タイ南部・マレーシア国境旅行シリーズ第4回目。
前回⇒ハジャイの夜と苦瓜麺
今回はタイから陸路で国境を越えてマレーシアに入る。
ハジャイからパダンブサールへ行く国際列車に乗るのだ。
旅行好きにとって、列車で国境越えはわくわくする。
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目次
ハジャイ~パダンブサール国際列車
パンデミックによる長く閉鎖状態が続いていたタイ-マレーシアの陸路国境は、まずサダオの国境検問所がオープンとなった。
ハジャイとパダンブサールを結ぶ国際列車は再開が遅れたが、2022年7月にようやく再開された。
この再開された国際列車に乗ってみようというのが今回の企画である。
マレーシアからタイへは陸路で入国したことがあるけれど、鉄道は利用したことがない。
ヨーロッパでは鉄道での国境越えは普通のことで過去幾度も経験しているが、東南アジアでの鉄道国境越えは初めてとなる。
今回は国際列車に乗ることが目的で、マレーシア国内旅行はしないつもり。マレーシアに入国したあと、復路の列車に乗ってタイに戻る計画だ。
タイ-マレーシアの国際列車は、タイ側の始発駅がハジャイ・ジャンクション駅で、マレーシア側はパダンブサール駅だ。
運行しているのは、State Railway of Thailandで、タイ国鉄となる。
時刻表はタイ国鉄のサイトで確認できる。
SRTホームページ⇒https://www.railway.co.th/Home/index
SRTオンラインチケット⇒https://www.dticket.railway.co.th/DTicketPublicWeb/home/Home
時刻表では1日2本。
列車番号947 ハジャイ発07:30 パダンブサール着08:25
列車番号949 ハジャイ発14:00 パダンブサール着14:55
列車番号948 パダンブサール発08:55 ハジャイ着09:50
列車番号950 パダンブサール発15:40 ハジャイ着16:35
オンラインチケット販売ページでは1日3本となっている。
スペシャルエキスプレスがある。これは、バンコクとパダンブサールを結ぶ長距離国際列車となるらしい。
列車番号45 ハジャイ発08:55 パダンブサール着09:50
列車番号46 パダンブサール発17:00 ハジャイ着17:55
運賃は、3等車が50バーツ、スペシャルエキスプレスの2等エアコン車が342バーツ。
今回は14時発の通常列車でパダンブサールを目指す。
事前にネットで少し調べてみたが、ハジャイ-パダンブサール間の国境越えの報告は、やはりパンデミック前のものばかり。
事前調査はタイ鉄道ホームページのみで終了。
まあ、現地に行けばどうにでもなるだろうとハジャイ駅へ。
ハジャイ・ジャンクション駅
ハジャイで宿泊しているサクラホテルからハジャイ鉄道駅までは歩いて5分ちょっとくらい。
ハジャイ市内中心部に泊まっていれば、駅まで歩いて行けるはずだ。
もしハジャイでトゥクトゥクをチャーターすると50バーツほど。
ハジャイの街並み。
駅の手前にあるロビンソンが目印。
ロビンソンからさらに進むと駅がある。
12時半に駅到着。
駅の前には機関車が展示されていたりと、なかなかに風情のある作りだ。
駅構内に入るには荷物検査場があるが、誰もおらずスルー。
ちなみに、今回は日帰り列車旅のため、手荷物なしで移動する。
まさかの手ぶら国境越えである。身軽でいいよね。
時刻表
時刻表にはパダンブサール行きの表示は見当たらない。
右手に切符販売所。
窓口で14時発のパダンブサール行きと伝えると、すぐに発券してもらえた。50バーツだ。
パスポートの提示やマレーシア入国書類などは一切不要だった。
一瞬でチケット購入完了。
ちなみに、往復での購入は不可。パダンブサールからハジャイへの切符はマレーシア側で購入してくれとのこと。
切符販売窓口の横には、マレーシア入国の規制措置についてマレーシア鉄道のKTMによる張り紙がしてあった。影に隠れていて、ちょっと読みづらい。
マレーシア国籍以外の外国人
・有効期限が最低6ヶ月残っているパスポートが必要
・有効な旅行チケットが必要
・MySEJATHTERAアプリケーションをインストールし情報をアップロードする必要
