タイ東北部イサーンの主要都市の一つ、ウドンターニー。
ウドンタニとか、ウドンタニーとか、カタカナ表記はたくさんあれど、現地の人は、このように縮めて呼んでいる。
ウドン
この略称を聞いた日本人の98%くらいの人は、ついつい以下のようなダジャレを口にしてしまうだろう。
ウドンでうどんが食べたい!
と。
ウドンとうどんでは、アクセントの位置が違うが、そんなことこはどうでもいい。
とにかく、ウドンに来たら、うどんが食べたいのだ。
日本人からすれば、勝手にご当地の食べ物に認定したいほどなのである。
しかし、ここは日本から遠く離れたタイの田舎町。
うどんなんて、あるわけないじゃないか。
広告
ウドンターニーバスターミナルの朝
わたしは、パタヤからの夜行バスに10時間揺られて、ウドンタニーバスターミナルに降り立った。
南国のタイとはいえ、この時期の東北部の朝は、そこそこ冷える。
バスの中でもエアコンが効いていたし、体は熱いスープをほしがっている。
こんなとき、熱々のうどんがあればなあ、とないものねだりをしてしまっても、異郷の旅人としては、やむをえまい。
ふらふらと、熱いスープを求めて、ウドンターニーバスターミナルを歩く。
ああ、ジョーク屋台があるぞ。いや、カオトムか。どっちしろ、おかゆか雑炊の違いでしかない。これもタイの定番の朝食。体があたたまることは間違いない。
うどんはあきらめて、おかゆにしよう。
いや、まてよ。寸胴がいくつか並んでいるな。
のぞいてみよう。
うわ。
うどんが浮いている。おいしそうに遊泳している。
あの太くて白い麺は、うどんに違いない。
ウドンにうどんがあった。
「おばちゃん、これちょうだい。これ!」
興奮のあまり、かぶせ気味に注文してしまった。
すぐにどんぶりが到着。
まさに見た目は、月見うどんではないか!
白くて太い麺に、半熟の卵がのっている。
これを月見うどんと称さずして、何者を月見うどんと呼ぶのか。
「はい、クイジャップね」
屋台のおばちゃんは、そんなことを言っていたような気がするが、そんなの関係ない。
薬味として唐辛子をふりかけてから、いただきま~す。
箸で太くて白い麺をすする。にゅるっと口元から喉へと流れていく食感がたまらない。
冷えきった体に染みわたるかのような味わい。だしもうまいねえ。
卵との相性も最高だ。
日本人の朝は、やっぱりうどんだろ。
かつおだしでもなければ、昆布だしでもなく、たぶん鶏ガラで作ったスープだけど、そんなことはどうでもいいのだ。
うどん粉で作った麺ではなくて、米粉で作った麺かもしれないが、それもどうでもいい。
そもそも、うどんでも何でもないが、クイジャップはおいしい。それでいい。
これが、ウドンのうどんなのだ。それでいいのだ。
いやあ、ウドンのうどんあらため、クイジャップおしかったなあ。
ウドンでうどんを食べたい人は、朝のウドンタニーバスターミナルへどうぞ。
いくつか屋台が出ているんで、どこかで食べられるでしょう。
ダジャレ抜きにしても、このクイジャップはうまいです。
たぶん、30バーツか35バーツくらい。安いもんです。
なお、クイジャップと呼ばれる料理にはいくつか種類があって、モツがたっぷり入ったスープ料理のほうが有名かも。ねじった太麺(米の麺)が入っているけれど、メインはモツスープのタイプ。
このウドンターニーのクイジャップは、麺料理タイプ。麺は太麺だが、ねじっておらず、まさに形状はうどんそのまんま。パタヤでもこのタイプは食べられるけど、ここまできちんとしたうどんタイプのクイジャップはお目にかかったことがない。
ちなみに、同じ屋台でイサーン人が注文したジョーク(おかゆ)はこんな感じとなっています。
朝っぱらから、唐辛子全開ですな。イサーン人はたくましい。
ウドンしょっぱなのグルメは、大満足でありました。
広告