パタヤ千夜一夜

タイ・パタヤでの沈没日記とアジア夜遊び旅行記。パタヤグルメ情報、ホテル情報多数。

エッセイ

サムライ対バイキング バービアで深夜の決闘

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深夜2時半にふと立ち寄ったバービアだった。
一緒にいた友人と最後にもう1杯だけ飲んで帰ろうとしただけで正直どこのバービアでも良かった。

お互いにビールをオーダーして、他愛もない話をしながらだらだら過ごすつもりだった。

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リンガベル

着席するやいなや、リンガベルの音が鳴り響く。
巨漢のファラン客がかき鳴らしたようだ。

リンガベル1

すぐにビールがまわってきた。
ファランのリンガベル分のビールのため、こちらの伝票は無い。
バービアではたまにこういった僥倖に遭遇する。要するにタダ酒である。
全員のドリンクが揃ったところで、ファランの元に集まり、乾杯。
これがリンガベルでごちそうされた場合の礼儀だ。

しばし友人と話していると、巨漢ファランがにじり寄ってきて、わたしの横に座った。

「きみは日本人か」と英語で質問される。
答えはもちろんイエス。すると、巨漢ファランは大喜び。
なんでも、日本が大好きだと言う。
アニメ、マンガ、サムライとベタな単語が続く。
ただのオタクかと思ったが、日本人は他人をリスペクトする態度が素晴らしいと絶賛しているではないか。
日本人の礼儀正しさといったものに敬服しているとも。

ふむ。わたしは、パタヤに沈没しているだけのどうしようもクズ人間だが、日本人としては悪い気はしない。
ありがとうと返しておく。

バイキング対サムライ

巨漢ファランは北欧出身。
自らをバイキングの末裔だという。

気分が良くなったのが、バイキングは次々とドリンクを奢ってくれる。
ビールに始まり、ベイリーズロック、テキーラローズ。
とどまることなくドリンク接待を受ける。

酔いが進んだバイキング。
こちらにむかってエア刀で切りつけてくる。
サムライ大好き。
「日本のどこにサムライがいるんだ?」と質問されても困ってしまう。日本大好きなわりには微妙に認識がおかしい。とはいえ、無碍にもできず、キョートにいるよと答えていく。コスプレと時代劇だが。

バイキングは、本当に日本人と話ができるのが嬉しいらしい。
友人もそれなりに英語が話せるため、3人でずっと会話。
バービアで出会うファランとは英語で会話。タイ人とはタイ語で会話。これがパタヤのバーバアでは最も楽しめる。

さらに気分の良くなる巨漢バイキング。
テキーラとウィスキーロックが追加された。
受けて立つサムライ2人。
なにせ相手は巨漢ファラン。痩躯の日本人ではアルコール耐性において太刀打ちできない。
こちらが拒否しようとしても、ぐいぐい押してくる。

大きな髭面が目前に迫る。
うう、おそろしい迫力。
バイキングの目が潤んでいるではないか。

これは拒否できない。
最後のウィスキーロックをあおると、わたしの意識はほとんど飛びかけた。

時計の針はすでに午前4時をまわっている。
もう無理だ。
深夜のバービアの決闘はバイキングの勝利でいい。サムライは潔く敗北を認める。
というか、そろそろ帰りたい。もう限界だ。

チェックビンしようと思ったが、わたしも友人も伝票がない。
すべてバイキングのおごりだった。

最後に最大限のリスペクトをこめて感謝の意を伝えておく。
分厚い手のひらを握る。
別れ際のバイキングの目には涙すら浮かんでいた。
抱擁もされた。分厚い肉体だった。
そうか、そんなに日本人が好きだったのか。
ありがたい話だなあ。
ふらふらになりながら帰宅へ。友人もいつの間にか帰っていった。

後日談

後日、友人と思い出し話。
すると、友人いわく、あのバイキング、実はゲイじゃないのかと指摘。
わたしのことを見つめる目線がおかしかったと端で見ていて思ったそうだ。
おお、冷静かつ大胆な観察眼。

なるほど。
たしかに、あいつの目はおかしかった。わたしを見つめるが瞳が明らかに潤んでいた。
てっきり酔っ払っているせいかと思っていたが、実は違う意図が込められてたのではないか。
一瞬、あの毛むくじゃらの巨躯に覆いかぶされる妄想が浮かび、身震いした。

あれ以来、バイキングには遭遇していない。
今となっては彼の真意はわからない。
別になんでもいい。
あの夜、楽しい酒が飲めたのは確かだ。
また、彼の日本と日本人好きも確かだろう。
それでいい。

実に楽しい夜であった。
とにかく、タダ酒ありがとう、バイキング。
バイキング対サムライは、きみの勝ちだ。
いずれ会うことがあるかもしれないが、その時まで壮健あれ。
でも、もう迫ってこないでね。

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