
深夜3時近くでも営業しているので、朝まで営業かもしれない。
Googleマップ情報では、20時から翌5時まで。
たぶんそんなところかと。
というわけで、名無し食堂完全復活です。
パタヤ沈没民よ、再び名無し食堂へ結集するのだ。
ま、個人的にはガパオライス目的で訪れるのはまた4年後だと思うけど。
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