タイにかぎらず海外旅行で現地通貨を得る方法は、主に2つ。
まずは日本円からの両替。大半の旅行者は現金両替だろう。一番手っ取り早い。
次にクレジットカードの海外キャッシングだ。デビットカードによる引き出しもあるが、カードを使って現地ATMから現金を手に入れることでは同じ。大量の現金を持ち歩かないで済むメリットがある。
ほぼ在住者限定となるが、WISEでの国際送金も便利だ。ただ現地の銀行に口座がないと使えない。
個人的には、タイ長期滞在生活において、メインはWISEでの国際送金を使う。次に現金少々。それから場面場面においてクレジットカードの海外キャッシングを使う。WISEは土日祝日だと入金がないため、連休中にまとまった額が必要となった場合、24時間利用可能なキャッシングに頼ることが多い。
カードはJCBカードだ。JCBの海外キャッシングはバンコク銀行ATMを使うと手数料が無料。
ただ、キャッシングだけに繰上返済しないと利息がかさむため、なるべく早期に返済したいところ。以前はわざわざタイからの日本のJCBカードセンターまで電話して、入金作業をしていた。
が、現在はネットで予約して、繰上返済できるようになっている。タイから日本へ国際電話する必要はなくなった。
これは便利だ。試しがてらにさっそく使ってみた。
なるべく最速で繰上返済するとどうなるか、
現金両替、WISE送金とJCBカード海外キャッシングネット繰上返済で最終的に必要な額を比較してみよう。
結果はJCBカード最強と判明した。
目次
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JCBカードの海外キャッシングは手数料無料
海外のATMで海外キャッシングを利用すると、ATM手数料が発生することが多い。
「この手続きには220バーツの手数料がかかります」といった表示が出る。
JCBカードをタイのバンコク銀行のATMを使えば、手数料はかからない。
このことは10年近く前に記事している。
関連記事:タイで海外キャッシング。バンコク銀行でJCBカードを使えばATM手数料無料。
タイのバンコク銀行にかぎらず、JCBカードでは基本的に海外キャッシングでのATM手数料は無料とのことだ。
ただ、ATMにはよっては独自に手数料がかかることがあるようだ。
その場合でも実はカード会社に請求すれば返金可能という話もあって、いろいろややこしい。
とりあえず、バンコク銀行ATMでのキャッシングは本当に手数料がかからない。
キャッシングの際に、手数料云々という表示すらない。
キャッシング希望の額面を入力すれば、あっという間に金が出てくる。
いまだにタイでの海外キャッシングで220バーツの手数料がかかったなんて投稿をよく見かけるが、もったいない話である。
さて、キャッシングしたら、次は返済だ。
そのまま放置していると、決められた返済日まで利息がかかる。利用したタイミングによりけりだが、おおむね2ヶ月後が返済日となるだろう。
キャッシングの利息は高いため、放置はあまりよろしくない。
海外キャッシングにかぎらず、JCBカードの繰上返済は、JCBカードセンターに電話する必要があった。
各国にあるサービスセンターに電話してもだめで、海外旅行中であっても日本に国際電話しなくてはいけない。日本からはフリーダイヤルが使えるが、海外からは有料の電話番号しかない。
カード番号を伝えて、キャッシング分の繰上返済を申し出て、利息計算してから、自分でJCBの指定口座へ送金するという流れだ。
海外滞在中だとこの作業がかなり面倒くさい。国際電話はいろいろと金がかかる。
短期旅行者だと日本帰国してから手続きをすればいいかもしれないが、長期滞在だとそうもいかない。
セディナカードは電話不要のネット手続きのみ完了可能なのでセディナカードを使うこともあった。
が、セディナカードだとATM手数料が表示されたり、コンバージョンでキャッシングするかなど聞かれて、なにかとややこしい。
やはりJCBカードが一番だ。
そして、2023年1月からは、新しいサービスが導入された。
キャッシングの繰上返済手続きがネットでできるようになった。
もちろん海外キャッシング分だけを早期繰上返済することも可能だ。
海外からでも簡単に手続きできる。
JCBカードのネット繰上返済
さて、ここからは実際の繰上返済の過程と方法を見ていく。
パタヤのバンコク銀行ATMで海外キャッシングしたのが、4月2日(土)16時頃。
ただ、MyJCBに明細が上がってくるまでに2,3営業日かかる。
4月5日(水)にMyJCBをチェックすると、明細が出ていた。
換算日は4月4日付けだが確認できたのは4月5日。
ここから、繰上返済の手続きを開始できる。
MyJCBは、JCBカードの会員専用WEBサービスだ。カード所持者なら誰も使うことができる。
紙での明細の発送が有料となっている今、多くの人がMyJCBを使っていると思う。
ただし、JCBブランドが付いているクレジットカードでも、JCBのプロパーカードでないといけない。たとえば楽天カードにJCBブランドをつけることができるが、楽天カードではMyJCBは使えない。
繰上返済予約方法
