ゴーゴーで飲んでいると、ほぼ必ずといっていいほど、営業をかけられる。
レディドリンクを奢って欲しい、ペイバーして欲しいというものだ。それが彼女たちの仕事なんで当然だが、客としては鬱陶しいこともある。
「一緒に座っていい?」とまずは近づいてくる。
座るのはご自由に。
普通に横に座ってきたり、すぐ近くにいる待機嬢が話しかけてくるだけなら、その場ですぐにドリンクを奢る必要はない。ちょっと話をしてから、ドリンクを進呈するかどうかを決めてもいい。むろん、ステージ上のダンサーを呼びつける場合は、レディドリンク必須であるが。
また、向こうから一方的にスキンシップをはかってくる場合は放置していても問題なし。でも、こちらからお触りする場合は、レディドリンクを奢るようにしている。特に、胸あたりを触るときは当然レディドリンクを進呈する。もしくはチップ進呈となる。手を出したら負け。
と、普通は無難に世間話からスタート。
名前、出身地、年齢、滞在期間などなど。
ゴーゴーバーやバービアでのルーティン会話ですな。
個人的に、いきなりタイ語で話しかけれる割合が高くなってきた。英語とタイ語率が半々といったところかな。挨拶は英語でも、その後のルーティン会話はタイ語に切り替える。ルーティン会話に限るなら、タイ語のほうが楽。込み入った話だと、英語も併用するけど。
雰囲気からして在住と思われている模様。実際は単なる中長期沈没者なのだが、説明も面倒だし、パタヤと日本を行ったり来たりの生活をここ数年続けているのも確かだし、タイ滞在歴3年とか答えている。
当然わたしのことを仕事で滞在しているものと考えるだろうから、次の質問はこうなる。
「仕事はどこ? シーラチャ? ラヨーン?」
シーラチャーやラヨーンで働きつつパタヤに暮らしている駐在員や長期出張者はたくさんいる。
普通はそう思うだろう。
で、わたしはこう答える。
「ここだよ。パタヤ」
「ええ? ほんとに? パタヤのどこ?」
パタヤで正規に働いている日本人は少ない。一部旅行代理店かバー関係者くらいなもの。
「ソイパタヤランドで働いている」
ここでピンと来るゴーゴー嬢は多い。
ソイパタヤランドは、言わずとしれたボーイズタウンだ。
マッチョな男や、か弱そうな男が、あんなことやこんなことを夜な夜な展開している素敵かつ不埒な場所である。
「ゴーゴーボーイで働いてるんだよ。今日もブンブンショーやって、ここが痛いんだよ」と自分のケツの穴を差しながら、大仰に痛がるふりをする。
「ジェップ フーキー ライラーイ」と軽いイサーン語も交えてやるといっそう効果的。
「ケツが痛いし、疲れた。だから、今日はペイバーもブンブンもできない。ごめんよ」
大ウケして馬鹿笑いされるか、こいつバカかとドン引きされるかのどちらかの反応がかえってくる。
「それとも、ペイバーしてもいいけど、ブンブンはここね」と相手のケツを指差してやるのも一興。
うひゃあ~と逃げていくゴーゴー嬢。
これにて撃退成功。
まあ、これはほんの一例。
ほかにも、しょーもない嘘やジョークで、明るく楽しく会話しながら、ドリンク攻撃やペイバー攻撃をかわしている。
ムスッとした顔で「NO」とか「メダイ(だめ)」だけではおもしろくないんでね。
お互い楽しい時間が過ごせたはずだし、これでいいかなと。
面倒な時は、単純に「マイミー タン(お金ない)」で押し通したりもするけど。
すでに女がいると伝えるのも有効。
「ミー プーイン レーオ(女はもういるよ)」とか「ロー プーイン マー(女が来るのを待っている)」とでも言えばいい。意外と素直に引き下がってくれる。「どの女よ?」と食い下がってくることもあるが。
入店して着席した直後に営業をかけられた場合は、「レディーのダンシングが見たいからチャーチャーね」といった感じに優しく断ればいいでしょう。
本当にお相手したいゴーゴー嬢だったり、スキンシップをはかりたいゴーゴー嬢だと、素直にドリンク奢ってから口説きモードに入る。これは当然の話。夜遊びの大前提だ。
でも、営業をかけてくる人間すべてにいちいち奢ってられませんな。
どうせ断るなら、明るく楽しく撃退しましょう。
わたしはタイ語を使っているが、別に英語でもいい。それぞれ楽しい嘘やジョークや言い訳を考えてみましょう。
それでもしつこく食い下がる相手には、真顔で「NO」と「メダイ」でいいと思う。
毅然とした態度が重要なんだろうけど、まあ、なるべくなら、笑顔で過ごしたいものです。
楽しくやりたいぜ。