沈没日記30
パッポンのすぐ隣にある通りがタニヤだ。
BTSサラデーン駅の目の前。駅構内から眺めることができる。
パッポンを訪れる前に軽くタニヤをのぞいていた。
タイ旅行歴20年、タイで夜遊びを始めて10年。
ほぼ初めてタニヤへ足を踏み入れることになる。
はじめてのタニヤ
時刻は夜9時頃。
おお、すげえ、日本だよ、日本。
ラーメン、牛丼、カレー、餃子の王将、山ちゃん、焼肉、居酒屋。
右を見ても左を見ても、日本語と日本料理屋だらけ。
そして無数のカラオケ屋。
いったい、何軒あるんだ?
これだけの日本人街を完成させた先達たちのパワーには感服させられる。
圧倒的な迫力だ。
タニヤ通り沿いに客引きのホステスたちがずらりと勢揃いしている。もちろん在籍嬢の一部だけだろうけど、けっこうな数だよ。
当然のように日本語で話しかけられる。
というか、中には日本人のマネージャーもいるなあ。
タイ人のママさん相手でも、会話は日本語でオッケー。楽でいいよね。
タニヤカラオケのシステムとは?
はっきり言って、わたしはタニヤのド素人である。日本カラオケ屋には入ったことすらない。完全おのぼりさん状態だ。
手当たり次第に、システムをきいてまわる。
どうやら、カラオケ店内に座ると1時間600バーツがデフォルトのようだ。客は飲み放題で、レディドリンクが1杯200バーツ。
連れ出すためのペイバー代が、店によってまちまち。安いところで700バーツ、高いところで1200バーツ。飲まない場合が1200で、飲むなら800バーツというところが多い印象。
連れ出したあとのチップは、ショート2500B、ロング3500B。これは、聞いてまわったカラオケ店すべてに共通していた。あくまで言い値だけど。
ためしに1軒のカラオケ屋に入ってみる。
店の名前も場所もまったく覚えていない。
ソファーに座ると、在籍嬢たちが勢揃いして、ぐるりと取り囲む。
ママさんの先導で紹介タイム。
噂には聞いていた「ニホンゴハナセルヒト~?」でカラオケ嬢たちが一斉に手を挙げる様をはじめて目にした。ちょっと感動。
レベルはわりと高い。
基本的に20代ばかり。なかには30代も混じっているし、ごくわずかながら自称19歳もいる。
なるほど。こりゃあ、タニヤにはまる日本人のおじさんたちが多いのも無理はない。ま、わたしもすでにおっさんだが。
タイ語も英語もいらないし、ルックスもそこそこいいし、明朗会計だし、実にわかりやすい。
しかも、高騰するゴーゴーバーに比べると、それほど高くない。
バンコクにしろパタヤにしろ、1軍どころのゴーゴー嬢をペイバーしようとすると、バーファイン1000、ロングのチップ5000もする。タニヤでのロングのチップ3500Bが安く思えてしまう。
そういえば、バンコク在住の友人たちは、遊ぶならナナやソイカよりもタニヤのほうが良いと口を揃えていたなあ。タイ語ぺらぺらなんでどこでも遊べるが、それでもタニヤのほうが安く遊べるし、間違いないとか。
いやあ、おもしろかった。
見学するだけならタダだし、いい目の保養と社会勉強になった。
なるほどこれがタニヤか。タイ夜遊び歴10年にしてはじめて知ったよ。
タニヤふたたび
と、夜の社会見学だけも終わるつもりだった。
その後、パッポンのゴーゴーバーで遊んでいると終電がなくなった。
ホテルのあるアソークまではタクシーを使えばいいのはわかっている。
予定ではテーメーカフェかソイカウボーイをのぞいてからホテルで寝るつもりだった。
でも、こうなったら、すぐにタクシーで帰るのはおもしろくない。
ええい、もう一度タニヤの様子を見ておこう。
時刻は深夜0時過ぎ。
まだまだタニヤ通りはにぎわっている。
でもタクシーが通り内で客待ちしていたりと、そろそろ終わりかけの雰囲気もあり。
最後の一稼ぎとばかりにママさんたちからの勧誘が激しい。
店頭で顔出ししているカラオケ嬢たちを次々と紹介していく。
この時間になると、ペイバー代がちょっとディスカウントされるみたい。
最初の言い値が1200Bでも、すぐに1000Bに下がったりと、ママさんのさじ加減一つ。
飲まずにそのままペイバーも可能。
朝までオッケーの人とかショートだけの人とか店頭で選択可能。
ちょっとした公然置屋状態だな。
強引なママさんに引きづられて、カラオケ店内へ連行されてしまった。
どうせ終電もなくなったし、こうなれば物味遊山気分だ。
料金はカラオケ1時間600バーツ。レディドリンク1杯分もサービスしてくれるそうだ。
まずは、ソファーに座って女性陣の顔見せが始まった。全部で15人くらいだろうか。
ママさんが、「カノジョスケベネー」とか「エッチジョウズ」とか煽ってくる。
おもしろくなってきたので、タイ語とイサーン語で切り返しておく。
カンボジア寄りのイサーン出身者には、クメール語も使う。
「アオゲーンマイ」とか「シーカンボー」とか「ソムチョイ」とかね。
