タイ観光スポーツ省が、来年2022年よりタイに入国する外国人旅行者に対して500バーツの観光料を徴収する準備ができていると発表した。
これは「観光変革基金」のために利用するという。
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タイ観光料500バーツ徴収へ
先週開催されたCESA(経済状況管理センター)会議にて、高い価値を持ち、持続可能な観光に焦点をあて、観光業界を変革するプロジェクトに助成金を支給するための基金創設を承認した。
TAT(タイ国政府観光庁)によれば、2022年に1000万人の外国人がタイに到着すると想定し、一人あたり500バーツを徴収すれば、初年度には50億バーツが集まると試算している。
タイ国家観光政策委員会では、入国する外国人に対して1人あたり300バーツを徴収するという提案が今年はじめに許可されていた。
今回の発表により、200バーツが追加されることになった。
追加の200バーツ分は、基金の戦略に合致させるべく事業を変革しようとする民間セクター、コミュニティ企業などに割り当てるという。
マスツーリズムから、高価値の観光や環境に配慮した観光へ再構築が基金の戦略だ。
プロジェクトは、政府と民間との共同事業となり、政府は経済的影響を生み出す可能性のあるプロジェクトを支援する。
また、外国人旅行者のための保険と開発プロジェクトにも予算が組まれる。
これらの構想が承認されたあとで、観光省とTATは旅行者からの料金徴収方法などについて話し合うことになっている。
TAT長官によれば、質の高い市場をターゲットとしたいので、追加の費用は観光客に影響を与えないだろうという。
この基金によって、より安全で清潔な観光地への変革を支援できる。
基金創設の目的は、パンデミックによる財政への影響を改善させるためではなく、長期的な経済成長に焦点を当てたものだとTAT長官。
参照:https://www.bangkokpost.com/business/2191883/collection-of-b500-fee-from-foreigners-starts-next-year
感想:金持ち旅行者と環境配慮観光
価値の高い観光とは、要するに金払いのいい金持ち旅行者のことだ。
大型団体旅行による大量の旅行者よりも、単価の高い旅行者にタイに来てほしいという願望だ。
たしかに団体旅行者によって自然が荒らされた例はタイ国内観光地では決して珍しくはない。
環境に配慮する観光産業を目指すのも当然だとはいえる。
ただ、それは外国人観光客だけによって引き起こされたわけではない。国内の旅行者もかかわっている。
また、300バーツの入国料金を徴収する提案の際には、タイ国内の病院で治療を受けた外国人観光客が治療費を払わないまま国外へ出てしまうケースに対応するとも発表されていた。
今回の200バーツ追加により、金持ち旅行者誘致と環境配慮観光地化の流れを進めていきたいのがタイ政府の思惑であろう。
各観光地も健全化していく。
はたして、それでタイに観光客がやって来るのか。
高価値の金持ち観光客は、小綺麗なだけのタイの観光地に興味を抱くのか。むろん豊かな自然環境、特にビーチはタイの観光の目玉ではあるけれど、単に綺麗なビーチだけならば、世界中にたくさんある。
それでもなおタイが好きで訪れている人は、なにも風景の美麗さや街並みの清潔さに惹かれているわけではない。
雑然とした街の雰囲気、自由な気風、開放的な空気感、横溢するエネルギーといったものにこそ惹かれている人は決して少なくはない。
積極的なリピーターほどそういったタイの空気に魅力を感じている。
でも、まあ、タイの観光客は増えすぎたのも確か。
観光配慮も当然の流れ。
個人的には、500バーツの観光料がちゃんとした基金でちゃんと運用されるのであれば歓迎したいが。
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