パタヤ千夜一夜

タイ・パタヤでの沈没日記とアジア夜遊び旅行記。パタヤグルメ情報、ホテル情報多数。

エッセイ

『売春島』(高木瑞穂著)を読む。渡鹿野島とパタヤ。

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興味深いタイトルの本が発売された。
ずばり、「売春島」である。

売春島 (1)

「最後の桃源郷」渡鹿野島ルポとのサブタイトルが付いている。
そう、これは、三重県にある渡鹿野島に関するルポルタージュ本だ。

この島にはずっと興味があった。が、実際に訪れたことはない。
噂に聞こえた話では、島全体に売春によって成り立っていて、日本では珍しいロング遊びが可能だという。
売春のために作られた島。まさに売春島。

狭い島という閉ざされた環境。
いろんな伝説や噂が飛び交っている。

いわく、売り飛ばされてきた女性たちが無理やり働かされている。
いわく、脱出不可能。
いわく、でも本土まで海を泳ぎきって脱出した女性もいる。
いわく、潜入取材した新聞記者が行方不明となった。
いわく、捜査に入った刑事がそのまま売春宿のオーナーとなった。
などなど。

では、渡鹿野島の実態はどうなのか。
噂は真実なのか。
歴史や成り立ちはどうなっているのか。

どうやら、この本には渡鹿野島の真実が描かれていそうだ。

目次
売春島 (2)

興味津津で読み進めた。
野次馬根性と覗き見精神だけの大衆週刊誌的俗物軽薄本かと思いきや、取材はしっかりしている。
版元の編集方針なのか、重厚なノンフィクション作品のような読み応えはないけれど、それでもぐいぐいと読むことができた。

渡鹿野島の成り立ち、売春島とまで呼ばれるようになった経緯が特におもしろい。

また、フィリピン人やタイ人たちが働くようになった理由なども経営者側に取材してあり、これまた興味深い。
できれば、そのような外国からの出稼ぎ嬢たちへも取材してほしかったが、どうやらフィリピン人やタイ人は主流ではないようだし、現役の日本人嬢へのインタビュー記事だけでも貴重であろう。

インタビューによれば、最盛期の渡鹿野島での働き方は以下のようなもの。
旅館やホテルの宴会でコンパニオンとして派遣される。
宴会では、レズショーまで開かれるそうだ。(本書にはその模様のカラー写真が掲載されている。)
コンパニオンと客は飲みながらコミュニケーションと取り、仲良くなってから、一晩をともにする。

なんだかタイやフィリピンのバーでのロング遊びを彷彿とさせるようなシステムではないか。
インタビューを受けた女性は、このような風情のあるシステムのほうが、置屋よりも働きやすいと答えていた。
日本でもこういうところがあったのか。

が、現在、渡鹿野島は凋落の一途をたどっている。
わずかに売春施設は残っているようだが、もはや風前の灯火だとか。

ここ数年、売春島との汚名を返上して、クリーン化が進められているという。
ビーチを綺麗に整備しリゾート地として生まれ変わらす算段だ。

が、ずっと売春で成り立っていた島だ。
そうそううまくいくものではない。
渡鹿野島には、売春施設で直接働く以外の普通の人たちも、もちろん住んでいる。
多くは売春施設にかかわる人たちへものを売ったり建物を貸したりといった商売によって生計を立てている。
が、売春施設がなくなることにより、健全な商売の売上も激減する。
その一方、クリーン化してみても、リゾート客はそれほど増えない。
クリーン化するのはけっこうなことだが、生活は苦しくなる。
そういった地元民たちの隔靴掻痒たるジレンマもきっちり本書では描かれている。

読み進めながら、どうしても渡鹿野島とパタヤがダブってきてしまうのは、パタヤ好きとしては当然だろう。
外聞を過剰に気にする一部当局はパタヤのクリーン化を推し進めようとしている。
が、健全なリゾートだけでパタヤが生き残るのは難しい。こんなことは誰もがわかっている。
もしもクリーン化してしまったら、職を失うものが山ほど出るのは必然。直接夜の仕事に携わっている人以外も、売上が激減してしまうだろう。
はたして、クリーン化を推し進めようとしている行政は何をどれだけ考えているのか。それともその場かぎりのポーズに過ぎないのか。
パタヤが渡鹿野島のような末路をたどることはないのか。

渡鹿野島の歴史や現在の姿が、パタヤの将来を考えるうえで何かの参考になるかも。
もちろん、渡鹿野島とパタヤでは規模も条件も国情も違いすぎるから、そうそう単純なものではないけれど。

渡鹿野島に興味ある人だけでなく、海外風俗や特殊な街に興味がある人にも読んでほしい1冊。
普通におもしろいです。

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