50日目
カラオケ嬢との日常
もはや、わたしのベッドはカラオケ嬢の定位置と化した。
彼女は一日の大半をわたしのベッドで過ごしている。
12時間睡眠して、あとはベッドの上でだらだらゲームしたりテレビ見たりしている。
困ったヤツだ。
彼女が起きるタイミングもわかってきたので、頃合いを見計らってコンビニに食料を調達しにいくのもお約束。
ママーのクリーミートムヤム味を与えておけば文句を言わないのはありがたい。
ちなみにわたしはママーのグリーンカレー味にした。さすがに毎日同じ味は飽きるよ。
ママー2個とおにぎり51バーツ。ゆで卵がひとつ余っていたので、半分に切ってシェア。
合わせて59バーツの昼食。
ここから、カラオケ嬢はさらにお昼寝。
もう好きにしてくれ。
わたしは夕方から知人と会う用事があり外出。
2時間ほどで帰宅すると、カラオケ嬢はお昼寝を終えて、「おかえりなさい」と。
で、すぐに「腹減った~」と。
はあ、そうですか。
わたしはとんぼ返りで夕食を買い出しに出かける。
うーむ、すっかり転がされているな。
近くの屋台へ出向く。
彼女のリクエストは、カオパットクンマイサイパック。
カオパット=焼き飯
クン=エビ
マイサイパック=野菜抜き
つまり、野菜抜きエビチャーハンということになる。
なんとものっぺりした出来映え。
見事に野菜がない。タマゴとエビだけのシンプルな焼き飯だ。
タイの焼き飯(カオパット)には、野菜が多い。店によって違うが、人参、ねぎ、トマト、カイラン菜までいろいろ入っている。
それが魅力だとも言えるが、ちょっと野菜が多すぎるような気もする。
そんな時は、あえて野菜抜きで注文するのもありだ。
もしくは、「サイパックニッノイ」とでも言えば、野菜少なめにしてくれる。嫌いな具材があれば指定してもよし。
50バーツ。野菜なしでも特に割引はないみたい。
わたしは、定番のカナームークロップ。カイラン菜のカリカリ豚肉炒め。
濃厚なソースと極厚のばら肉と大きな葉っぱのコンビネーションでご飯がすすむ一品だ。
40バーツ。
あと、イサーン屋台でガイヤーンも購入。
それほど大きくないけど、40バーツ。通常30バーツだから、ちょっと高い。
しかもガイヤーン用のナムチム(タレ)もないと言われる。
この屋台ではもう買わない。
二人でつつき合いながら食べる。
合計130バーツの夕食となった。
食後、またもや、カラオケ嬢に出勤要請がかかる。
ママさんがうるさいと駄々をこねるカラオケ嬢。
いや、言われる前に普通に毎日出勤しようよ。
昨日に続いて、いやいや化粧をはじめる彼女。
化粧を終えて、またもや、わたしのレンタルバイクにまたがってご出勤。
いってらっしゃーい。
あかん、ほんと同じ毎日の繰り返しだ。
まあ、楽しいからいいけど。
LKメトロのオフィスゴーゴー
夜11時頃、ようやく外出。
ちょっと確認したいことがあって、ソイLKメトロのオフィスへ。
ここのダンサー、番号札8番がスレンダーでスタイル抜群との話を聞いて、ひと目見たくなった。
ドラフトビール60バーツ。
じっとステージとその周辺を眺めるも8番は見当たらない。
たまたま昔から知っているダンサーがいたので、話を聞いてみた。
8番は、たしかにフンディーマーク(すごくスタイルがいい)でスーンマーク(すごく背が高い)だが、マイスワイ(顔が綺麗じゃない)だと言う。
おいおい、同僚のことをマイスワイと評するかよ。たぶん、仲がそんなに良くないんだろうね。
この知り合いのダンサーは21歳だったかな。以前はオーストラリア人の彼氏がいたらしいが、現在はフリー。新恋人(上客)を募集中。
残念ながら、顔も体型もちょっと残念なので、わたしは辞退したい。
話し相手になってくれたお礼に、お釣りをチップとして進呈して、バイバイ。
40バーツあれば、食事が取れるだろう。がんばって踊ってね。あと、今度かわいい友達を紹介してね。
カラオケ嬢からの帰宅命令
最後は、やっぱりバービアへ。
知り合いのバービア嬢が20バーツちょうだいと言う。
おつまみがほしいようだ。
20バーツ渡すと、フライドポテトを買ってきてくれた。
ポテトをつまみにビールを飲む。
だらだらしたバービアの日常だ。
客も少なくビリヤードやり放題。
バービア嬢相手に5回戦。
