タイ国内、とりわけバンコク首都圏と南部4県での感染拡大をうけて、7月9日に規制強化が発表された。
夜間外出禁止を含む厳格な規制措置となる。
規制措置は官報に掲載され、7月12日より施行開始。
在タイ日本大使館が詳細を発表した。日本語での情報ではこれがもっとも確度が高い。
広告
新型コロナウイルスに関するお知らせ(非常事態令第9条に基づく決定事項(第27号)の発出)
ポイント
・7月10日、タイ政府は、国内での感染状況の深刻化を受け、国内のゾーン区分を変更(CCSA指令第9/2564号)し、あわせて人の移動の制限等を強化する「非常事態令第9条に基づく決定事項(第27号)」を発出しました。
・本措置は、7月12日からの適用となっています。
・主要部分の日本語仮訳は以下のとおりです。
・今後の発表等により変更の可能性もありますので、最新の情報収集に努めて下さい。
本文
「仏暦2548年非常事態における統治に関する勅令」(非常事態令)
非常事態令第9条に基づく決定事項(第27号)
昨年3月26日付のタイ王国全土を対象とした非常事態宣言の発令および本年7月31日までの同宣言の適用期間の延長に関し、非常事態令第9条及び仏暦2534年国家行政規則法第11条に基づき、首相は一般的な決定事項、及び全ての当局職員の行動規則として、次のとおり発令する。
【第1項 指定地域の修正】
新型コロナ政府対策本部(CCSA)が別途行う指定地域の修正(注:7月10日付CCSA指令第9/2564号)に則し、各都県のコロナ対策本部に対し、今次決定事項、決定事項第24号および決定事項第25条に則し、感染状況の変化に応じた防疫措置の見直しを行うよう指示する。
(注:7月10日付CCSA指令第9/2564号のポイント)
・最高度厳格管理地域は10都県で、6月27日付CCSA指令第6/2564号から変更なし。
・最高度管理地域を24県に変更(前回指令から増加)
・管理地域を25県に変更(前回指令から増加)
・高度監視地域を18県に変更(前回指令から減少)
【第2項 住居からの外出禁止】
当局職員による許可ないし下記第4項に定める例外を除き、首都圏(バンコク都、ナコンパトム県、ノンタブリ県、パトゥムタニ県、サムットプラカン県、サムットサコン県)および南部4県(ナラティワート県、パッタニー県、ヤラー県、ソンクラー県)の住民に対し、本件決定事項発令(注:7月12日0時)から少なくとも14日間、午後9時から翌朝午前4時までの時間帯における、住居からの外出を禁ずる。
【第3項 当局者の責務】
当局者による上記第2項に定める地域および時間帯における活動を許可する。
【第4項 例外規定】
以下の者は、上記第2項の対象から除外される。但し、身分証明、夜間の移動の必要性、夜間の用務もしくは渡航を証明する文書を携行し、防疫措置を厳格に実施しなければならない。
(1)保健分野(患者、医師との面会が必要な者、医療行為を受ける者、および右の支援者。医師や看護師等の医療従事者。保健当局者。)
(2)ロジスティクス分野(食料品、薬品、衛生用品、医療機器、日用品、農産品、揮発燃料、郵便、宅配物、印刷物および輸出入品の運搬に携わる者。)
(3)人の輸送及び移動(公共交通機関運用者。運送業者。空港やバス発着所との往来を行う者。感染症法で定められた隔離・管理対象者の移送に携わる者および右目的で越境移動のために同時間帯の移動が不可避な者。)
(4)支援行為(貧困・困窮者、高齢者、ホームレス状態の者、被災者等を支援する者。社会インフラ、水道、揮発燃料、ゴミ処理、情報通信機器の修繕等、国民生活維持の作業に従事する者。自然災害からの復旧作業に従事する者。金融機関の維持に関わる者。事故処理に携わる者。)
(5)特定の職種(保守作業や業務の継続の観点から夜間に交代する必要のある職種、守衛、農業、漁業、畜産業に携わる者。)
【第5項 追加的例外規定】
各都県知事は、上記第4項以外の例外規定について、新型コロナ政府対策本部オペレーション・センター(CCSA-OC)に対し提案することができる。
【第6項 勤務先以外での作業】
首都圏(注:バンコク都、ナコンパトム県、ノンタブリ県、パトゥムタニ県、サムットプラカン県、サムットサコン県)に所在する当局および政府機関の責任者ならびに民間の事業者に対し、勤務先で作業する人数を減らす、勤務時間を短縮する等、事業に則した適切な方法をもって、感染拡大の危険性を減らすための取り組みとして、勤務先以外での作業を可能な限り最大限実施するよう求める。対面での業務が不可欠な場合、業務時間の限定や防疫措置の徹底を求める。
事業者に対し、現下の感染拡大状況に鑑みた事業を行い、傘下の従業員への適切な支援を行うよう求める。
【第7項 首都圏に限定した緊急措置】
(1)独立店舗、百貨店等の施設内、空港、駅、バス発着所、コンビニエンスストア内、路上の飲食店、移動販売、歩き売り、その他形態を含む飲食店および飲食の販売の営業時間を、午後8時までとする。但し、店舗内での消費を禁じ、持ち帰りのみとする。
