ソイブッカオからソイエキサイト方面へ歩いていると、ふと気になる屋台に出くわした。
通り過ぎそうになったが、やっぱり引き返す。
こういった屋台は一期一会だ。その場を逃すと、二度と見つからないことがある。
どん!
どっからどう見ても串かつだろ、これは。
隣の鉄板で焼いているソーセージ的なものも気になるが、まずは目の前の串かつの山を処理したい。
屋台のおばちゃんに、「ニーアライ(これ何?)」と質問。
外国人の客が珍しいのか、おばちゃん、ちょっとテンパり気味。
ちょっと考えてから、「チキンチキン」と連呼していた。
なるほど、中身は鶏肉の串かつだな。
「アンラタオライ(一個いくら?)」
タイ語で質問しているのに、おばちゃんまたも考える。
ちょっと口ごもってから、「テンバー テンバー」と繰り返している。
一個、10バーツね。了解。
これは食べてみたい。
「アオソーン(2個ちょうだい)」
まさに大阪・新世界名物の串かつそのものだ。
こんなパタヤの片隅で大阪に遭遇できるとは。
大阪の串かつは豚肉を使うのが一般的だが、ここはタイランド。鶏肉でもマイペンライ。
ソースは二度づけ禁止ですよね、おばちゃん。
と、思いきや、おもむろにマヨネーズをぶっかけられた。
部屋にお持ち帰り。
がぶりと、かじる。
やっぱり、串かつだ。
どこをどう切り取っても、串かつ以外の何者でもない。
肉に卵と薄力粉をつけてから、パン粉をまぶして油で揚げる。
ちょっと衣が分厚すぎるが、立派な串かつである。
具が鶏肉のせいもあるだろうけど、マヨネーズが意外とマッチしている。
これは、普通にうまい。
うまくないはずがない。
関空を出発してから1週間ちょっとで、ふたたび大阪の味に出会えるとは思わなかったなあ。
これでソースがあれば完璧であった。
フレンドシップスーパーあたり購入したとんかつソースとウスターソースをブレンドして特製ソースを自作してやろうかと一瞬考えた。
そのブレンドソースで、ここの串かつを食べれば、もっとうまくなるはずだ。
ま、面倒なんで、マヨヨーズでいいですけどね。
わざわざ日本式居酒屋や日本食レストランへ行きたいとはまったく思わないけど、こんな屋台の串かつなら大歓迎です。
カノムトーキョー
串かつに目と心を奪われてしまったが、その隣の鉄板も気になっていた。
クレープのような生地の上にソーセージが乗っかっている。
これは、ひょっとして、カノムトーキョーでは?
いや、間違いなく、カノムトーキョーだ。
まだ調理途中なので完成形が見えないが、クレープ生地をソーセージ巻けば、できあがりのはず。
カノム=お菓子
トーキョー=東京
直訳すれば、東京お菓子となる。
関西人なので東京のことは詳しくないが、東京にこんなお菓子はないだろう。
噂では、東京に大阪焼きなるものがあるらしいが、大阪にはない。
スパゲッティのナポリタンはイタリアのナポリにはない。
話にきいたところ、カノムトーキョーは、ソーセージ以外にも練乳バナナをクレープでくるむことがあるそうだ。
どっちしろ、東京には売っていないお菓子だし、またパタヤでもほとんど見かけない。
パタヤの屋台でも東京クレープはよく見かける。これは、日本式のクレープ。中身は、チョコレートだったり練乳だったりバナナだったりと、まあ日本と似たようなもの。
あと、ロティと呼ばれるパンケーキ屋台も多い。
が、パタヤでカノムトーキョーは見たことがない。
ローカルタイ人のに聞いたところ、子どもが好きな食べ物なので、小学校前にはカノムトーキョー屋台が出没するそうだ。
パタヤでは、ソイアルノタイに大きな小学校があって、下校時にはそういったお菓子屋台が多数現れると言っていた。
ソイアルノタイの小学校
結局、この屋台ではカノムトーキョーを購入せず。
とにかく串かつが気になったもので。
が、カノムトーキョーのことが忘れられず、数時間後ソイエキサイトへ引き返した。
しかし、おばちゃんの屋台はすでにいずこかへ立ち去っていた。
その後数日間、ブッカオ界隈を捜索したが、見つけることかなわず。
いつぞやの幻のカツカレー屋台と同じ道をたどるのか。
ああ、また串かつが食べたいぞ。
カノムトーキョーも食べてみたい。
勝手な推測だが、普段はソイアルノタイかどこかの小学校前で営業している屋台が、たまたま遠征してきただけなのではないかと。
1本10バーツの串かつも、いかにも子どもが買い食いしそうだ。
お母さんに20バーツくらい小遣いを渡された子どもが下校時の空腹しのぎについつい買ってしまうもの。
日本なら駄菓子屋だが、タイでは屋台となる。
が、串かつは子どもだけに食わすのはもったいない。
是非とも、パタヤのバービア群にも出没してほしい。
日本人なら即買いしますよ。おばちゃん、よろしく。
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