パンデミックもの映画紹介2回目。
前回はがこちら。
⇒バイオハザード、アウトブレイク、そして復活の日
今回は、アメリカ映画、日本映画、韓国映画の3本を取り上げる。
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FLU 運命の36時間
3本のうち最初に見たのが韓国映画『FLU 運命の36時間』。
2013年公開。
そういえば韓国映画をオリジナル音声で見るのは初めてかもしれない。
最初のうちは韓国語に違和感があるが、すぐに慣れた。
パンデミックもの。
ロックダウン、積み上がる死体の山、封鎖された都市から逃げ出そうとする人々、それを阻止する軍隊、抗体作り。
『アウトブレイク』でもおなじみの流れとなっている。
そこに恋愛模様と親子愛も絡めているのが韓国風か。
ツッコミどころは少なくないが、スピード感があってわりとよくできている。
いいやつと悪いやつのキャラクターわけがきちんとできている。いかにも官僚的かつ保身命のおじさん首相と若くてイケメンの大統領とかね。
まあ単純過ぎるとも言えるが、これくらいしっかりキャラ作りがされていれば、感情移入もしやすい。
ちなみにウイルスは鳥インフルエンザ系。
人身売買で売られてきた東南アジアの子供が感染していて市中に拡がるという流れ。
発症速度が半端ない。街を普通に歩いていて、いきなり血を吐いて倒れるほど。
こんなのが街中で発生していたら、そりゃあみんなパニックになる。
政府が都市封鎖して閉じ込めようとするのも当然。
一気に見られる映画だと思う。見ても損はないかと。
アマゾンプライム会員なら無料視聴可能。
感染列島
次に見たのが日本映画の『感染列島』
2009年1月公開。
未知のウイルス感染、院内感染、感染拡大、封じ込め、無人化する都市部、止まらない感染、医療崩壊。
ネタ的にはすごくおもしろい。
ストーリー的にも広げていける。
アイデアは良かった。
現在の状況を予期していたとも言える。
でも、正直、映画としてはおもしろくない。冗長。途中まではまだ良かったが、最後はだれる。スマホいじりながら見てしまった。
主人公同士のかったるい恋愛風ドラマが余計なんだと思う。
役者陣の演技はいい。妻夫木聡って本当にいい役者だと再認識した。
政治的内容としては、日本の最高権力者である総理大臣が出てこないのは緊迫感に欠ける。
むしろ総理不在や意思決定機関としての内閣の無意味さを揶揄しているのかもしれないが、それならそれでちゃんと描写してほしかった。
ツッコミどころは多々ある。
医療崩壊しているのに、ずっと綺麗なままの病院。
街中に感染が広がっていて、外出している人は治安維持で逮捕されている状況なのに、医者である主人公二人はマスクもせずに平気でうろうろしている。
最前線で治療に携わっている医師の主人公が次のシーンではいきなり東南アジアで感染源を探っている。
この状況で日本から海外へ平気で渡航して、また戻ってこられるというのがびっくり。いや、そもそも日本で治療に専念してくれ。
パンデミックのパニックものだが、群衆のパニック感は希薄。危機感も希薄。都心部が無人化していて荒廃している感を出そうとしているのだが、描写がなんだか薄っぺらい。
いや、これも現実の日本を見てみれば、トイレットペーパーとマスク争奪戦以外は、危機感とパニック感は希薄。ある意味、ちゃんと描写できているのかもしれないが。
東南アジアでゾンビさながらの感染者につかまれるシーンが一番緊張感あり。
個人的に好みでいえばソンビ映画にしたほうが良かったんじゃないかと。
最後はよくわからないまま、なんだかワクチンが開発され、ふわふわと終息して、エンディング。
すいません。後半はスマホいじりながら見ていたんで、なんとなく終わってしまったという感想しか残っていない。
いろいろ風呂敷は広げてみたが、どうにもまとまっていない映画となった印象。
なんだかしんどい。
映画を飛ばし飛ばし見るのは好きではない。スマホいじりながら見るなんて、製作者に対して礼を失する行為だと思っている。普段はそんなことはしない。エンドロールも最後まできちんと見るタイプである。
でもこの映画に関しては我慢できなかった。
最初は新型インフルエンザと思われていたウイルスはまったくの新種。
発生源は東南アジアの架空の国だが、どうみてもフィリピン。その島の洞窟の奥に生息する、あいつ。現在猛威を奮っているあいつと同じ。
この点は評価すべきか。
感染列島というタイトルはいいのに、かえすがえす残念な結果。
アマゾンプライム会員なら無料視聴可能。
いやまあ、酷評したけれど、日本映画好きで暇だったら見てもいいかなと。
コンディション
最後はアメリカ映画の『コンテイジョン』。
2011年公開。
音もなく、それでいて、急速に迫りくるウイルスの脅威。
ウイルスは豚とコウモリ由来の合成型で発生源は香港。そこからアメリカ、日本、世界中に拡散していく。
感染源をさぐるWHOやCDCの動き。必死の追跡調査。
陰謀論とホメオパシーという実に香ばしくも利に聡いブロガーも登場。
デマが飛び交う。
薬局に殺到する人たち、暴徒と化す人たち。
ロックダウンがおこなれて、ゴーストタウンと化していく街。
パンデミックで想定される事態が冷静に描写されていく。
まさに世界中で今起きていることがそのまま切り取られているかのよう。
センセーショナルな演出方法は取られない。
主要登場人物は複数いるが、それぞれが絡むこともない。
偶然の出会いとかそんなご都合的主義もない。
無駄な恋愛ドラマも無し。主人公の娘のほほえましい初恋モードはあり。これくらいがちょうどいい。
物語は2日目からはじまり、ラストシーンで1日目に戻る。
すべてはつながっている。
あら探しはできるだろうが、ツッコミどころなどない。
パンデミックものなら、この映画を見よ。
なお、これだけしっかりした映画を監修した専門家が、今回のウイルスに感染するという真のオチがつく。
⇒https://theriver.jp/contagion-doctor/
感染症のプロですら感染してしまうのだから、誰でも感染すると。
ソンビ襲撃型群衆パニック活劇や、男女のメロドラマや、軍隊対市民といったモチーフを求めるなら他の映画をあたったほうがいい。
でも、リアルを求めるならこの映画だ。
現実を描きながらも、むろん、映画としてもよくできている。
アマゾンプライムビデオでは残念ながら無料では見られなかった。
レンタルなら199円。
なお、NetflixとU-NEXTなら会員は無料で見られるもよう。
まとめ
今回紹介した3本のパンデミック映画では、ダントツで『コンテイジョン』がおすすめ。
前回紹介した3本も加えると、エンターテイメント映画として一番出来がいいのが『アウトブレイク』
壮大さでいえば、『復活の日』
というわけで、『コンテイジョン』『アウトブレイク』『復活の日』を御三家としておきたい。
人は1日2000回自分の顔を手で触る。
ウイルスは人から物へ、物から人の手へ、そして手から顔へ。
ちゃんと手洗いをしてから、部屋で映画を見ておきましょう。
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