(2)百貨店、ショッピングセンター、コミュニティモール、同種形態の営業時間を午後8時までとし、施設内のスーパーマーケット、衛生用品や医薬品、DIY用品、金融機関、情報通信機器、郵便・配送、修理・修繕といった分野の店舗のみ営業を認める。官民を問わず、ワクチン接種や医療行為のための部分は営業を認める。
(3)コンビニエンスストア、定期市場、ナイトマーケット、歩行者天国の営業時間を、午後8時までとする。従来から夜間営業を行っているコンビニエンスストアに関しては、午後8時から翌朝午前4時の間は閉鎖せしめる。
(4)屋外の公園、運動場、競技場の営業時間を、午後8時までとする。
(5)古式マッサージ(足マッサージ含む)、スパ、美容医療機関、健康増進機関の営業を禁ずる。但し、ヘアサロンおよび理髪店については、過去に発令した条件および防疫措置の厳格な実施の下で営業を認める。
(6)5名以上が参加する活動を禁ずる。但し、決定事項第25号における例外規定は継続適用する。
(7)学校、教育・研修機関および類似の機関は、過去に発令した条件(注:原則遠隔授業等)を継続して適用する。
【第8項 公共交通機関】
あらゆる形態の公共交通機関の営業に関し、午後9時から翌朝午前4時までの営業を縮小せしめる。
【第9項 越境移動】
不要不急の越境移動の自粛を求める。
首都圏および南部4県(注:最高度厳格管理地域)とその他の県との出入境について、決定事項第25号の内容に則し、当局による人の移動の厳格な管理を実施する。
物の越境移動に関しては、経済への影響を鑑みつつ、タイ運輸省が必要な措置を検討する。
【第10項 防疫措置および感染者への対応】
首都圏での感染者増加への対応のため、官民協力を求め、タイの伝統的な漢方薬の使用や検査の徹底、一時的救護施設や野戦病院の設置、トリアージや救急介護施設の設置、優先的接種対象(高齢者、基礎疾患者等)へのワクチン接種の促進を求める。
【第11項 誤った情報の流布の防止措置】
虚偽もしくは人々を恐れさせる、ないしは事実を意図的に曲げて誤解を招くような情報の、各種方法での流布は、非常事態令第9条(3)に照らして違法行為を構成し得る。
【第12項 決定事項の適用】
今次決定事項は、別途の指示がない限り、発令から最低14日間(7月25日まで)適用するものとする。
以上の内容は、仏暦2564年(西暦2021年)7月12日以降適用される。
仏暦2564年7月10日
プラユット・チャンオーチャー 陸軍大将 首相
引用元:https://www.anzen.mofa.go.jp/od/ryojiMailDetail.html?keyCd=115539
ゾーン区分
ダークレッドゾーン:10県⇒10県
レッドゾーン:5県⇒24県
オレンジゾーン:9県⇒25県
イエローゾーン:53県⇒18県
ダークレッド(最大厳格管理地域):バンコク、ナコンパトム、ナラティワート、ソンクラー、パトゥムタニー、パタニ、ヤラー、サムットプラカン、サムットサコン
パタヤのあるチョンブリ県はレッドゾーンのまま。
サンドボックス開始のプーケットはイエローゾーンを維持、7月15日からサムイプラスを開始予定のスラタニーはオレンジゾーン。
夜間外出禁止令
夜間外出禁止はダークレッドゾーン(最高度厳格管理地域)10県に適用される。
大使館訳では、はっきりと「禁ずる」となっており、明確な夜間外出禁止令となった。
違反が発覚すれば罰せられるおそれあり。
外出禁止時間は、午後9時から午前4時。
期間は最低でも2週間となっている。
スーパーやコンビニの営業は午後8時まで。
営業が終わり、客も従業員も1時間で家に帰れということになる。
また、公共交通機関は、午後9時から午前4時までの営業を縮小せよとなっている。
すでに、BTSやバスなどは夜間の運行停止を発表している。
トランスポート社の南部方面行きバスは運行全面停止に。
国内線フライトも午後9時から午前4時の発着を原則中止とする命令が航空局より出ている。
夜間の移動はほぼ不可能。
早めに帰宅するしかない。
県間移動
不要不急の越境移動の自粛を求めるとのことで、これは罰則を伴う強制措置ではないようだ。
なお、各県にはチェックポイントが設置される。これは7月10日朝からすでに開始されているもよう。
ただ、どのくらいの規模でどれほど厳しいチェックが行われているかは不明。
まとめ
バンコクは実質的なロックダウン状態となる。
ただ、昼間の日常生活には大きな障害はなさそうに思える。一部施設は利用できなくなるが、生活必需品や食料の買い物は普通にできる。仕事へ行くこともできる。ほとんど、仕事と家の往復しかできないが。
なお、パタヤのあるチョンブリ県は政府命令による規制強化の対象ではない。夜間外出禁止令は出されていない。店内飲食も可能だ。海やプールで泳ぐことも、フィットネスジムも利用可能となっている。
広告