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タイ国内情勢

ロシア人観光客減少とタイ観光業

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今やニュースはウクライナ侵攻ばかりとなった。
先月まではタイを訪れる観光客のトップはロシア人だった。
まだまだ多くのロシア人が、主にプーケットに滞在している。
タイの観光業とロシア人観光客にまつわるトピックをまとめておく。

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ロシア人のタイ入国者数

2月1日から28日にタイに入国したロシア人旅行者は17,599人で、2位のドイツ13,964人を寄せ付けずトップだった。

多くがプーケットからタイに入国している。
2021年11月1日から2022年3月6日まで、プーケットに入国したロシア人は55,394人。これも当然1位で2位ドイツの約2倍だ。

大半がそのままプーケットに滞在し、他にクラビやパンガーなどでも滞在している。これらはサンドボックスエリアだ。
スワンナプームなどプーケット以外に到着したロシア人は約7,600人。パタヤ、サムイ島などに滞在。
パタヤの統計は不明だが、体感ではそれほど多くはない。
サムイ島はそれなり多そうだ。

3月1日から6日のタイ入国者は、48,950人。
Test&Goで41,386人となっている。

出発国トップ10では、2月まではずっと1位をキープしていたロシアが転落。

ロシアは第5位で、2,328人。
トップ陥落は当然としても、一日あたり400人近くがまだロシアからタイに来ているのは逆に驚きだ。
日本はランク外。10位のカンボジアが1,094人だから、日本からはそれ以下。
戦争しているロシアより日本が少ないというのもなんだかなという話だが、新Test&Goで申請した人もそろそろ入国しているだろうし、また日本の待機期間短縮も実現しているので、これからは増えていくはずだ。

ロシア人観光客の苦境

大半がプーケットとクラビに滞在しているロシア人観光客たち。
現在、ロシア人観光客にとって苦しい事態となっている。

ビザとマスターカードがロシアでの事業を停止した。
ロシア国外でクレジットカードの決済が止められている。
すでに、プーケットとクラビのホテルはロシア人観光客のクレジットカード支払いを停止済みだ。現金での支払いのみ受け付けるポリシーに変更した。
SWIFTからロシアの主要銀行が除外されており、国際送金もできなくなっている。WISEのロシア向けサービスも停止された。

ルーブルの暴落とクレジットカード停止により、ロシア人の旅行キャンセルが相次いでいるという。
通常ロシアからの観光客は3月下旬に到着し、1-3週間滞在するが、多くがキャンセル。
プーケットのホテルでは顧客の15%を失ったそうだ。

ホテル側は、タイ銀行に、ロシア人観光客がホテルなどのサービスに支払うための別の方法を見つけるよう依頼している。
ホテルとしても、暗号通貨での決済を受け入れるなどの代替方法を模索中だ。

パタヤの両替所ではルーブルの両替を停止している。

暴落中のルーブルを取り扱うのはあまりにもリスクが大きい。
プーケットでの両替事情は不明だが、両替できるにしても暴落前の3割から4割減となっているだろう。下手すると半値ほどかもしれない。
これまで1万円で3,000バーツに両替できていたものが、いきなり1500バーツにしかならないと考えると、いかにダメージが大きいか。
ルーブルが暴落、クレジットカードも利用できず、国際送金もできない。
プーケットの主要病院ではロシアの保険会社の医療保険も停止された。

アエロフロート・ロシア航空はベラルーシをのぞくすべての国際線フライトを8日より停止する。
また、EUはロシア機の上空飛行を禁止し、対抗措置としてロシア側もEU機のロシア上空通過を禁止とした。
ロシア当局は外国にいる自国民に対して外国から帰国するならアゼルバイジャン、カタール、UAE、トルコなどを経由するよう勧告した。

検索してみると、バンコクからロシアへはカタール航空、トルコ航空、エミレーツ航空で帰国可となっている。片道で33,000バーツほどだ。

ただし、航空券を買うにしても支払手段がかぎられる。
クレジットカードは使えない、ルーブルは暴落で両替もままならず、国際送金もできない。
暗号通貨を使うなど回避手段は残されているものの、そこまで準備している人は少ないはず。
ロシア国内で独自決済可能なクレジットカードは生きている(制裁のしようがない)ので、ロシア国内にいる知り合いなどに依頼すれば、購入は可能かもしれない。
また、プーケットにはロシア人向けの旅行代理店も多い。必死で抜け道を探しているはずだ。

プーケットに足止めされたロシア人観光客の数は発表されているが、かなりの数にのぼるとみられる。(追記:プーケット観光協会によれば、ロシア人3,500人から4,000人、ウクライナ人300人から400人がプーケットに残っている)
プーケットのロシア領事館では、プーケットイミグレーションがプーケット滞在を希望するロシア人に滞在期限の1ヶ月延長を認めると発表した。
タイに足止めされたウクライナ人に対しては2月24日より同様の救済措置が取られている。
ロシア人よりは数は少ないが、ウクライナ人も帰国は困難だ。

なお、EUからタイへ渡航する旅行者の多くは、中東の航空会社を利用することが多いため、営業は問題ない。
タイ航空もヨーロッパ方面ルートを維持している。
だが、緊張が高まれば、タイへの渡航を見合わせる観光客が増えて来るかもしれない。

タイ観光業の苦境

2019年のタイ観光市場の割合をバンコクポストがグラフにしている。

https://www.bangkokpost.com/business/2274963/russias-ripple-effect

ロシアが5%で、1,030億バーツ。
中国が28%で、5,310億バーツ。
ロシアと中国からの観光客で全体の3分の1を占めている。

中国はゼロコロナ政策を取っており、自国民の海外旅行を実質的に制限している。
旅行は不可能ではないが、2019年まではパタヤで嫌というほど見かけた団体観光客はゼロとなった。
次の頼りの綱はロシアからの旅行者だが、これも減少。ゼロにはなっていないが、予約キャンセルが相次ぎ、もう期待はできない。
これはタイの観光業にとってはなんとも悪いニュースだ。

ロシア人はそれでも観光旅行を希望する人が多いらしい。
でも、タイではビザやマスターカードなどクレジットカードが使えない。
ロシア独自のミールという決済システムが使える国への旅行を希望するロシアが増えるかもしれない。
前述のとおり、中東やトルコへのフライトはなおも運航中。
タイへは行かずにそういった国へ流れていく。

なお、タイの輸出部門では、ロシアとウクライナへの出荷は全体の0.38%と0.02%。影響は大きくないが、石油価格の高騰により、将来的には輸出全体に問題が生じるとしている。

日本からタイへの旅行

今のところ、欧米や日本からのタイへの観光旅行はまったく問題ないし、旅行者も特に減っているわけではない。
タイ旅行に関しては気にする必要はなさそうだ。

日本では外務省がロシアの危険情報を7日付けで更新している。
先週時点でウクライナ国境付近地域は、最も高いレベル4に指定し、退避勧告が出ていた。さらに、ロシア全域をレベル3に引き上げ。渡航中止勧告としている。
ウクライナは2月11日時点で全土レベル4の退避勧告が出ている。
ベラルーシはウクライナとの国境付近がレベル4となった。

ヨーロッパは暗雲立ち込める状況だが、アジアはまだ大丈夫。
タイ国内、パタヤはいたって平穏だ。
観光にたずさわる人は、とにかく観光客に来てほしいと願っている。
パンデミックはいまだに終息しておらず、タイ国内の新規感染者も減っていない。むやみやたらに海外旅行を勧められる情勢ではないかもしれないが、ある程度のリスクは承知の上でタイ旅行を考えよう。

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