その屋台は、遠目には、おでんに見えた。
串にささったネタが、ずらりと勢揃い。
まさに、おぜん然とした面構え。
近づいて鍋の中を見てると、ダシはない。たしかに串にささってはいるが、蒸してあるようだ。
一番目につくのが、白いつみれ(ルークチン)。
あとは、ソーセージ、カニカマ、厚揚げ、はんぺんとか。
これがダシにつけこんで煮てあれば、どっからどうみても、おでんになるのに。
値段を聞いていると、一本5バーツ。タイ語で「マイラ ハーバー」
マイ=木のことだが、串とか棒とか、そういったもの木の棒状のものを指す(ようだ)。
ラ=○○につき
「ラ」は使用頻度が高い。
一日でいくらと聞きたければ、「ワンラ タオライ」。一月なら「ドゥアンラ タオライ」といったふうに応用がきく。
日本語と同じく、タイ語はモノによって数え方が違う。わたしもよく覚えていない。そんな時は、「アンラ タオライ」と言えばいい。一個いくらという意味になる。
6本頼んだ。これで30バーツ。
屋台のおばさんに、「ヤムマイ?」と聞かれる。
ヤム=あえる、転じてサラダのこと
ガラスケースに野菜の山があるな。これと混ぜてくれるのだろう。
サラダにしてみた。
辛いタレをかけてもらう。
別途、サラダ代を請求されるかと思ったが、30バーツそのままだった。
あとでタイ人に、のれんのタイ文字の読み方を教えてもらった。
ルークチンムー ノムソッド
マイラ5バー ヤムルークチン フリー
と、書いてあるそうな。
サラダにするのはタダなのね。
タイ語で、タダのことは英語と同じで「フリー」と言う。
英語なら「for free」と表記するのがより正しいだろうけど、まあ一緒。
タイ語本来の言い方もあるらしいが、みんなフリーを使っているなあ。
ノムソッドは、フレッシュミルクのこと。
ノム=牛乳
ソッド=新鮮な、生の
豚肉からルークチン(つみれ)を作る時に、生乳をまぜているから、ノムソッドと表記してあるみたい。
どうりで、つみれが妙に白いわけだ。
ヤムルークチンの完成
きゃべつがざっくりしているなあ。
豚肉のルークチン、うまい。ほのかに甘みがある。あとづけだけど、これが生乳の効果か。
カニカマはそのまんまの味。
厚揚げも、そのまんま厚揚げだな。はんぺんみたいなものは、やっぱりはんぺん。
ソーセージは言うに及ばず。
タレがかかっていない部分は、辛くない。
が、芯の部分が多いキャベツをそのままかじるのはしんどい。
タレにひたすと、おいしくなる。
が、そのタレがとにかく辛い。
もう好きにしてという辛さ。
がんばって、キャベツの芯を少し残しただけで、ほぼ完食。
野菜不足の解消に、ほんのわずかだけ寄与してくれたと信じたい。
揚げたり焼いたりするルークチンは、油っこくて苦手という人は、このおでん風ルークチンを試してみてほしい。
サラダにしても、そこそこイケます。辛さはお好みで調整してください。
生乳入り豚肉つみれ、おいしいですよ。
ああ、おでんが食べたくなってきた。
だしの染み込んだ大根とちくわを練り辛子で食べたいっす。
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