先日、タイ国内の圧倒的大多数の健康的男子と一部女子の間で衝撃が走った。
大人向けの某有名サイトが、政府によってアクセスブロックされたのだ。
ネットは大騒動、リアルでもタイ人の間で話題に上っていた。
まず、ブロックがなされた当日の夜のこと。
タイ人の友人と会うと、さっそくその話になった。
シアチャイ(悲しい)を連呼するタイ人だった。
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ブロックの現状
ちょっと気になったので、当のサイトにアクセス不可なのか自分で調べてみた。
まず手元のスマホで接続してみる。AISの12コールのSIMカードを挿してある。
www.も、.jpも接続不可。
このようなメッセージが表示されて、ブロックされている。
次に、スマホをVPN接続してみる。日本の通信業者と契約しており、日本のIPアドレスでのネット接続利用となる。
こうすると、問題なく件のサイトにアクセス可能だった。
次に部屋のWi-Fiを使ってパソコンで接続。
Wi-Fiは、パタヤのケーブルテレビ局のものだ。
これは、VPNを使わずにそのままアクセス可能だった。
かりにブロックされていても、VPNを使えば間違いなくアクセス可能であろう。
政府のブロック措置というのは、タイ国内の通信会社やプロバイダに禁止ドメインを指定して、ブロックするよう命じているとのことだ。
国内すべての通信業者やプロバイダでブロック措置が徹底されているわけではなさそうだ。そのうち拡大されていくだろうが。
また、別に各個人に対してアクセスを禁じていて、サイトを閲覧すること自体が犯罪となるわけでもないようだ。
Horny Power
とはいえ、政府によるブロックは確か。
大きな反発を招いた。
時にバンコクでは反政府デモが活発化している真っ最中。
中には、デジタル産業省前で抗議活動としようという声も上がっていた。
SNSでは、政府に対抗して、サイトを閲覧しようと、พลังเงี่ยน(パランニヤン)というハッシュタグまで作られた。
パランニヤン、英語でHorny Powerという意味になる。
パタヤ英語ではおなじみの、Hornyである。性的に興奮していてムラムラしていることをHornyという。
その後実際にデジタル産業省前でプラカードを掲げたデモが行われたそうだ。
エロの力は偉大なのである。
まあ、サイトのブロックだけを問題視しているのではなくて、情報をブロックしようという政府の姿勢そのものを批判しているわけだが。
これい以前にも、特定のサイトがブロックされたことは何度もある。
ブロックを回避せよ
さて、ブロック措置が取られた翌日。
別のローカルタイ人の集まりに顔を出したら、またもやその話題となった。
全員20代から30代の健康的男子たちである。
すべてタイ語なので完全には理解できないが、政府の規制をかいくぐる方法について口々に語っていた。
どこそこのサイト経由ならいけるとか、すでにいろんな対策方法が広まっているようだった。
そして、タイ人のうちの一人がさも当然と言った口調で「VPN」という単語を口にした。
ちょっとびっくりした。
どこにでもいそうな普通のタイ人からVPNという単語が普通に出てきたからだ。
タイ人はVPNなんて使うことはないと思っていた。その存在すら知らないだろうと。
報道によると今年前半までのタイでのVPNに使用率は、1.17%だったとのこと。
それが、このアクセスブロック騒動により、VPNのインストールが644%増加したという。
SNSや口コミを介して、VPNの存在が一気に広まっていったのだ。
これまたエロの力は偉大である。
と、翻って考えるみると、日本で普通に住んでいる日本人もVPNついてはあまり知らないし、その重要性も認識していないような気がする。
日本で普通にネットを使うだけならVPNは特に必要ない。
公衆Wi-Fiや野良Wi-Fiを多用する場合にセキュリティを強化させる目的くらいだろうか。
あとは国ごとにアクセス制限をかけている海外サイトを閲覧したい時にも使える。
でも、日本国内では政府によるサイトブロックは、極めて少ないと言っていい状況だ。年齢確認があったり、ペアレンタルコントロールがあるくらい。
あくまで個人や家族にまかされている部分が大きい。
基本自由だ。
セキュリティ対策をのぞいて、サイト閲覧に関するVPNの必要性はないのが日本。
ある意味、恵まれているし、幸せだ。
自由の恩恵を当たり前に享受している。
でも、世界では政府による情報統制は決して珍しいことではない。
わたしも、VPNの存在自体はずっと知ってはいたが、海外に中長期滞在するようになってから、本気でVPNの必要性を感じるようになり、実際に有料のVPNサービスを利用している。
海外からのアクセスをブロックしているサイトは意外と多い。むろん政府によるブロックではなく、サイト側の判断でブロックしているのだ。
となれば、それを回避するには、VPNが必要となってくる。
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VPN自体は合法なシステム。
また、VPNを通じて、海外のサイトにアクセスして閲覧するのも合法。
今回のタイ政府によってブロックされたサイトをVPNなどを介してタイ国内から閲覧するだけなら問題ないとされる。おそらくダウンロードは駄目だろうが。
見たいサイトがほぼ制限なく自由に見られる日本。
一方、当然のように政府がブロックする国もある。
が、そのブロックをかいくぐるため、必死に戦う若者たち(中年も)。
VPNを使ったり、DNSの書き換えを行ったり、別サイトから入ることによって閲覧可能にしてみたりと、様々な方法が広まっている。
たとえその原動力がHorny Powerだろうが、自由のためだろうが、その力を完全に抑圧することはできない。
がんばれ、タイの健康的男子たち。
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