沈没日記11
(10からの続き)
バンコクからパタヤへ
シーロム雪隠詰3日間を終えて、パタヤへ戻る。
もう完全にルーティーンワークと化したルートである。
BTSサラデーン駅からサイアムで乗り換えてエカマイまで。42バーツ。
エカマイバスターミナルからノースパタヤバスターミナルへ。108バーツ。
はい、パタヤ到着。
ムエタイスタジアム(Pattaya Boxing World)前のヤックさんがお出迎え。
バスターミナルを出て、ノースパタヤ通りの横断歩道を渡ったところで、乗り合いソンテウを待つ。
なかなかソンテウが来ない。
15分ほど待って、ようやくビーチロード方面行きソンテウがやって来た。
ビーチロードまで行ってもきちんと10バーツ。
ビーチロードで降りて、あとは歩きで宿まで。
パタヤ復帰である。
カラオケ嬢と付かず離れずの日々
ここからは、実に平和な、いつものパタヤ沈没生活が再開。
といっても、今回の滞在は短い。パタヤは残り1週間ほどしかない。
お相手は、タニヤのカラオケ嬢ではなくて、パタヤのカラオケ嬢である。
自由気ままな彼女のこと、夜中にふいに部屋へやって来て、そのまま一緒に寝ることもあれば、腹減ったからお小遣いちょうだいと言って、わたしから数百バーツむしり取るとそのままどこかへ消えてしまうこともある。
まったくお気楽なものだ。
「キムチ食べたい。買っておけ」と命令されたんで、わざわざマックスバリュまで買いに行ったものの、ちっとも部屋にやって来ないこともあった。
しかたないんで、LKメトロ入り口にあるLKチキンの40バーツフライドチキンとカオニャオとキムチをセットにして、一人で食べた。
この組み合わせいいね。カオニャオより普通の白米(カオスワイ)のほうがいいかもしれんけど。
で、翌日の昼間にふいに現れては、冷蔵庫内に残されたキムチを見て、嬌声を上げるカラオケ嬢なのである。
ママーと一緒にキムチを完食されておりました。
腹がいっぱいになると恒例のお昼寝タイム。
夕方にずるずると起き出して、仕事に行くこともあれば、どこか遊びに行くこともある。
夜中になると、わたしの部屋に泊まりに来たり、来なかったり。
もうすべては彼女の気の向くまま赴くまま。
こっちはこっちで、ウォーキングストリートへ行ったり、ジェントルマンズクラブを調査したり、バービアでだらだら飲んだり、気ままに過ごす。
ペイバーはもちろん無し。
タニヤ嬢からの電話もかかってくるんで、ほどほどに受け流しながら、うまく関係を続けておく。
パタヤでノーブンブンライフ
こんな感じで一週間を過ごした。
ブンブン無し。
泊まりに来たカラオケ嬢ともやっていない。
ただ一緒に寝るだけ。
今回は極力ブンブン無しで過ごしてみられるかどうかの実験でもあった。
今のところ大丈夫。
これはこれで楽しい。
カネの節約にもなるし、余計な気をつかわないでいい。
背徳と享楽の都パタヤであえてブンブンせずに日々を過ごすのは、ある意味、すごく贅沢な過ごし方だ。
20歳過ぎのそこそこ若くてかわいいタイガールがふいに泊まりに来て、何もせず抱き合ったまま一晩を過ごす。
あとは、だらだらと飲み歩くだけの生活。
これがパタヤ長期滞在の真骨頂かもしれない。
そんな一週間があっという間に通り過ぎる。
パタヤ沈没の一週間など、あって無きがごとし。
まさに泡沫の夢だ。
一週間以内の短期滞在旅行者にはなかなかわかりづらい感覚かもしれない。
わたしも昔は短期滞在者だった。
短い日程に予定をつめこんで、慌ただしく過ごして、最後は財布と下半身を空っぽにして、パタヤを後にする。
沈没ファランたちをながめては、だらだら過ごすだけの毎日が一週間も続いたら、さぞ長く感じるだろうと思っていた。
が、月単位の長期沈没生活を実践してみると、いかに一週間が短く感じることか。
びっくりするほど早い。
ブンブン無しでも時の経つのが早い。
パタヤは眠らない街。そして刺激と頽落が奔流となってうずまいている。
ぬるくてだらけきった空気の渦に巻き込まれると、時間感覚が消え失せ、まるで異次元に迷い込んだかのような浮遊感に包まれてしまい、ついつい時の流れを忘れてしまうのだ。
こうして、あっという間に、パタヤ滞在最終日を迎えたのである。
(つづく)