MyJCBを使った繰上返済は、以前の電話と同じ内容のことを、MyJCB内で手続きできるようにしたもの。
最終的な入金は、以前と同じように、自分で振込をしないといけない。
海外からだとネットバンキングが使えないと無理だ。
まずは、MyJCBにログインする。
「カードご利用状況」の項目の中から、「お支払いに関する手続き」→「まとめ払い(繰上返済)を選択する。
もしくは、「リボ・分割払い&キャッシング」の項目の中から、「各種紹介」→「まとめ払い(繰上返済)」を選択してもいい。
お支払日前の繰上返済(銀行振込)予約という形となる。
注意事項の表示。
振込手数料は客側の負担。
カードを複数枚持っているバイは、カードごとに予約可能。
振込予定日は翌日以降の指定が可能。あくまで予定日で、実際の着金が前後すれれば利息額も変化するため、あとでJCB側が精算してくれる。
繰上返済したい希望の金額を入力する。
ショッピング1回払いと、海外キャッシング1回払いはそれぞれ別枠となっている。
ショッピング払い分は繰上返済なしにして、海外キャッシング分だけ繰上返済する。
全額返済と部分返済も選べる。好きな金額を記入すればいい。
今回は、海外キャッシング分だけを全額入金で。ショッピング払い分は何もいじらなくていい。
予約概要を確認。
振込予定日は翌日の4月6日となっている。
これで、予約手続きが完了。
振込日、振込金額、金融機関名、口座番号などが記載されている。
JCB側での手続きはこれでおしまい。
次に、実際に入金手続きを行う。
三菱UFJ銀行あての送金だ。
三菱UFJ銀行のネットバンキングを使うと、振込手数料は無料ですむ。
当日の取り扱いとなる。予約日は明日だけど問題ない。あとでJCBが精算してくれる。
ワンタイムパスワードを入力し、振込は正常に終了。
(アプリを使っているなら、ワンタイムパスワードの入力は不要だ。)
なお、三菱UFJ銀行のネットバンキングは海外(少なくともタイ)からでも利用できる。
スマホのワンタイムパスワードもちゃんと表示される。
あとは、JCBが入金確認をして、処理をする。2営業日程度かかるとのこと。処理が終われば、カード明細や照会が更新される。
2営業日に確認すると、4月5日付けで入金確認されており、海外キャッシングの返済額はゼロに変更されていた。
これで繰上返済は達成。
(振込予定日は4月6日だったが、入金確認が4月5日付けでされており、利息の差額分19円が戻ってくることになった。以下、詳しい計算がややこしくなるので、もともと振り込んだ38,980円を基準にする)
わざわざ国際電話しなくていいし、ネットだと基本的に24時間手続きができる。
三菱UFJのネットバンキングなら一瞬で振込可能だ。
ほんと、楽になった。
両替方法のレートがいいのか比較
というわけで、JCBカードの海外キャッシングで1万バーツを引き出し、繰上返済すると38,980円となった。
では、現金両替やWISE送金と比較すると、もろもろ手数料を加えた最終的なレートはお得になるのか、それとも損になるのか。
検証。
現金両替との比較
1万バーツをキャッシングして、繰上返済にて支払った額が38,980円だ。
もともとの明細はこうなっている。
1万バーツをキャッシングしての利用金額は38,904円。
換算レートは、1バーツ=3.890円
支払金額は39,633円と記載されているが、これは繰上返済しない場合の予定請求額。
早期に繰上返済したため、実際には38,980円の支払いで済んでいる。(つまり、利息分は76円)
では現金での両替と比較してみよう。
実際にATMで海外キャッシングして現金を引き出したのが、4月2日(日)の午後2時頃。
ほぼ同時刻のパタヤのTTカレンシーの両替レート。
1円=0.2540バーツ
1万円が2,540バーツとなる。
1バーツ=3.937円の計算だ。
JCBの換算レートは、1バーツ=3.890円
海外キャッシングのほうがレートがいい。
(これはクレジットカードが定めるレート次第だ。マスターカードのほうがいいという話もある)
手数料や利息分も含めるとどうなるか。
TTカレンシーでの現金両替で、1万バーツを得るために必要な日本円は、10,000×3.937=39,370円
JCBカードの早期繰上返済による最終的な返済額は、38,980円。
TTカレンシーよりもJCBカードのほうがお得である。
繰上返済での手数料と利息を含めた最終的な両替レート
1万円=2,565バーツ
TTカレンシー
1万円=2,540バーツ
JCBの勝ち。
1万円両替すると、25バーツお得だ。
といっても100円だ。
手間を考えると、旅行者であればさくっと現金両替したほうがいい気もする。
TTカレンシーではなく、バンコクの有名な高レート両替所であれば、もうちょっといいレートになっていて、結局はJCBと変わらないこともありそうだ。
ただ大量の日本円を持ち歩くリスクは減らせる。
また両替所が閉まっている夜中や早朝といった時間帯でATMは稼働しており、急にタイバーツの現金が必要になった時でも対応できる。
WISEとの比較
ここ数年で一気に広まったWISEによる国際送金。トランスファーワイズという名称からWISEに変更された。
