ここ最近、珍しくウォーキングストリートへ顔を出す機会が多い。
すると、夜だというのに、ソイダイヤモンドにあるスーパーガールから灯りが消えているのが気になった。
何度か前を通っても、いつも暗いまま。
普段は開いていてもまったく気にも留めないのだが、さすがに気になる。
向かい側のスーパーベイビーは営業中。
店の前で客引きをしている男に聞いてみると、スーパーガールのダンサーたちはベイビーのほうに集まっているとのこと。
店自体が閉まったのか、と聞いてみても、とにかくスーパーベイビーに入れ入れと催促するばかり。
「ミルミル~ミルダケ~」とお決まりの言葉の連呼。
まあ、とりあえず中に入ってみると、ステージ上のダンサーの数は多い印象。
待機ダンサーの姿も複数確認。
昨年の1月に友人のアテンドでスーパーベイビーに入った時よりは、明らかにダンサーの数が増えている。
やはり、ベイビー側に戦力をすべて投入しているようだ。
ちなみに、本当に見るだけにして、すぐに撤退。
「ミルレーオ」と返事すると、コワモテの呼び込みの兄ちゃんが笑っていた。
これが一時的な施策なのか、スーパーガール自体が店じまいをしてしまったのかは、結局わからないままだけど、ハイシーズンのこの時期に店を開けていないってことは、しばらくの復活はなさそうだ。
それにしても、あのスーパーガールが閉店かあ。
ちょっと感慨深いものがある。
スーパーベイビーとスーパーガールの二店。
パタヤのゴーゴーバー初心者が必ずと言っていいほど通る道だった。
日本人好みのダンサーをコレでもかと取り揃えていた。
人気嬢は夜8時の開店と同時にすぐに売り切れ状態。
それも納得のレベルの高さだったのだ。
が、その半面、イヤなところもたくさんあった。
早帰りの洗礼。
スレスレ嬢の洗礼。
アレ買ってコレ買っての洗礼。
もちろん、わたしもそうだった。
パタヤ初心者の頃、ベイビーかガールかは忘れたけど、まるでモデルのようにかわいいダンサーをロングでペイバーした。
バーファインとチップは全額先払いだ。
サービスもへったくりもないマグロな一戦を終えたら、「アイムハングリー」と言い残して、さっそうと早帰り。
ロング代のチップが返却されることは当然ない。
でも、別のダンサーは、追加チップなしで翌日の夕方までパタヤの観光地をあちこち連れて行ってくれたりもした。
いい思いもしたし、悪い思いもした。
タイやパタヤでの夜遊び、それにタイの夜の女性たちに慣れてくるにつれ、スーパーベイビーやスーパーガールにはほとんど寄り付くことがなくなった。
英語もタイ語もできないタイ夜遊び初心者の知人をアテンドで連れて行く時くらいなものだった。
(バーファインやチップの上昇が続くパタヤのゴーゴーバーにあって、あまり値上げしていないスーパーグループは、意外とローコストかつ安全に遊べるゴーゴーバーだったりする。)
でも、たまに訪れると、徐々に落ちぶれていっているのがわかった。
まずダンサーの質が落ちていった。
店内に活気がなくなった。
ほんの数年前までは、パタヤのゴーゴーバーといえばスーパーベイビーかスーパーガールだったのに。
栄枯盛衰とはまさにこのこと。
理由はいくつか考えられる。
人気ダンサーの流出が第一。
特にバカラの隆盛の影響は大きいだろう。
スレスレ嬢に嫌気がさした日本人のあいだで悪評判が立ってしまい、日本人があまり行かなくなった。
特にパタヤ常連組の足が遠のいてしまった。
ハッピーアワーの設定がなく、気軽に入れない。
そういった負の要素のスパイラルで客足が鈍化し、ダンサーも減っていく。
そして、ついには、スーパーガールの閉店へ至る。
あの頃の栄光よ、もう一度。
となりそうにない。
人気店を維持するのって大変そうだ。
パタヤ好きの友人たちも、スーパーベイビーとスーパーガールをみな通ってきた。
なんというか、この二店には、パタヤという戦場で戦ってきた者たちの、楽しくもあり辛くもある淡い記憶が色濃く対流している。
灯りを消した夜のスーパーガールの前を通るたびに、過去の思い出がフラッシュバックされ、あの頃の若い自分とダンサーの姿と戦友たちが脳裏をかけめぐるのだ。
せいぜいここ7,8年しかウォーキングストリートのゴーゴーバーの動向を見ていないけど、時の流れは早さは実感できる。
新しい店ができては、古い店が淘汰される。
今は王者として君臨するバカラが沈むことだってじゅうぶん考えられるし、パタヤのゴーゴーバー自体がいつまで続くのか誰にもわからない。
今日もパタヤで元気に生きているものは、今日を楽しんで生きるだけ。
パタヤとはそういう街だ。