少し前の話。
知り合いがパタヤへ遊びに来た。
この人は、もう定年をすぎて悠々自適の生活をしている好々爺だ。
が、ずばり、ゲイである。
それもボーイが好きなゲイである。
彼の名誉のために言っておくと、決して少年が好きなわけではない。
あくまで20歳前後で見た目や仕草が少年っぽい雰囲気の男が好きだとのこと。
ペドフィリアではないのだ。
(パタヤでは、ファランのペドフィリアが逮捕されるというニュースをわりと頻繁に見かける。)
また、日本ではちゃんと結婚して子どももいるので、別に女嫌いというわけではない。
「わしは両方いけるクチや」と念を押していた。
でも、年を取ると、いろいろややこしい女とやるよりも、可愛らしくておとなしい少年のような男と添い寝をするほうが満足できるとのこと。
まあ、どっちにしろ完全なノンケにはよくわからない世界ではある。
バンコクのソイ・トワイライトや、パタヤのボーイズタウンでは何度か遊んだ経験があるそうだ。
もっと珍しいところを案内してほしいとの要望。
いや、そう言われてもノンケのわたしには困るのだが、多少の知識はあるので案内することに。
昼間は、パタヤタイ(サウスパタヤ)のトゥッコム裏手にあるボーイズマッサージ屋へ案内。
この辺りには、数軒ほどのボーイズマッサージ屋が点在している。
どこも若い男がマッサージを施してくれる店だ。
店頭に男たちが並んでいるのですぐにわかるだろう。
一時間200バーツほど。
さすがに店内でスペシャルサービスはなさそうだが、仲良くなれば遊びに行けそうな雰囲気。
ママさんがいたのでちょっと話してみると、ホテルへの出張サービスも可能とのこと。
「どうですか?」
と知人に聞いてみると、あまり好みではなさそうに首をふる。
なかなか難しい。
夕方になり、SUNEE PLAZAへご案内。
ここはセカンドロード・ソイ17、別名ソイVC内の一角にある、巨大なボーイズバービア群。ゴーゴーボーイも何軒かある。
バービアの店先では、おじいさんファランが若い男をはべらせて飲んでいる。
知人は、そんな雰囲気に押されたのか、ちょっと入りづらそうだ。
でも、こんな場所があるのかと驚いていた。
ウォーキングストリートへも近いが、あまり知られていない。まあ、女遊び目当ての男には、そもそもまったく必要がない知識なのだが。
その筋の愛好家向けに一応、場所を説明しておくと、セカンドロードをジョムティエン方面へ直進して、ソイ17の標識があるので、そこで左折して、ひたすら直進すると右手に大きなアーケードがあるのですぐにわかる。
セカンドロードを左折する目印は、ソイ17の別称の由来となった「VCホテル」。最近、このホテルの一階に新しいマクドナルドができたのでわかりやすい。
セカンドロードを渡れば、ソイマリーンの入り口でウォーキングまで歩いて数分の立地。意外と便利なホテルかも。
他にもノンケの知り合い二人と一緒だったので、その後は全員でウォーキングストリートにある普通のゴーゴーバーにも入る。
ゲイの知人は、女目当てではないので、退屈そうだ。
しかたない。
ウェイトレスを呼んで、話をしてみる。
「女はいらない。この人は若い男が好きなんだ。誰か知らないか?」
すると、ウェイトレスはバーの外へ出て、呼び込みの男を連れてきた。
20代前半だろうけど、ヒゲをたくわえた立派な成人男性だ。
「この人でどう?」とウェイトレス。
話にならんと、手を振る知人。
「わしは、ボーイが好きなんや。男はいらん」
うーん、やっかいだ。
結局、知人のおメガネにかなうボーイは見つけられなかった。
知人は、
「あなたたちは楽しんで来な。わしは一人で行ってくるわ」
と、言い残し、さっそうとボーイズタウンに消えていくのであった。
あまり期待に応えられず申し訳ない。
今度は、ゲイのハッテンバとして名高い某サウナにでも連れて行こうか。
いや、こっちも一緒に入浴するわけで、そうすると他のゲイたちの格好の餌食となりそうな嫌な予感がする。
やっぱりやめておこう。
想像するだけで、ノンケの身には寒気がする。
まあ、いろんな趣味の人を満足させてくれる欲望と快楽と退廃の町、パタヤ。
そんなパタヤが大好きだ。
でも、やっぱり、わたしは女のほうがいい。