最近仲良くなったファランがいて、わたしがショットをミスすると、冗談を言ってくる。
「へいへい。何やってんだよ。頭使いなよ。毎日女と遊びすぎて、バカになったんじゃないのか」
「ははは。ここのキューを使えば、もっと上手いショットが打てるんだけどな」
と、わたしは自分の下半身を指さしながら、くだらないジョークで返してみた。
下手くそな英語だけど、意外と受けた。ハイタッチまでされたよ。
ファランて、こんなしょうもないシモネタが好きなのかね。
と、バカなことを言いながら遊んでいると、カラオケ嬢から電話がかかってきた。
「仕事終わったよ。どこにいるの?」
「バービアで飲んでる」
「いつまで飲んでるのよ。あとで部屋へ行くから、先に帰ってなさい。レオレオ!」
と、急かしてくる。
おお、こわい。
怒られないうちにチェックビンして、早々に帰ることにした。
カラオケ嬢はわたしがレンタルしたバイクに乗っているが、わたしはソンテウか徒歩。
あわてて宿へ戻ると、ほどなくしてカラオケ嬢がバイクに乗って颯爽と登場。
いいなあ、バイクは楽で。
なんか、本末転倒のような気もするが、まあいいか。
コンビニでカラオケ嬢の好物のヨーグルトを購入して部屋に戻る。
一口ごとにヨーグルトをあ~んして食べさせてくれる。
うーん、かわいいヤツ。
冷蔵庫に買い置きしてあるビールを二人で飲んでから、就寝。
今夜もブンブンなし。
安定か不安定か
それにしても、このパターンは前回のパタヤ沈没時のコヨーテさんと同じだなあ。
夜、仕事にでかける女性をお見送り。
それから、一人でバービアへ飲みに行く。
部屋に帰って、彼女が戻ってくるのを待つ。
で、夜はお互い面倒になって、ブンブンせず、そのまま一緒に寝るだけ。
昼間に気が向けば、たまにブンブン。
このパターンの繰り返し。
バービアめぐりと同じで、新規開拓はわくわくするけど、まったりと特定の相手と過ごすのも悪くない。
新規開拓してハズレを引いてしまうと、目も当てられない。
その点、カラオケ嬢は安定感がある。ずっと寝てるか飯食べているかだけど。
お互いに相性が良ければ、毎日一緒にいても苦痛にならないし、楽しい。
20歳そこそこの若い女性、それも顔もスタイルもいい女性と、こんなふうに過ごすなんてことは、日本では少々難しいが、パタヤでは簡単に実現できてしまう。
もちろん大前提としてお金のやり取りがあるのだけど、大した金額は渡していない。3日に1日やればいいほうなんで、その時だけ1000バーツ。
一緒に寝るだけなら、直接的なチップはゼロ。せいぜいお小遣いを100バーツあげるだけ。
食費代が一人分よけいにかかるが、バービアやゴーゴーバーでのペイバー代を考えれば、安いものだ。
かといって、浮気心がなくなったわけではないんで、たまには他の女にも手を出したくなってくる。
前回のパタヤ滞在時は、一ヶ月間コヨーテさん一穴主義だった。前回の反省(?)を生かして、今回は浮気する気マンマンなのだが、カラオケ嬢にはもちろん気づかれないようにする。
ありがたいことに、カラオケ嬢はわたしの部屋に荷物をまったく置いていない。
せいぜい歯ブラシくらいなもの。こんなものはすぐに隠せる。
が、たぶん、連れ込みはしないかな。
ソイ6とかジェントルマンズクラブ系で遊ぼうかと考えている。
まあ、カラオケ嬢とは一緒にいるだけでも何となく幸せなんで、しばらくはこのままかな。
置屋系の一期一会の遊び方に専念するならともかく、パタヤの夜遊びというのは、お気に入りとの安定を取るか、新規開拓にあくせくするかの間で常に揺れ動くもの。
また、パタヤという街は、そのどちらも容易にできてしまうため、事態はさらにややこしくなる。
短期滞在でもペイバー代さえ払えば滞在期間中ずっと一緒に過ごすことは簡単だし、昼も夜も毎日とっかえひっかえして遊ぶことも簡単だ。
たとえ連続バタフライするにしても、ハズレを引くことも少なくない。そんな中、アタリを引いた時の喜びはひとしおとなる。で、アタリを引くと、どうしてもその子と連続して過ごしたくなる。でも、しばらくすると浮気心が芽生えてきて、新規開拓もしたくなる。
結局、堂々巡りに陥ってしまうのだ。
男の生理現象に答えなんかない。
なんとも楽しくて厄介な街だ、パタヤは。