2020年3月よりタイの入国規制が強化され、厳しい水際対策が実施された。入国可能となっても、ワクチン接種証明書やPCR検査陰性証明書や隔離が求められた。
日本に帰国するのも大変で、PCR検査陰性証明が必須な期間が長かった。隔離もあった。
この3年ほどは海外渡航にはワクチン接種とPCR検査が欠かせないものだった。
日本国内、タイ国内、各空港にはPCR検査場が雨後の竹の子のごとく乱立されていった。
が、ついにスワンナプーム空港のPCR検査場までも撤去された。やっと終わったという感慨がわいてくる。
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スワンナプーム空港のPCR検査場が撤去
先日、スワンナプーム空港1階のパタヤ行きバスチケット売り場でチケットを購入。すぐそばの8番出口から外に出ると、なにかすごく違和感があった。
8番出口近くに設置されていたPCR検査場がなくなっているではないか。
プレハブ小屋タイプの臨時施設だったが、この3年くらいずっと居座っていたと思う。
(以前の様子)
現在は跡形もない。
いや、列を整理するための案内板と待合椅子はまだ残されている。
正確な撤去日は不明だが、つい最近のことだろう。
7月には見かけたような気がする。8月はスワンナプーム空港を訪れていないのでわからない。
おそらくは9月に入ってから撤去されたと思う。
中国入国のための検査要件が撤廃されたことが影響しているはずだ。
2023年8月30日より、中国入国に際しての搭乗前48時間以内の抗原検査またはPCR検査は不要になった。
それ以前でも実質的には陰性証明書の提示義務はなかったようだが、これで晴れて出発前の検査は完全不要となったわけだ。
最後の砦というべき中国が検査不要となり、スワンナプーム空港のPCRならびにATK検査場が撤去された。そういう流れだと思う。
撤去されて広々となった8番出口付近では、旗を持ったガイドに先導された中国人団体旅行客が歩いている。
パタヤ行きバス売り場の近くのフードコートには中国人観光客が大勢たむろしている。
すべてがもとに戻ったような気がする。
タイ入国と日本帰国のたびに検査
空っぽになったスワンナプーム空港のPCR検査場跡地を目にすると、この3年半のことが走馬灯のように脳裏が駆け巡った。
なんとも感慨深いものがある。
スワンナプーム空港でPCR検査をしたことはないが、パタヤやバンコクでは日本帰国のためのPCR検査は実施した。タイ渡航のために日本でもPCR検査をしたし、タイ到着後にも検査したことがある。何度も鼻をぐりぐりされた。
2020年3月にタイ入国の水際対策が強化され、ほぼ鎖国状態となった。
その直前になんとかタイに入国できたはいいものの、その後、約1年半にわたり日本への帰国が困難となった。
2021年10月にようやく帰国する目処が立った際には、パタヤのバンコク病院で人生初のPCR検査を受けた。3800バーツもした。
日本帰国時にも空港で唾液検査を受け、さらに自宅で14日間隔離も味わった。
2022年11月にタイへ戻る際には、Test&Goというスキームでほぼ隔離なしのタイ入国ができたが、日本での陰性証明取得が必要で15,000円でPCR検査をした。さらにタイ到着時にはドライブインスタイルでPCR検査をした。
次から次へとPCR検査の連続だった。思い返すと、今でも鼻の奥がツンとしてくる。
2022年6月にまた日本へ帰国する際には、バンコクのクリニックで1500バーツのPCR検査を受けた。
自分自身とブログ記事のために、パタヤやバンコクのPCR検査場を調べまくったものだ。パタヤにもPCR検査場が続々とできていた。
バンコクには500バーツの検査場、パタヤには900バーツの検査場が最安値だった。
結局は2022年6月に受けた検査が最後のPCR検査となった。
以降はワクチン接種証明書があれば、日本帰国もタイ入国も陰性証明が不要になった。
個人的にはこの時点でPCR検査はほぼ関係なくなったが、国によっては陰性証明が必須だったり、ワクチン未接種は引き続き陰性証明書の提示が求められることが多かった。
タイは2022年10月1日に非常事態宣言が終了し、すべての規制が解除されて、完全開国に至った。
日本は半年遅れに2023年4月29日に水際対策が撤廃された。
とにかくいろいろあった3年半だった。
スワンナプーム空港PCR検査場撤去を目にして、この3年半のことが一瞬にして思い出されて、ちょっと泣きそうになってしまった。
これで終わった。
本当に終わったのだと。
終焉
スワンナプーム空港1階の端っこにある喫煙所から空港ガーデンを眺める。
妙に感傷的な気分に浸った。
もういいよね、こんなことは。
国をまたぐたびに鼻ぐりぐりされるのはもうこりごりだ。
でも、また起こるかもしれない。
ウイルスが根絶されたわけではないし、新たな感染症の流行がきっとまた起きるだろう。
感染症流行への有効な対処方法はつまるところ2つだ。
「隔離」と「ワクチン」である。これは人類がこれまでの感染症との戦いで得た知見であり、叡智でもある。
はたして海外からの入国者に対してのPCR検査による陰性証明書提示がどれほど有効であったのかは改めて見直す必要があるにしても、検査そのものがなくなるわけではない。
ともかくパンデミック時に臨時に設置されたPCR検査場は撤収した。
病院やクリニックといった検査施設は当然残る。別にPCR検査だけが検査ではないので当然のことだ。
パタヤカンにある有名な検査ラボを見に行ってみた。ここでお世話になったパタヤ旅行者は多いはずだ。
今は通常状態に戻っている。
PCRやATKのかわりに、STDやらRNAやらHPVなどの文字が並ぶ。
パタヤではこっちの検査のほうが大事だ。
ひとまず終わった。
タイもパタヤも元の世界に戻った。
国をまたぐのは自由だ。
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