沈没日記8
今滞在でもっとも一緒に過ごす機会が多いのが、20歳の元ゴーゴー嬢。
今はゴーゴーを辞めてカタギの仕事に就いている、と本人は言っているが、定かではない。
4,5日に一回の頻度でわたしの部屋にやって来てブンブンする。
もちろん金銭授受ありだ。
ゴーゴー時代はバーファイン1000B+ショート1000Bで遊んでいた。つまりトータル2000B。
ゴーゴーを辞めてからは1500Bで手を打っている。
若さとルックスとサービスはほぼ満点に近い。現状ではこれ以上はのぞめないレベル。
が、相変わらずロングは不可。いつもショートだけ。
ブンブンしてから食事へ行ってバイバイのコースだ。
まあ、体のいい小遣い稼ぎでわかりやすくていいんだけど、もうちょっと親密度を濃くしたいところ。
さて、20歳の彼女。若いタイ人はみんなそうだろうが、SNS大好き。いつもスマフォをいじっている。
通話も多い。わたしと一緒にいる間もひっきりなしに電話している。
タイ語の会話なんで、ある程度は聞き取れる。
おそらく「ユーナイ(どこにいるの?)」ないし「タムアライ(なにしているの?)」とでも質問されたのだろう、その答えがこちら。
「ユーガップルーカー」
客と一緒にいる、か。
まあ、そうだよね。
次に会った時もまた電話で同じ質問をされていた。
今度の答えは、
「ユーガップギック」
おっと、ギックになったか。いわゆる、友達以上恋人未満の関係というやつ。
わずかにランクアップだ。
そんな感じで逢瀬を重ねていると、ようやくロングを受け入れてくれるようになった。
家庭の事情とやらでロング不可だったが、別に問題はなかったみたい。試されていたのかね。
ただし、その実家への送金の必要があって、お小遣いは多めに要求された。2500バーツ。
やっぱりカネ目的なのね。当たり前だけど。
夜10時くらいに彼女が泊まりにやって来る。
一戦を終えても、着替えることはない。タオル一枚だけ巻いてベッドにもぐりこむ。
やっぱりロングがいいよね。このふんわりとした時間が好き。
が、そこはスマフォ大好きっ子、寝る時も携帯電話は手放せない。
「チョープ レン トラサップ」だそうな。
電話で遊ぶのが好き。
そのうち、友達と電話を始めた。
お決まりの質問に対しての答えに、わたしの下半身もとい、鼓膜がピクンと反応した。
「ユーガップフェーン」
フェーン、つまり恋人のことだ。
わたしの反応をおもしろがるようにして、彼女はウィンクを投げかけてきた。
小悪魔め。
わたしが聞いているのをわかったうえで、リップサービスとしてそう言っているのだろう。
しょせんは、金銭授受ありきの関係。恋人であるはずもない。
ここでのぼせあがるのはモテナイ男の愚かさというものだが、頭ではわかっていても、ついつい喜んでしまう。
翌朝2回戦目をこなしてバイバイ。
これでちょっとは関係が深まったかな。
金銭授受は大前提。清く正しく不純な交際には金銭が不可欠。いや、真剣な交際でもお金は重要。むしろ、真剣交際なればこそ金銭が重要になるかも。愛の深さはカネで測るってやつだ。
ま、たとえ金銭授受による一時的肉体交流であったとしても、心の交歓が少しでもあったほうが、精神的満足度も異なるってもの。
愛情とやらは、ほんの少しでいい。こちらからは少しばかりの金銭的かつ心情的な愛とやらを注ぎたい。だから、少しだけでもいい、いや、できれば、たっぷり愛がほしい。お願いだから、スマフォ遊びはそこそこにして、もうちょっとかまってね。
タイへ遊びに来る男は、夜の女性に対してカスタマー以上の関係を望みがちで、わたしもむろんその一人だが、はたしてどこまで望めばいいのか、いまだにわからない。
ゴールはどこにあるんだろうか。
カスタマーから昇格して、フェーン認定され恋人関係になればゴールだろうか。そのゴール到達はそれほど難しくないと思う。
でもそれでゴールか。
その先があるはずだろう。
既婚者なら愛人(ミアノイ)?
独身なら結婚?
彼女の家族や一族郎党の面倒を見る覚悟はあるのか?
ブンブンの対価としての直接的支払いはなくなるが、それ以外の出費は並大抵のものではないぞ。
さあね。
いずれは深く厳しい現実問題に直面するに違いないが、とりあえず今を楽しんで、あとはなるようにしかならないだろう。
相手が誰であろうと、日本だろうがタイだろうが、人間関係なんてそんなもんでしょう。
さしあたり、彼女とは仲良くやっていこう。今のところは確実になんちゃってフェーンだ。間違いない。
が、何度も夜をともに過せば、何かが変わっていくかもしれない。
と期待が高まったところで、わたしは友人に会うためにバンコクへ。それからラオスへ旅立つことになった。これは当初からの計画通り。
パタヤへ帰還してからが勝負だな。
さてどうなることやら。