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エッセイ

ウォーキングストリートで不良ファランに中指を突き立てた話

投稿日:

先日、ウォーキングストリートを訪れた時のこと。
タバコが切れたので、コンビニへ入店。
タバコを買うには直接レジカウンターで銘柄を伝えるのは日本と同じ。
レジには先客がいた。
くたびれた印象のファランだ。年の頃なら50前後。
染柄のよれたシャツと短パンとサンダル姿だったように思う。
カウンターの上に缶ビールを1本置いている。
が、ファランは半身にかまえており、会計を進めている様子はない。
店員に目配せすると、どうぞと手招き。
店員にタバコの銘柄を伝えると、横のくたびれたファランがいきなりタイ語で話しかけてきた。

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タイ語で物を乞うファラン

以下、わたしが感じた雰囲気で意訳。

「おい、あんた日本人だな、そうだろ?」

なぜいきなりタイ語で話しかけてくるのか、まずそこにびっくりした。
パタヤにはタイ語を話すファランもそれなりにいるが、普通は外国人相手に話すときは英語を使う。
こちらがタイ語が話せるとわかると、タイ語で会話することもあるが、基本は英語で話しかける。
でも日本人には英語よりもタイ語のほうが通じると踏んだ上で、あえてタイ語で話しかけてきのかもしれない。
なんだか面倒くさそうだったので、あえて返事はせず。

次に出てきた言葉にさらに驚愕。

「このビールの代金も払ってくれよ」

はあ?

「あんた日本人だろ、だったら払えるだろ」

まったく意味不明。
この時点で怒りがこみ上げてきたが、さらに無視。
タバコを持ってきた店員を見やると、あきれたような困ったような表情をしている。
たぶん、そのファランはずっとここで外国人が買い物にくるのを待ち構えて、物乞い活動をしているのだろう。

「おれは金がないんだ。あんた払ってくれよ」

マイミータン マイミータンと繰り返しながら、さらににじり寄ってくるファラン。

「日本人だろ。どうして払えないんだ。払ってくれよ。ケチ」

タイ人からキーニャオ(ケチ)と言われるのは、まだ許せる。特に夜の女性たちとの付き合いにおいては、むしろ褒め言葉とすら思う。
が、このような物乞いファランから言われる筋合いはない。

もはやブチギレ寸前である。

が、そのファランは「どうしてどうして(タムマイタムマイ)?」と呪詛のようにつぶやきながら、さらに詰め寄ってくるではないか。

わたしは、切れた。

タイ語で返事をするのが嫌だった。
英語でまくしたてた。

「どうしておれが払わないといけないんだ。金がないのか? だったら今すぐてめえの国へ帰れ!」

Go back to your country right now!

こちらの剣幕にたじろぐファラン。
急におとなしくなり、「ごめんなさい(コートート)」とタイ語で謝ってきた。

その卑屈な態度によけいにはらわたが煮えくり返る。

自分のタバコ代を払って、憤然とその場を立ち去る。
コンビニを出ようとするが、気が収まらない。
振り返ると、ファランはまだカウンター前に立ち、こちらを見ている。
思わず、ファランに向けて中指を突き立ててしまった。

人に向かって本気で中指を突き立てたのは人生初かもしれない。
ましてやファラン相手に中指を突き立てるという行為がどれだけ重大なことかはよくわかっている。
それでも反射的にミドルフィンガーを突き立ててしまった。

ファランは身動き一つせず固まっており、わたしはもう一度中指を突き立てて、コンビニを出た。

異国において、外国人が外国人にたかる行為自体が腹立たしい。
そのファランは、アジア系、それも一般的には気の弱いとされる日本人をターゲットにしているのだろう。
そこにも腹が立つ。
舐めるなと。

そして、タイ中長期滞在者としては、このような不良ファランの存在が忌々しい。
こんな不良ファランがいるから、タイの外国人長期滞在への締め付けが厳しくなってくるのだ。

