24日目
アーハン・キーキアット
コヨーテさんの起床時間がさらに遅くなった。
もう午後3時を過ぎているのに、まだ起きてこない。
わたしは朝食を済ませているものの、空腹は限界に。
ベッドに横たわる体を揺さぶって、買い出しに行くことを告げる。
寝ぼけまなこで「うーん、ギンアライディー(何食べようかなあ)」と考えるコヨーテさん。
結局、答えは出ずにまた眠り込んでしまった。
しょうがないので、何も考えずに外出。
空腹のあまり考える気力がない。
しかも容赦無い日差しと気温。
もう駄目だ。
脳みそが溶け始めている。
今日はまだソイチャイヤプーン入り口の屋台が営業中だった。
ご飯も残っている。
「アオアライ(何にする?)」
と、屋台のおばちゃんに聞かれたが、わたしの思考能力は残っていない。
ふと口に出た料理名は、「ガパオムーサップカイダーオドゥアイ」
一皿40バーツと、お値打ち価格。
目玉焼きがついて、40バーツは安いよね。
そんなわけで、ガパオを二皿購入して、帰宅。
コヨーテさんを起こして、ようやく昼食となった。
またガパオなのと、ちょっと呆れ気味のコヨーテさん。
ブーブー言うな。きみがちゃんと考えないからいけないんだ。
ガパオムーは、別名「怠け者の食事」とも呼ぶそうな。
タイ語なら、アーハン・キーキアットでいいのかな。
キーキアット=怠け者、めんどくさがり
つまり、食堂に入ってメニューを見て考えるのすら面倒になり、反射的に「ガパオムー」とオーダーしてしまうからキーキアットだと。
先ほどのわたしとまったく同じパターン。
で、ガパオを食べてから、何もせずに眠るのが、キーキアットの典型的な行動パターンだとコヨーテさんは言う。
「ギンギンノンノン(食っちゃ寝食っちゃ寝)」こそキーキットだそうな。
「日本では食べてすぐ寝ると牛になるって言うんだ。食っちゃ寝はよくないぞ」と警告すると、
「タイでは、牛になるとは言わずに、豚になると言うのよ」とコヨーテさん。
そして、ガパオを食べ終わると、またベッドに戻って、豚になるコヨーテさんなのでありました。
おい、ほんとに太るぞ。
返事は、「マイキットディークワー」
マイ=(否定)
キット=考える
ディー=良い
クワー=より(英語でいうmore)
考えないほうがいい=余計なことは考えるな
現在の体重は40キロくらいらしいんで、とりあえずはオッケーか。
太ってから考えればいいや。
今を大切に。
パタヤでの運動とは
ようやく6時ころに再び起きだすコヨーテさん。
では、カロリー消費行動といきますか。
激しくブンブン。
毎日同じ相手との行為なんで、なかなかイケない。
時間がかかる。
わたしも消耗した。
でも、パタヤでの運動といえば、これしかない。
散歩もしないし、ジムにも行かない、キーキアットなパタヤ沈没生活。
腹筋だけは鍛えられているような気がする。
が、それ以上の暴飲暴食で無駄骨。ビールとタイ飯で腹が出るのは防ぎようがない。
コヨーテさんは、わたしの部屋で化粧をして、ご出勤。
化粧道具一式まで部屋に置きっぱなしだ。
もう他の女を連れ込むことなど不可能となってしまった。
まあ、いいか。
太らないように、深夜まできっちりダンスでエクササイズしてねえ。
いつものパタヤバービア
コヨーテさんを職場に送ってから、わたしは部屋でPC作業。
で、夜遅くなってから、外出。
だいたい昼飯が3時とか4時なんで、晩飯も当然遅くなる。
10時くらいにならないと腹が減らないのだ。
サードロードの中華屋台でカオカームーを食べる。
豚になる前に、豚足を食べておく。
腹を満たしてから、バービアへ。
もう特に書くこともない。
いつものようにバービアでビールとビリヤードなのだ。
キーキアットなんで、移動も億劫だ。
バービアやゴーゴーの新規開拓も面倒くさい。
どうせ、夜中になるとコヨーテさんがやって来るし。
この日は、バービアのつまみもなし。
生ぬるい空気に満たされたパタヤに沈没してしまうと、人間誰もが堕落してしまい、キーキアットとなってしまう。
動く気力がうせてしまうのだ。
人間をダメにする魅力にあふれたパタヤ。
底なし沼のように男を引きずり込んでしまう。
困ったものだ。
深夜、例によって、仕事終わりのコヨーテさんが部屋へやって来て、この日はおしまい。
代わり映えのない日常となってきた。
ぶう。