鳴り響くコール音
沈没生活3日目。
泥酔していて眠りこけていると、朝から電話が鳴り響く。
うるさい。
名前を見るとFと出ている。
数年前にパタヤのバービアで知り合った女性。
当時は10代後半。
スレンダーというよりも、痩せぎすの体型。
色白で、顔はかなりかわいい。
ソイブッカオからさらに細い路地を入ったところにある場末感満載のさびれたバービアで発見した時は、これぞバービアめぐりの醍醐味だと歓喜雀躍した。
まさに掃き溜めに鶴状態。
3日連続でペイバーした。
その後、すぐにバービアを辞めてしまい、田舎へ帰っていた。
たまに連絡があって、パタヤへ遊びにきては小遣いをせびられる関係。
もちろんブンブン付きだけど。
現在は、田舎のホテルで働いていて、日給はわずか200バーツ。
田舎は安すぎる。
そりゃあ、みんなバンコクやパタヤへ出稼ぎにやって来たり、外国人に小遣いをせびったりするわけだ。
そんなFからの着信音がひたすら鳴り続ける。
日本にいる間は、タイの携帯は通話不可の状態にしている。当然、呼び出し音も鳴らない。
が、わたしがもうタイにいるので、呼び出し音が鳴る。
よって、タイにいることがばれてしまった。
実は日本にいる時から、LINEでやりとりしていたけれど、訪タイ日を偽って告げていた。
数日遅く到着すると言っていたのだ。
が、あっさりとバレた。
1・2コールの罠
これにはカラクリがある。
1・2コールの電源オン通知サービスというやつのせいだ。
電話をかけた相手が電源をオフしていて繋がらなかった場合、その相手が電源をオンにしたら、わざわざ通知してくれるというサービス。
スグレモノなんだか、余計なお世話なんだか、とにかくそんなサービスだ。
あなたにも経験がないだろうか?
訪泰初日に、まるで見計らったかのようにタイの携帯電話にかかってきたことが。
これは、その1・2コールのサービスのせいである可能性が高い。
タイの携帯電話の電源を入れて、回線が開いた瞬間にバレてしまうのだ。
ああ、おそろしや。
まあ、そんわけであっさりとタイにいることが発覚。
しばらく無視していたが、あまりにもしつこいので電話に出た。
なんで電話に出ないと怒っていたが、てきとうにはぐらかす。
しかも予定より早くタイに来ている理由も聞かれるが、これまたてきとうにはぐらかす。
で、Fは今日、パタヤへ来ると息巻いている。
あちゃ~
また、小遣いをせびられるぞ。
しかも、今回は誕生日を迎えたばっかり。
プレゼントに金の指輪がほしいと連呼している。
そんな金銭的余裕はこっちにもないのに。
とほほ。
でも、かわいいので無碍に断れないのが男の悲しい性。
困ったものだ。
とりあえず、成り行きにまかせよう。
Fと合流しブンブン
夕方、パタヤタイまで迎えに行く。
なかなか到着する様子がない。
コンビニで新聞を買って時間つぶし。
「PATTAYA MAIL」の主要記事が読めてしまった。
1時間以上待って、ようやくロットゥーで到着。
大きな旅行かばんを持ってFが登場。
あいかわらず細身でかわいい。
この中年殺しめ。
とりあえず、宿に戻り、荷物を置く。
昔働いていたバービアへ遊びに行きたいと、すぐに外出。
そこで軽く食事。
夜、部屋に戻り、一発。
子どもが欲しいとお願いされる。
もう21歳なので、将来に備えて早く子どもが欲しいのだと。
ははは、と笑ってごまかす。
いやあ、誰かさんの言い草じゃないけれど、種は蒔いても実をみのらせるのはわたしの主義ではない。
子作りの行為は大好きだけど、子どもはあんまり好きじゃないしね。
きちんと避妊したうえで、フィニュッシュ。
小腹が空いたので、バーベキューで夜食。
その後、Fとずっと会話。というかFのテンションがやたらと高い。
ずっと一人で話し続けている。
タイ語オンリーでべらべらと話すものだから半分も理解できない。
こっちは一発やって疲れているので、てきとうな生返事を繰り返す。
まあ、要約すれば、「金の指輪買ってね」ということだろう。
その後、早めに就寝。
どうなることやら。