普段はこのWISEを使っている。
日本の銀行口座から日本円をWISEの口座に入れてから、タイの銀行口座にバーツが入金されるという流れだ。
現金を一度もいじることなく、日本円がタイバーツに両替できるわけで、大変便利。しかもレートもいいし、送金手数料も安い。
タイ長期滞在では欠かせない。
海外キャッシングした同日のWISEのレートがこちら。
1万バーツを受け取るのに必要な送金額は39,346円。
為替レート自体はは3.88401となっている。
1円=3.884円
JCBの換算レートが、3.890
TTカレンシーの両替レートが、3.937
両替レートそのものはWISEが一番いい。次にJCB。最後にTTカレンシーだ。
現金両替は手数料不要だが、WISEでは手数料がかかり、JCBでは返済まで利息がかかる。
WISEの手数料は、送金金額によって異なる。
どんなに額面が少なくとも一定の手数料は必ずかかるため、送金額がある程度大きくなれば、送金額あたりの手数料は低く抑えられる。
今回の場合は、506円。
この手数料を加えてから、最終的な両替レートが出せる。
1バーツ=3.9346円
1円=0.2541円
1万円=2,541バーツ
JCBの最終的なレートが、1万円=2,565バーツだったので、JCBの勝ちとなった。
まあ、これまたわずな差だ。1万円あたり24バーツ、100円も変わらない。
おそらくWISEで10万円以上を送金すれば、手数料はお得になる。
そうなれば、JCBのキャッシングとほぼ変わらないレートになりそうだ。
タイの銀行口座を持っている人はWISEのアカウントは作っておいて損はない。むしろ必須。
⇒⇒Wise
レート1位はJCB海外キャッシング
1万バーツを入手するために必要な日本円
JCBカード海外キャッシングの早期繰り上げ返済
38,980円
TTカレンシーの現金両替
39,370円
WISE
39,346円
1位 JCB
2位 WISE
3位 TTカレンシー
というわけで、今回の検証では、JCBカードの海外キャッシングによる早期繰り上げがもっともお得な両替方法という結果になった。
あくまで、ある日のある条件下における検証だ。
両替金額やタイミングによっては、これと違う結果になることは充分ありうる。
現金両替では、TTカレンシーよりもいいレートの両替屋を探せば、JCBに迫るかもしれない。また、レートが乱高下するような日にたまたま瞬間最大風速的に現金両替が高レートを提示するタイミングで両替できれば、クレジットカード会社が定めるレートよりもよくなることがあろう。
WISEも同様だ。レートは1日固定というわけではなく、刻一刻と調整している。また、まとまった送金では手数料がお得になる。
当然のことながら、JCBでの繰上返済を忘れれば、その分利息がかさんでいく。
今回のケースでは、5月10日の本来の支払い日に引き落としとなれば、39,633円だ。余裕の最下位となる。
とはいえ、きちんとやれば、JCBカードのバンコク銀行ATMでの海外キャッシングからのネット早期繰り上げ返済が、ほぼ最高レートを出すのは間違いない。
なお、JCBブランドがついているカードのすべてでMyJCBが使えるわけではない。楽天カードは不可だ。
MyJCBが使えるカードであれば、繰上返済手続きはMyJCBでできる。
リクルートカードはJCBブランドが選択できて、年会費は無料。
MyJCBも利用可能だ。つまり、ネットで繰上返済手続きができる。
海外旅行保険は利用付帯となっているが、海外旅行中でも保険が使える。
クレジットカードでタイ行き航空券を買っておけばそれで保険適用を受けられる。
年会費無料だし、持っておいて損はないと思う。
関連記事:クレジットカード付帯海外旅行保険の条件変更に注意、4月1日からJCBゴールドも利用付帯に
まとめ
以上、JCBカードによる海外キャッシングのネット繰上返済の方法でした。
タイでの、少なくともパタヤでの両替はJCBカード海外キャッシングが最強だと判明した。TTカレンシーにもWISEにも勝利した。
個人的には、この3つの方法でタイバーツを得ており、他の方法は長いこと使っていない。さらにお得な方法があるかもしれないが、もうこれ以上は余計な労力は使いたくないかな。現金、WISE、JCBで充分だ。
面倒を避けるために、必ずバンコク銀行のATMでキャッシングしましょう。カシコン銀行など他のATMでも問題ないだろうけど、一番確実なのがバンコク銀行だ。
そして、繰上返済はなるべく早く済ませましょう。
5,6日で帰国予定ならば、日本に戻ってからでもいいと思う。1万バーツ引き出して、1日あたりの利息は安いもの。5日でも100円程度なので、別に海外から無理に手続きする必要はないかも。
まあ、1回の旅行で数万円程度しか使わないのであれば、普通に現金で両替するのが手っ取り早いとも思う。
ネットが苦手な人は現金オンリーでも大丈夫だ。ただ、もし現金がなくなってもクレジットカードがあればキャッシングで生き延びることができる。
長期滞在者は、現金とWISEとJCBをうまく併用するといいと思う。
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