・Covid-19陽性ステータスは入国不可
すでにマレーシア入国にはワクチン接種証明書も陰性証明書も不要となっている。
よくわからないのがMySEJATHTERAというアプリの存在だ。
どうやら必須条件ではなくなっているようだが、陸路入国でどのような扱いになっているかは不明。
まあたぶん不要だろうと踏んで、何もしないことにした。
国境で何か言われたら、その場でアプリをインストールすればいいだろうと。
ハジャイ駅前でカオカームー
出発まではあと1時間半もある。
昼飯を食べよう。
ハジャイ駅までにはいくつ食堂が並んでいる。
タイ料理ばかりである。
カオカームーがうまそうだ。
肉たっぷりで50バーツ。
赤身の部位もコラーゲンも皮もしっかり入っている。
味もばっちり。
このカオカームーはうまい。
もしパタヤにこの店があったらリピート確定なのに。
あと、食堂で飼われているネコがかわいい。
乗車
ふたたびハジャイ駅構内へ。
ジャンクション駅だけあって、プラットホームが多い。
別のプラットホームへ移動には、普通に線路を歩いて渡る。
線路の上で記念撮影もできる。
これがタイスタイル。
まああんまり線路の上に立っていると係員から注意されるけど。
すでにパダンブサール行きの列車が待機していた。
ホームには売店多数あり。
この開放的な雰囲気がいかにもタイっぽい。
パダンブサール行きの車両。
HATYAI-PADANG BESARと書いてある。
文字はかすれているが、4と書かれたものは車両番号らしい。
チケットには車両番号と席が記載されている。いちおう指定席扱いにはなっているらしい。
でも実際には完全自由席である。
空いている席に勝手に座ればいい。
3等エアコンなしの車両だ。
天井には扇風機が弱々しくまわっている。
窓は全開が基本。
乗車率は4割くらい。半分以上の座席は空いている。
乗客はマレーシア人が多そう。
マレー系、インド系、アラブ系と人種は多彩。
英語しか話せない若い女性グループもいたが、たぶんシンガポールからの旅行者だと思う。
ファランのバックパッカーがわずかにいたが、東アジア系の旅行者は見かけない。
なお、車内には、トイレと洗面所もあった。
1時間足らずの所要時間だが、トイレが近い人も安心。
タイの車窓から
進行方向左側の窓際の席に座る。
14時、ほぼ定刻通りに列車は出発。
少し市街地を走ったあとは、ひたすら田舎の風景が広がる。
窓からは土と草の香りが混じった空気が入り込んでくる。
なかなか風情があるよなあ。
車内は少し蒸すけれど、外からの風があって、そこまで熱くはない。
まったりと進む国際ローカル鉄道である。
こういう列車の旅は好きだ。
14時22分、踏切を越えて、最初の駅に到着。
KHLONG NGAEという駅だ。
停車駅は少ない。
すぐに列車は出発。
空に鈍色の雲がわいてきたが、幸いにも雨は降らず。
14時43分、パダンブサール(タイ)に到着。
これは国境の手前側にあるタイのパダンブサール駅だ。まだタイ国内であり、国境越えのための駅ではない。
ちょっとややこしい。
ここではタイ人らしき乗客が少しだけ降りていった。
線路脇の道路では、コンテナを載せたトラックが何台も走る。
いよいよ国境間近の雰囲気だ。
14時53分、終点のパダンブサール駅に到着。ここはもう実質マレーシアに入っている。
厳密な国境線はわからないけれど、いつの間にか国境を越えたことになったようだ。
マレーシア側のパダンブサール駅は、ちゃんとしたプラットホームになっていて、違う国に来たのだと実感させられる。
点字ブロックまで敷設してあり、日本と大差ないホームだ。
タイ出国とマレーシア入国
ここからイミグレーションでの手続きが始まる。
駅の構内にタイのイミグレーションとマレーシアのイミグレーションが共存している形だ。
列車を降りると、すでに列ができていた。
まず老人や子供連れなどを優先してイミグレーションへ案内しているようだ。
5分ほど待ったところで列が進み出す。
あとは、前の人についていくだけ。
まず、タイのイミグレーションでタイ出国手続き。
パスポートにスタンプを押してもらうだけ。これは簡単。
少しだけ歩くと、次にマレーシアのイミグレーションがある。
マレーシア入国手続きへ進む。
少し並んでから入国手続き開始。