タイのイミグレーションが厳しくなってきたのも理解できる。

なぜ遠く離れた異国にやってきてまで、他人にたかろうとするのか。
バックパッカー(Backpacker)ならぬ、まさにベッグパッカー(Begpacker)だ。
いや、若者の貧乏旅行ならまだしも、ウォーキングストリートでビールを飲もうとする中年である。

さらに言えば、タイの経済には貢献せず、インフラをむさぼりくうだけ。
病気や怪我をしても、治療代を払わずにとんずら。
たしかに、タイ政府にしたら、そんな不良外国人なんぞ単なる寄生虫でしかない。
邪魔な存在だ。
タイから追い出したい。
そう考えるのも当然のこと。

沈没ファランたち

ファランたちの名誉のために付け加えておくと、わたしにはパタヤに長期滞在してるファランの知り合いは多い。

リタイア後のファランは比較的裕福で、タイ人パートナーもいて、内情はわからないにしても、悠々自適の生活を送っているように見える。
イサーンの田舎に家を建ててあげているファランも少なくない。
こういう外国人はタイ政府も歓迎するだろう。

若い沈没ファランでも、そこまでひどいやつはいない。
アパートを借りて住み、毎日バービアに入り浸り、頻繁ではないが夜遊びもする。
それで月に5万バーツか6万バーツは金を落とす。

普通のタイ人が1ヶ月にいくら金を使う?
セブンイレブンの給料はいくらだ?
その数倍の金はつかっているぞ。

それなのに、なんでタイ政府は締め付けるのだ、といったぼやきを何度も聞かされた。

わたしも同じだ。
パタヤ沈没スタイルと言いながらも、それなりに金を落としているつもりだ。
短期滞在者の消費するペースとはまったく異なるが、一月にすればけっこうな額になる。
やはり他の沈没ファランと同じく月に5万か6万は使う。場合によってはもっと使う。

日々豪快に遊んでいる人からみれば1ヶ月でたったそれっぽっちかと鼻で笑うかもしれないが、タイ人の平均的な世帯消費額よりはかなり多いはずだ。
直接税金は払ってないにしても、間接的にタイ・パタヤ経済には貢献しているだろう。

少なくとも見知らぬ外国人やタイ人相手に物乞い行為はしない。

沈没仲間のファランともども、金がなくなったら帰国するだけのことだ。

ソイブッカオあたりのバービアで昼間から身動き一つせずビールをちびちびと飲み続けているファランはたくさんいる。
彼らこそ、まさにザ・沈没ファランである。
が、彼らは堅実なだけで、限られた予算を有効利用しているにすぎない。
ある意味、賢い。
ウォーキングストリートなんか足を向けない。
ただひたすらバービアで石像と化すだけ。
金はさして使わないだろうけど、誰にも迷惑をかけない存在。人畜無害かつパタヤの風物詩。
パタヤ、とりわけソイブッカオにはそんな沈没ファランがよく似合う。いや、そんな沈没ファランがいなくなったら、ソイブッカオはおしまいだ。

わたしはそんなどうしようもない沈没ファランたちに憧れて、パタヤ沈没生活を始めたようなものだ。
ある種畏敬の念すら抱いている。
でも、コンビニで物乞いする不良ファランだけはだめだ。クズである。

最後に

なんだか怒りにまかせて書きなぐってしまったが、とにかくあの物乞いファランには心底腹が立った。
ああいう行為を平気でおこなう神経がまったく理解できない。
パタヤに滞在中には何かと腹が立つこともあるけれど、普段はジャイイエンイエンでやりすごす。
今回のは特別。
でも、いくら相手が貧相なよれよれファランだったとはいえ、中指を突き立てたのはまずかったかもとあとで反省。
楽しいパタヤ滞在、喧嘩は避けたい。

No Money No Honey

それがパタヤの鉄の掟。
金がなくなったら、国へ帰れ。
センタンやコンドから飛び降りるのだけはやめてくれ。後片付けが迷惑だ。
自分への戒めも込めて、はっきり言っておきたい。

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