54日目つづき
夜おそくなり、再度外出。
この日は、レンタルバイクをカラオケ嬢に預けており、わたしは徒歩移動となった。
頼むから、事故らないでくれよ。
スクーターズバー
ブッカオをふらふらと歩いていると、心躍る音楽が飛び込んできた。
アーサー・コンレイの「Sweet Soul Music」だ。
♪Do you like good music?
という歌い出しで始まるソウルミュージック賛歌。
こんなイカしたBGMをかけるバーといえば、もちろんSCOOTER'S BAR(スクーターズバー)を置いてほかにない。
久しぶりに立ち寄ってみた。
あれ?
日本語ぺらぺらの新ママさんの姿が見当たらない。たまたま休みかな。別に会わなくてもいいけど。
イングランドのボスは、相変わらず陽気に踊っている。
そして、バービア嬢たちの衣装も相変わらずぴちぴちだ。胸の大きさも尻の形も一目瞭然。
ちょっとだけ顔ぶれが変わっているが、どれもスレンダー系を揃えている。
この衣装に合う女性以外は面接で落としているに違いない。
ここではペイバーするつもりはないんで、音楽を聞きながら一人で飲むのはいつものこと。
ちょこちょことバービア嬢が絡んできてくれるので、退屈にはならない。
それにしても、ここはいつも客がいっぱいで繁盛している。ちょこちょこ日本人も見かける。
雰囲気がいいし、バービア嬢のレベルも高いしで、人気が出るのも当然かな。
ほどほどに音楽と酒を堪能したところでチェックビン。
LEOビール2本で120バーツ。(1本目80B+2本目半額40B=120B)。
21歳のフリーランスバービア嬢との出会い
知り合いの元バービア嬢から電話がかかってきて、一緒に飲まないかとの誘い。
彼女は来年ファランと結婚するためドイツへ行く予定。現在、パタヤのドイツ語学校で勉強中だ。
すでにバービアで飲んでいるというので、わたしも出向くことにした。
バービアにつくと、見知らぬ女性も一緒にいる。
元バービア嬢から紹介を受けた。
同じアパートに住んでいるという21歳の女性だった。
おっと、まずまずかわいいぞ。ちょっとプンプイだけど、許容範囲内だ。
お持ち帰り候補に入れてもいいレベル。
が、やけに落ち着きがない。
話し方といい、一つ一つの動作といい、つねにそわそわしている。
別に何か変なクスリをやっているわけではなさそうなんで、天然の落ち着きの無さ。
その落ち着きのなさから、実年齢よりもさらに若く見える。子どもだよ。
若くてかわいいのはいいが、ちょっと苦手なタイプだ。
職業を聞いてみると、特に働いていないとの返事。
でも、たまにバービアでフリーランサーとして働きに出ていることもあるとか。
元バービア嬢に聞くと、こういった自由契約の働き方を「サイラーイ」と呼ぶそうだ。
タイ語の詳しい意味は不明。
出勤は基本的に自由だが、給料はゼロ。客がついたらドリンクバックやチップをもらえるわけで、毎日毎日働きたくない人には向いているのかな。
そういう雇用形態のバービア嬢をたまに見かける。
それこそ、たまにしか出勤しないレアな子もいて、見つけたらラッキーだ。
2回目からは店を通さず直接会えばいいんで、バーファインいらずで安上がり。
ただ、そういった子は、他に太客がいるケースがほとんどだけど。
ちなみに、この21歳は、ファランの彼氏がいると正直に告白していた。
このおてんば娘を相手しているファランの苦労がしのばれる。
ビリヤード、キラーゲーム大会
バービアにそこそこ客が集まったので、みんなでビリヤード大会を開催することになった。
各自持ち点が3点。
1ショットずつ順番に突いていき、球がドロップしなかったりファウルしたら、1点マイナス。
ゼロになったら退場で、最後に一人になるまで何ゲームでも続けるゲーム。
これなら、3人以上でもあってもみんな順番に遊ぶことができる。
こんな風にボードに持ち点を表示する
ゲームの名前がわからなかったので、以前は「ミスしたら負けよゲーム」なんて勝手にネーミングしていたが、ファランとタイ人にちゃんと聞いてみた。
イギリス人いわく、英語で「Killer」
キラー、つまり殺人者。
おおっ、ちょっと物騒な名前だな。
タイ人いわく、タイ語で「キューラ」
キューは、そのまま玉を突くキューのこと。
ラがよくわからない。ラーにも聞こえる。
○○毎の「ラ」なのかな。とすると、1ショットずつという意味になり、ゲームのルールに合っている。
タイ語はともかく英語はキラーゲームで間違いないんで、ファランと会話するときはキラーゲームでどうぞ。
元バービア嬢やら21歳フリーランスバービア嬢やらイングランド人やらオーストラリア人やら日本人やら総勢7人でゲーム開始。
参加費は1ゲーム20バーツだ。
このキラーゲーム、おもしろいよ。
自分の狙っている球を落としつつ、次の番の人が打ちにくい場所に白球を残してやると勝率が上がる。
やっぱり最後は上手い人が勝つことが多いけど、運の要素も強くて、意外と勝ち残ることもできる。
ここでも、落ち着きのない21歳は、人の順番を平気で抜かそうとして、みんなに突っ込まれていた。
落ち着け。ジャイイエンイエン。カームダウン(Calm down)。
2ラウンドやって、わたしは運良く1勝できた。
優勝賞金140バーツゲット。参加費を引いても100バーツ。
賭けじゃないよ、コンペ賞金だよ。
元バービア嬢にもビールを奢ってもらい、結局ビールを3本飲んだ。
わたしの会計は140バーツ。
うーん、これだけ飲んで遊んで、出費が40バーツか。悪くない。ま、最後にチップを多めに置いていったけど。
その後、元バービア嬢と21歳は、ウォーキングストリートのディスコに遊びに行くという。インソムニアだ。
わたしも誘われたが辞退。
もし、21歳にファラン彼氏がいなくて、もうちょっと落ち着きがある子だったら、一緒に遊びに行って、そのままお持ち帰りしていたかもしれないが、この子はパス。一緒に行ったら、かなり疲れそうだ。
それに、わたしにはカラオケ嬢がいる。
おなじ21歳でも、カラオケ嬢のほうがルックスも性格もかなり上。
というわけで、大人しく帰宅。
じっと、カラオケ嬢の帰りを待つ。
なかなかやって来ないんで、電話で催促してみると、すでに自分の部屋で寝ているという。電話越しの声が完全に死んでいる。こりゃあだめだな。
睡眠命の彼女である。無理やり起きろなんて、とても言えない。
あ、レンタルバイクは無事だろうな。それだけがちょっと心配。
まあいいか。
今夜は一人寝。
ベッドが広くていいけど、やっぱりどこか寂しい。