パスポート一つで問題ないはずだけど、入国手続きの際はいつも緊張する。
マレーシア陸路入国の要件
日本人はビザ免除でマレーシア入国が認められる。滞在可能日数は90日。
ワクチン接種証明書などの書類は提示不要。
MySEJATHTERAについても何も聞かれず。やはり不要のようだ。
聞かれたことは、これからどこへ向かうのか、そしてマレーシア滞在予定日数についてだ。
今回の目的は国際列車に乗車して国境越えをすることで、マレーシア国内を旅行するつもりはない。
このあとのハジャイ行き列車ですぐにタイへ戻る。
その旨を伝えると、問題なく入国スタンプを押してもらえた。
90日間滞在を許可するという文言も入っている。
まああと1時間やそこらでタイに戻るのだが。
15時17分、無事にマレーシア入国を果たす。
X線での荷物検査があったが、手ぶらのためここはスルー。
ひょっとしてタイ出国手続きを終えたあとに検査があったかも。
なにせ手ぶらなんで記憶に残っていない。
まあ大して厳しくなさそうなので特に問題ないと思うが。
マレーシア入国は2017年以来となる。
あの時はバンコクからペナン島へフライトで往復した。
陸路で国境は越えていない。
パダンブサール駅
マレーシアのイミグレーション通過後は、階段で2階に上がる。
切符売場や売店があり、外に出ることもできる。
切符売り場。
タイへの国際列車チケットならびにペナン島やクアラルンプール方面へのマレーシア鉄道の切符が買える。窓口は別々。
マレーシア国内列車路線図が掲示してある。
パダンブサールからペナン島はさほど遠くない。
まず列車でバタワースまで行き、それからフェリーに乗り換えれば簡単に行けるはずだ。
今回はマレーシア国内旅行はせず。
過去何度もペナン島は訪問済みだ。
ペナン島は多彩な食事が楽しめるし、街歩きも楽しいし、海も近い。
悪くはないんだけど、今回はスルー。
階段を降りて、パダンブサール駅構内から外に出てみる。
これで、マレーシアの土を踏んだことになる。
タバコを一服。
いやあ、異国での一服はうまい。
と、マレーシア滞在はタバコ1本で終了。
次の国際列車でタイに戻るのだ。
マレーシアの地でしたことはタバコ一服のみ。
なんという贅沢なマレーシア滞在か。
(タイ再入国編に続く)
注意-日本外務省からの渡航中止勧告と爆破事件
日本外務省より、タイ南部のマレーシア国境付近の地域における危険情報が発令されている。
●ナラティワート県、ヤラー県、パッタニー県及びソンクラー県の一部(ジャナ郡、テーパー郡及びサバヨーイ郡)
レベル3:渡航は止めてください(渡航中止勧告)。(継続)●ソンクラー県(ジャナ郡、テーパー郡及びサバヨーイ郡を除く。)
レベル2:不要不急の渡航は止めてください。(継続)
ハジャイのあるソンクラー県は、レベル3もしくはレベル2となっている。
今回のハジャイ-パダンブサールの国際列車旅は2022年11月に実際に行った。
この時は平和そのものだった。
が、ハジャイ-パダンブサール間の鉄道路線は、12月に入ってから2度の爆破事件が起きている。
一度目は貨物列車を狙ったもので、二度目は線路修復のための作業員が狙われた。1度目の爆発での怪我人はいなかったが、2度目の爆発では3人の作業員がなくなった。
旅客鉄道が被害にあったわけではないが、ハジャイ-パダンブサール路線は一時期運行停止となった。
最新の運行状況はタイ国鉄のホームページならびに現地で確認のほどを。
12月12日の運行予定は、1日1本となっている。ハジャイ発08:55、パダンブサール09:50着のスペシャルエキスプレスのみ。
これも本当に運行されているかはわからない。
まとめ
列車で国境越えは楽しい。
エアコンなし普通列車でも乗車時間は1時間足らず。
4時間も5時間も乗るならしんどいが、これくらいなら全然平気だ。
マレーシア陸路入国は楽勝である。
もうタイもマレーシアもパンデミックは終わった。普通に往来できる。
あと、こればっかりはもうどうしようもないが、爆破事件には注意。
事件に巻き込まれる可能性はきわめて低いけれど、現実に起こりうるんで。
次回⇒マレーシアからタイへ国際列車で国境越え パダンブサール~ハジャイ
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