タニヤでイサーン語やクメール語のスラングを使う日本人など、よほど珍しいのか、バカ受けでしたな。ま、半分、愛想笑いというか単にバカにした笑いかもしれないけれど。
22歳の新人カラオケ嬢が気になった。
日本語は全然ダメ。英語もダメ。タイ語オンリー。
スタイルも顔もいいけれど、これではタニヤでは連れ出されにくいだろう。
このカラオケ屋でも、最初の言い値は、ペイバー1200、ショート2500だった。
ペイバー代はすぐに1000に下がった。
でも、トータルで3500B。わたしには無理だ。
あきらめて帰ろうとするが、ママさんが必至に食い止めてきた。
店外で交渉が続く。
ペイバー代600バーツでいいという。
いや、まだ高い。
ショートのチップ2000Bなら考えると言うと、ママさんが22歳のところへ相談に行った。
で、ママさんが帰ってきて、レディがオッケーを出してもう着替えていると言うではないか。
私服姿の22歳が現れる。うーん、美人だ。スタイルもいい。
念のため、サービスの確認だけしておく。ジューブとオムは大丈夫。アオはタマダーだが、オムはゲーンだと恥ずかしそうに答えていた。なんかいいね。
なし崩し的に連れ出し決定。ママさんにはペイバー代だけ支払い。チップは事後直接払うシステム。
トータル2600バーツかあ。ショートの上限がトータル2000Bという自分の相場観に反するが、タイ最終日だし、まあいいことにする。昨日はダブルヘッダーでぶっちされたから、その分カネは浮いている。
元々の言い値がトータル3700Bだったことを思えば、わりと上出来の交渉だったはず。
でもたぶんショート1500くらいはいけそうだな。
タニヤ嬢をお持ち帰り
お手々つないで、カラオケ店を出る。
うーん、まさかタニヤでペイバーすることになるとは夢にも思っていなかったよ。
アソークまで帰るタクシーをどこで捕まえればいいのかわからない。
22歳も新人だからわからないそうだ。別のカラオケ嬢が案内してくれた。
よく知らないけれど、たぶん、ラマ四世通りだと思う。
流しのタクシーをメーター利用で。
道中は、タニヤ嬢とずっと会話。日本語不可嬢なんで、当然タイ語オンリー。
22歳で子どもなし。バンコク出身だけど、母親がイサーン出身で、彼女もイサーン語がわかる。タニヤで働きだしてまだ数日。
結局、パタヤのバービアで新人嬢とタイ語で会話しているとの変わりないなあ。タニヤの意味なし。ま、でも、これが楽しいから良しとする。
タニヤからアソークまでは15分もかからなかった。料金はメーターで59バーツ。意外と安い。これなら、終電のことは考えなくていいかも。
ママさんいわく、タニヤそばで客待ちしているタクシーなら200バーツとふっかけられるそうだけど。
ソイカウボーイ近くで下車してホテルへ。
もうちょっとだけ世間話をしてから、いよいよ夜の本番へ。
さて、タニヤのカラオケ嬢のサービスやいかに。
まずは一緒にシャワー。これはバンコクでよく聞く話。とにかく一緒にシャワーが日本人の嗜好。
ちゃんと足先まで洗ってくれる。
ママさんの教育が行き届いているのか、それともこの22歳タニヤ嬢の本来のサービス精神なのか。
浴槽から出るときも、手を引いてエスコートしてくれた。やさしい。
ついでベッドへ。
自己申告どおり、オムは上手。しかも、穴のほうまで率先して舐めてきた。ちろちろと舌先で黄門様を刺激する。どこで覚えたそんな技。日本語覚える前にテクニックは覚えていたわけね。
これまたアタリを引いたようだ。
最後の最後に気持ちよくフィニッシュを迎えることができた。
終わってからも一緒にシャワー。きれいに洗ってくれる。これがタニヤのデフォルトサービスなのかね。
ああ、なるほど、日本語が通じる以前に、こういうきっちしたサービスやフォローがあるところがタニアのいいところなのかも。
うーん、はまってしまう日本人のおじさん連中が多いのを改めて納得させられた。
わたしは逆に新鮮で楽しかった。
電話番号を交換してバイバイ。
2000バーツきっちり渡す。タクシー代も請求されなかった。
タイ旅行歴20年、タイ夜遊び歴10年にして、初めてのタニア遊びとなった。
こういう世界だったのね。
バンコクやパタヤのゴーゴーバー、バービア、ジェントルマンクラブ、ソイ6。タイ各地の怪しげな遊び場やイサーンのナイトスポット、東南アジア各地の置屋などを巡り巡って、10年かかり、ようやくタニヤにたどり着いたわけだ。これもまた一興。
食わず嫌いはよくない。
まあ、結局は、場所や業種がどうのこうのではなくて、出会いのタイミングと運、そして何より相手との相性がすべて。
あとは価格面との折り合いだけ。
今回はすべてがうまくいった。
そんなわけで、はじめてのタニヤ日本カラオケ屋遊びは大満足かつ大当たりで幕を引いたのであった。
終電乗り過ごしたのも怪我の功名。
何があるかわからないのが、タイ夜遊びの醍醐味だよねえ。